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亜鉛価格、閉じるかワニの口 中国業者が輸出再開意欲、国際価格との差が縮小へ

2025/10/15 19:12
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亜鉛価格、閉じるかワニの口 中国業者が輸出再開意欲、国際価格との差が縮小へ

 亜鉛の国際価格に異変が生じつつある。ロンドン金属取引所(LME)と上海商品取引所(SHFE)での価格は在庫状況から10月に入り大きく開き、チャート上でいわゆる「ワニの口」を形成していた。しかし、中国の生産者が輸出に意欲を示していると伝わり、10月13日以降はその口が閉じる気配となっている。

 

過去6か月間のLMEとSHFEの亜鉛価格の推移($/ton)(RMB/ton)

 

■10月の亜鉛相場、1週目と2週目で様変わり

 LMEでの亜鉛価格は10月14日に$3049/tonを付けた。SHFEでの価格は同日にRMB2万2220で、ドル換算すると$3119。LMEの方が$70安いことになる。LME価格は前日比2.2%安。米中対立の激化に伴う中国の米船舶へのd締め付けなどを嫌気し下落した。

 前週までは形勢は違った。SHFEの亜鉛価格は10月8日に10月の直近安値を付け、RMB2万1825($3064)に下げた。LME価格は同日に$3092で、LMEが$28高かった。LMEはその後、10月13日に$3119まで上げた。

 

■LME在庫、9月は2年7カ月ぶり低水準

 両社の趨勢の違いが生じたのは8月下旬。それまではおおむね同調した動きだったが、この頃からLME亜鉛は上昇基調を強め、SHFE亜鉛は下落方向となった。

 理由は在庫状況だ。LME亜鉛の在庫は9月に4万950トンと2023年2月以来2年7か月ぶりの低水準となった。2023年から鉱石供給が安定せず、主要鉱山での操業停止が続いて供給懸念が強まった。足元では銅に追随する形での金属価格上昇の流れもある。

 

過去5年間のLME在庫の推移

 

 一方、中国国内では亜鉛は供給過剰が続いていた。不動産市況の回復が遅れる中、亜鉛需要も低迷が続く。一方で中国政府が産業保護のため主に国有企業を中心に亜鉛生産を続けたため、国内流通はだぶついた。それでも、輸出するには国内価格が安く国際市場で不利な状況だったため、輸出には回さない生産業者が多かった。

 

■中国の生産者、輸出に積極姿勢か

 しかし、米ブルームバーグ通信は10月13日、「中国の生産者は足元で生産を回復し、輸出に踏み切る姿勢を見せ始めた」と伝えた。東南アジア向けなどに裁定取引を試行する企業が出始めたという。鉱石供給が安定し始めて原材料費が値下がりしたため採算が見合う状況になり始め、少し損をしてでも輸出に回す意欲が出始めたもようだ。

 前述のとおり、10月14日の亜鉛価格は既に逆転し、SHFEの方が高い水準になった。SHFE価格はLMEを追いかけて上昇している面もあり、国内でも強気な姿勢が戻ってきつつある。一方で米中対立の激化に伴いLMEの亜鉛価格には下押し圧力が出始めた。亜鉛市場のムードは変わり、いったん開いたワニの口も閉じそうだ。

 

 (IR Universe Kure)

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