10月30日9時半に財務省が発表した25年9月の貿易統計から、わが国のスポンジチタンメーカーである(大阪チタニウムテクノロジーズ(以下大チタ)と東邦チタニウム(以下東チタ)の、それぞれのスポンジチタン輸出状況を推測する。両社ともスポンジチタンの輸出は、ほとんどが航空機向けである。このため、大チタの尼崎工場は神戸税関、東邦の茅ヶ崎工場は横浜税関、若松工場は門司税関として、ユーザーの工場がある米国向けと、英国向けの輸出状況から推測した。
まず、両社合計の9月のスポンジチタン輸出量は、前年同月比3.6%減の2,960トンと6ヵ月ぶりに減少。前月比では15.0%増(3ヵ月ぶり)となった。
図表1、国別スポンジチタン輸出量と伸び率の推移(トン、%)

注意:横浜、神戸、門司税関から米国向けと英国向けの合計
出所:貿易統計よりIRU作成
大チタはと東チタの数字を元にグラフ化したのが図表2、3になる。対面業界である民間航空機の受注及び生産が回復していることなどが反映されている。なお、スポンジチタンの輸出量は暦年ベースの年間契約で行われが、その輸出量は四半期毎に前倒しや後倒しなどの調整が入る。
大チタの輸出量は前年同月比35.5%増の2,349トンと、6ヵ月連続で増加。前月対比でも26.1%増(3ヵ月ぶり)となった。
図表2、大チタの国別スポンジチタン輸出量と伸び率の推移(トン、%)
注意:神戸税関から米国向けと英国向け
出所:貿易統計よりIRU作成
一方、東チタの輸出量は同54.35%減の611トンと、8ヵ月ぶりに減少。前月比では14.9%減(3ヵ月連続)。なお、東チタの工場別の状況は図表3-1、3-2のとおり。なお、茅ヶ崎工場は規模が小さいため、エンジン部材関連など高付加価値品を製造している。サウジの合弁会社(エンジン向けの認定を取得していない)からも航空機向けを輸出しているため、若松工場の輸出だが、一時伸び悩んでいたが、5月以降は増加に転じている。これは、若松工場が、これまで機体向け中心だったのが、エンジン部材向けへの生産シフトを進めているため。
図表3、東チタの国別スポンジチタン輸出量と伸び率の推移(トン、%)
注意:横浜税関及び門司税関からの米国向けと英国向けの合計
出所:貿易統計よりIRU作成
図表3-1、東邦チタ茅ケ崎工場の国別スポンジチタン輸出量と伸び率の推移(トン、%)
注意:横浜税関から米国向けと英国向け
出所:貿易統計よりIRU作成
図表3-2、東邦チタの若松工場の国別スポンジチタン輸出量と伸び率の推移(トン、%)
注意:門司税関から米国向け英国向け
出所:貿易統計よりIRU作成
最後に、スポンジジチタンの輸出価格の動向を図表4に示した。2025年の契約価格は、若干下落した模様。
月別の価格変化は、為替要因とミックスの差によるもの。なお、契約価格は一般的にジェットエンジンの回転系の部材向けは価格が高く、航空機本体向けは安い。東邦チタニウムは若松工場で主に航空機本体向けや民生品向けなど量産品を生産し、茅ケ崎工場で航空機の回転系向けや高純度チタンなど量産品でないものを生産している。
図表4、スポンジチタン価格動向(千円/トン)
注意:神戸は大阪チタニウムテクノロジーズ、門司及び横浜は東邦チタニウム
出所:貿易統計よりIRU作成
(IRuniverse 井上 康)