10月31日13時、大和工業は26/3期2Qの決算を発表し、通期業績見通しを上方修正した。同時に自社株消去を発表。
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<26/3期2Q実績>
〇実績
売上高は、前年同期比21億円減の761億円となった。利益については、営業利益は同23.0億円減の19.9億円、経常利益は同132.4億円減の279.2億円、当期利益は同91.1億円減の191.3億円となった。
なお、兵機海運(25年1月31日付で資本業務提携契約を締結)を今1Q末より持分法適用関連会社となった。
前回予想に比べ、主に国内連結子会社(鉄鋼事業(日本)及び軌道用品事業)の業績が販売数量の増加等により増収増益となったことに加え、円安の継続により、為替差損計上額が減少したことにより、経常利益が増加した(図表1参照)。
<セグメント別>
〇日本:ヤマトスチール
建設業界の施工能力不足や建設コストの高止まりを背景とした建築需要の停滞が長期化しており、形鋼市況の軟化が一段と進んだ。ヤマトスチールは、製販一体となった短納期対応や土木関連需要の捕捉による受注確保に努めたが、価格維持及び数量確保が困難な局面が続いた。電力費等の上昇に加え、9月中旬から10月中旬に掛けて圧延機更新に向けた事前工事による操業停止の影響もあり、前年同期比で減収減益となった。
以上により、セグメントの鉄鋼事業(日本)の売上高は、同12億円減の263億円、セグメント利益(営業利益)は、同7.9億円減の14.3億円となった。
〇タイ:サイアム・ヤマト・スチールカンパニーリミテッド(SYS)
タイ国内の形鋼需要は治水事業等の公共事業やデータセンター等の民間プロジェクトにより回復傾向にあるものの、安価な中国材との激しい競争が続いた。販売戦略強化等により、販売数量は前年同期比で若干増加したが、国内・輸出市場ともに形鋼市況の軟化傾向は続いており、鋼材マージンは縮小し、前年同期比で減収減益となった。
以上により、セグメントの鉄鋼事業(タイ)の売上高は、同33億円減の320億円、セグメント利益は、同19.0億円減の15.4億円となった。
〇インドネシア:PTガルーダ・ヤマト・スチール(GYS)
新政権下での予算編成の見直しによるインフラ投資予算の大幅削減に加え、米国の関税措置の影響を受け、民間プロジェクトも停滞し、販売数量の低迷が続いた。ASEAN拠点の中では比較的高水準の鋼材マージンを確保しいおるが、形鋼需要が停滞するなか、国内外メーカーとの競争が激しさを増し、形鋼市況は一段と軟化。
以上により、セグメントの鉄鋼事業(インドネシア)の売上高は、同(前期は2Qのみ)12億円増の110億円円、セグメント損失は同8.5億円減の0.3億円となった。なお、セグメント損失0.3億円には企業結合に伴う無形資産の償却額0.9億円及びのれん償却額5.0億円が含まれている。
〇持分法
●米国:ニューコア・ヤマト・スチールカンパニー(NYS)
データセンターやスタジアム等の大型建築案件向け需要が底堅く推移するなか、政府による関税強化措置を背景に、販売数量・価格ともに1Qより改善。鋼材マージンは1Qより拡大しているものの、前年同期比では若干縮小し、業績は、前年同期比では減益であるが、安定して高収益を確保。
●ベトナム:ポスコ・ヤマト・ビナ・スチールジョイントストックカンパニー(PY VINA)
ベトナム経済が堅調に推移するなか、形鋼需要は回復傾向。加えて、韓国向け等の輸出販売による数量確保にも努め、業績は、前年同期比で増益。
●韓国:ワイケー・スチールコーポレーション(YKS)
建設・不動産業界の不振の長期化により、鉄筋需要が大幅に落ち込み、生産・販売量が大幅に減少。業績は、販売数量減及び販売価格の下落による鋼材マージンの悪化により、前年同期比で減益。
<26/3期業績見通し>
〇業績見通し
内需不振が続く中国による過剰生産された安価な鋼材輸出問題に終わりが見えず、世界的な鋼材需要の停滞・市況低迷が続く見通し。同社グループの主要製品であるH形鋼等の土木・建築用鋼材の需要も全体的に盛り上がりに欠ける状況が続き、米国政府による関税強化の恩恵を受ける米国事業を除いては厳しい価格競争が続く見込み。各拠点において、中国材への対抗策を図り、引き続き販売数量の確保、鋼材マージンの維持及びコスト低減等に努めていく。
以上を踏まえ、主に連結子会社のタイ(SYS)及び持分法適用関連会社の米国(NYS)の業績が前回予想を上回る見込み。また円安傾向から、売上高を1,560億円円、営業利益を35億円、経常利益を560億円、当期利益を380億円に上方修正した。
図表1、26/3期の上期実績と通期見通し(百万円)

出所:会社発表資料よりIRU作成
<国内外の主要企業の業績見通し>
〇日本:ヤマトスチール
建築需要停滞の長期化により形鋼市況の軟化が進み、諸コスト高も相俟って採算が悪化するなか、一部製品の値上げや製販一体となった短納期対応による受注確保に努めるなど収益改善に向けた取組みを図る。比較的堅調な土木関連を中心に販売数量は前回予想を若干上回る見込みであるものの、鉄スクラップ価格が上昇傾向にあるなか、事業環境の改善にはもう暫く時間がかかる見込み。業績は、前回予想並み(前期比減益)を予想。
〇タイ:SYS
政情不安はあるものの、国内の形鋼需要は治水事業、送電鉄塔等の公共事業や観光開発、データセンター等の民間プロジェクトにより緩やかに回復。また、輸出市場もインフラ投資を中心に需要は回復傾向にある。一方、国内・輸出市場ともに安価な中国材等との激しい競争が続いており、市場シェア回復に向け、販売戦略の強化を推し進めていく。業績は、販売数量の増加により、前回予想比で増益(前期比減益)を
予想。なお、昨年11月よりタイ商務省による中国からの輸入H形鋼に対するAD調査が継続されている。現時点の暫定ではあるが、関税率30.86%~54.19%(5年間)の措置が年内に発効される見通し。
〇インドネシア:GYS
政府主導のインフラ投資予算の大幅削減に加え、米国の関税措置による影響及び政情不安も重なり、形鋼需要の停滞が長期化。一定の貿易障壁が存在する中にあっても安価な中国材の流入が増加傾向にあるなど、国内外メーカーとの競争が激化。耐震性の高い建築鋼材の製造・販売を開始するなど販売戦略の強化を推し進めるが、販売面の苦戦が続いており、業績は、前回予想並み(前期比減益)を予想。
〇米国:NYS
米国経済は相互関税措置による景気下振れの懸念はあるものの、足元では堅調を維持。データセンターを中心に、コンベンションセンターやスタジアム等の大型建築案件での大型製品需要が増加傾向にあり、また、インフラ投資等の土木関連需要も堅調であり、受注残は高水準を維持。鉄鋼製品の輸入関税引上げの影響も受け、形鋼市況は上昇傾向にあり、業績は、前回予想比で増益(前期比増益)を予想。
〇ベトナム:PY VINA
ベトナム経済は堅調に推移しており、形鋼需要も政府によるインフラ投資を中心に回復傾向にある。国内形鋼市況は底打ち感が見られるが、中国材等の安価な輸入材との厳しい競争環境は続いており、輸出販売も含めて、販売価格の押上げには時間を要する見込み。業績は、前回予想並み(前期比増益)を予想。
〇韓国:YKS
韓国経済は底打ちの兆しが見られるものの、建設・不動産業界の景気回復には時間を要する見込み。鉄筋需要の落ち込みに歯止めがかかっておらず、厳しい事業環境が続くなか、需要に見合った生産を継続し、市況の改善を図るが、業績は、前回予想並み(前期比減益)を予想。
<参考>
図表2、四半期別の業績推移(百万円、%)

出所:会社発表資料よりIRU作成
(IRuniverse 井上 康)