Loading...

大同特殊鋼:同社の磁石製品について

2025/11/05 13:02
文字サイズ
大同特殊鋼:同社の磁石製品について

 大同特殊鋼の磁石製品はボンド磁石と焼結磁石の2種類あり、両社について調べたので報告する。

 

 同社社のボンド磁石はHDDのスピンドルモータ向けが強みであったが、最近は同社市場に中国品が入ってきており、以前ほどの稼げていないのが現状だ。HDD以外にも、FA用、家電用などにも使われるが、他用途についても中国品が進出してきている。なお、HDDにはディスクを回転させるスピンドルモータとディスクのデータを読み取るためのVCM(Voice Coil Motor)があるが、スピンドルモータは、回転が安定しているボンド磁石がつかわれる。一方のVCMは磁気ヘッドを素早く動かすために焼結磁石が使われている。このため、同社がHDD向けと言っているのはスピンドルモータ向けのこと。ちなみに、信越化のHDD向けはVCM向けのことになる。

 

 中国品にシェアを取られているボンド磁石に代わり、成長が期待されるのが自動車向けの焼結磁石(駆動用モータ)になる。この分野は、中国品の影響が少なく、成長が見込める分野となっている。なお、同社が提供する焼結磁石は、特殊鋼でも使われる熱間圧延の技術を使って、異方性の焼結磁石を作っている。磁石には異方性と等方性があるが、先述のスピンドルモータは等方性磁石になる。磁力は異方化すると磁力が強くなる。同業他社の焼結磁石は磁界をかけて異方化するが、同社は圧力をかけて異方化するため、高温・長時間の処理が必要ないのが特徴。また、同社はDy、Tbなどを使わない重希土類フリー磁石でありながら耐熱温度160度(当初120度といわれていたが、技術革新により耐熱温度が向上した)を達成している。決算説明会でも話があったように同社の希土類磁石の引き合いが強いのは、このためである。耐熱性を高めるために必要な重希土類は、コスト面から中国がほとんど生産しており、中国の輸出規制などから安定した調達ができないリスクがある。尖閣問題以降、これが最大の課題となっている。他社は粒界拡散法などを利用し、重希土類の使用料を減らしてはいるが、重希土類フリーには至っていない。ネオジ・鉄・ボロンの希土類磁石に、高価な重希土類を添加することで簡単に耐熱性が上がるため、磁石業界では魔法の鼻薬と言われることがある。中国は、自国で生産している重希土類を自由に使うことができる(効果のほどはよくわからないが、中国では重希土類を肥料として使われていた経緯がある)。

 

 ちなみに、同社の焼結磁石はホンダ向けがほとんど。トヨタなどホンダ以外は他社であるため、同社の市場シェアはホンダのHEV・EVのシェアにほぼ等しい。ただ、同社の磁石事業は機能材料・磁性材料セグメントの3割強とまだまだ、小さいため、今後は、重希土類フリーの強みを活かして、ホンダ以外への展開が期待される。

 


(IRuniverse 井上 康)
 

関連記事

新着記事

ランキング