11月20日10時、日本冶金工業は、先月末に発表した26/3期2Q決算について説明会を行った。説明に使われた資料はこちら。説明は小林副社長が行った。

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<今回のポイント>
〇26/3期中間決算・業績予想(資料2ページ)
8月に創立100周年迎えた。中間期について。成長ターゲット市場と位置付けるインド云々関連と書いているが、インド市場、中東市場も含んでいるが、こちらの販売数量、全体数量、金額はまだまだというとこだが、堅調に推移した。
さらに、収益の機能である原料サーチャージは適正に機能し、ロールマージンの確保は継続できている。
ただし、需要回復の遅れということで、数量、売上とも低調に推移して、残念ながら減収減益という数字で終わった。
この需要環境、下期も引き続き同様の傾向が継続すると見込んでおり、またも業績予想を修正した。
〇中期経営計画の進捗
主に3点。
●インドの現法、これ、おかげさまで8月に営業開始。
●水素環境での材料試験場新設、残念ながら水素向けの、水素環境向けの材料というのは、見込んだよりも残念ながら需要の盛り上がりという意味では先送りと言うか、開始が遅れているとの認識だが、柱になる基礎的なデータの収集ということで着実に手を打ってきた。
●カーボンニュートラルという観点から、フェロニッケルの製錬所、大江山製錬所のキリンのエネルギー転換、石炭からLNGへ今年上期に実行した。
〇株主還元
(過去最高水準の)220円の配当見込みを維持。
<26/3期中間決算実績>(同4ページ)
〇概要
売上高757億、残念ながら130億ほどの減収、営業利益は59億と、26億円の減益となった。さらに、在庫の評価損益を除いた実質ベースでは、59億ということで、38億ほどの減益と、大きな減収減益との結果で終わった。
内容については、主に販売数量の減少というのが大きいが、資料の下欄に高機能材と一般材に分けて数量を示しているが、今回の高機能材1万8,000トン、昨年の同期と比べて1,000トンほど量が減少。一般材も7万トンと、4,000トン減少という数字で終わった。
先ほどちょっと触れたか、在庫評価損益を除く営業損益が38億ほどの減益になったことで、この中身を分析したのが次の5ページになる。
〇在庫評価損益を除く営業利益の変動要因分析(同5ページ)
前年同期97億に対して今回59億と38億減益になっているが、その要因を分析した。1番左、原料他コスト要因という表現になっているが、こちらは35億、コストダウンになった。上期の単純平均で、ドルは146円と、単価レベルのニッケル平均価格も6.85ドル/ポンドで、もちろん1ドルほどのニッケル安ということで、コストについてはプラス要因になった。
内訳を見てみると、その下の方に書いてあるが、原料費は50億のプラス、コストダウンになった。一方、固定費等と書いているが、固定費・変動費とも15億、コストアップになった。人件費とか償却費、いわゆる固定費で7億ほどのコストアップ。加えて、エネルギー価格、修繕費等でコストが上がっている。50億に対して15億ほど返済するような形になった。
その右側、販売価格要因、49億ほどの減益要因になっているが、先ほど原材料費50億ほどのプラスに対し、いわゆるニッケルサーチャージ等々の原料サーチャージは、ほぼ効いてロールマジは確保できているが、先ほど説明したように、その他のコストアップの方がマイナスに効いた。加えて、販売数量が減少しているということで14億円ほどの減益。さらに、関係会社も同様な傾向を示しているということで、主にグループ会社の収益悪化で10億円ほどのマイナス要因になった。
以上の要因によって38億の減益になったと分析をした。
※6ページのバランスシート、7ページのキャッシュフローは資料を参照。
<ステンレス市場、実績及び需要想定>
〇一般材(同8ページ)
●上期の実績状況、建設業界の人手不足、あるいは働き方改革ということで需要回復が遅れている。先延ばしになっている。さらに、期初かなり期待した半導体関連事業、こちらも残念ながら上期には需要が盛り上がってこなかった。
この辺の要因によって、いわゆる量販店向けの店売り、こちらの数量はあまり変わらなかった。一方、紐付きも、建設資材分野も店売りと同様需要回復が遅れている。半導体についても同様。自動車については堅調であったが、市場需要見合いということで、盛り上がりという意味では負けたと思っている。その他のところ、量的には少ない分野だが、物件の引き合いっていう意味ではかなり活発化しているという認識。造船等々、防衛向けも含めて、造船、カボニュートラル等々、この辺は、小口の物件ということになるが、かなり件数的には増えてきている状況で、矢印は上向き。
●下期については、基本的には同様な状況が続くと認識をしている。人手不足による案件遅れというのは早期には解消されない。輸入材は、7月に営業提訴ということで受理されて今調査に入っているが、こちら、足元では顕著に現れていない。輸入材は、駆け込みで、9月の輸入は過去最高を記録。引き続き注視が必要というような状況が続いている。仮にAD等の暫定税率が示されるにしても、その効果が現れる来期以降かなと、認識している。
〇高機能材(同9ページ)
●上期、こちらも残念ながら需要は弱いかなと認識をしており、バリュームゾーンであるシーズヒーターは残念ながら盛り上がらない。我々のユーザーのところの事業シェアは上がらないと思う。高ニッケル耐熱材は、一昨年度は稼ぎ頭であったが、太陽光関連向けの需要も停滞している。高ニッケル耐食材で、インドはFGDということで、色々規制緩和で、仮にマイナスになるが、堅調に推移してきたと認識をしている。
足元、1番活気があるのが高強度材で、スマートフォンやプレスプレート(半導体の製造のための治具)、装置そのものではないが、こちらの需要は非常に活発で、1番盛り上がったのは高強度材。
●下期の見込みも、こちら受注から販売までの足が長いので、足元の受注状況が下期の販売状況にはほぼ決まってくるというような状況だが、残念ながら上期の状況が引き続きと思っている。インド、中東のオイルガスの物件というのが、下期、大口のものが動いていので、この辺は全体の需要とは、直接は関係なく、受注できれば期待できるかなと見ている。残念ながら、足元、上期の状況が下期に変わる要素はあまりないとの認識をしており、冒頭説明したように通期の業績を残念ながら下方修正したというような状況。
<26/3期見通し>
〇決算見通し(同11ページ)
通期の業績を下方修正したという内容を書いている。前回の見通しに対してどう変化したのかを書いている。
売上高が1,480億円で、120億円の減収、営業利益も110億円で30億円の減益、在庫評価等々はあまり変更ないが、それを控除すると31億円の減益と分析している。数量は、高機能剤、一般材とも、それぞれ数量面では下方に修正している。
〇在庫評価損益を除く営業利益の変動要因分析(同12ページ)
31億円の要因を分析している。前提となる為替とニッケルは、為替の平均で言うと、148.02円と書いてあるが、要は下期を150円で見ているということ。ニッケルの平均価格は、6.92ドル、こちらも下期を7ドルちょうどで見ている。若干円安に振れるが、LMEニッケルは、ほぼ同じように推移すことを前提にした。ページ下のグラフだが、原料他要因で8億円のプラス。一般販売価格要因として17億の減益要因、特に高機能材は16億円の減益、上のコメントのとこに書いてあるが、販売構成の悪化ということでロールマージンが縮小するとみている。さらに、販売数量の減少を見込むことで、22億の減益要因との分析。
資料13ページ以降が前年度との比較なので参照。
<中期経営計画2023の進捗>(同16ページ)
冒頭でも触れたが、インド市場での需要補足、水素環境での材料試験場の新設、あるいは大江山での進捗について。
〇インド(同17ページ)
5月の時にも説明したが、これから発展が予想される輸入市場を、中東も含めてっていうことになるが、こちらの需要不足のために現地法人を出すと言っていたが、この8月に営業開始をした。予定通りに設立して、当初2名体制でスタートしたが、随時こちら人員増強を図っていこうと考えている。
インド市場規模(右の真ん中の表)、現状では年間6,000トンぐらい、これ30%以上を同社の高機能材。若干定義違うが、同社調べ。
現状、昨年度1,500トンぐらい、我々販売して、シェアは25%程度かなと認識している。インドも経済成長が期待されており、経済発展に伴ってニッケル合金の使用量も増えていくだろうと期待しているマーケット。
●需要補足(同18ページ)
今後注目すべき事業分野。石油化学部門、医療・科学部門、排煙・脱環境対策、この3分野をターゲットにして、下の方に太陽光(薄く表示しているが)とか、設立当初から期待できるということで追っかけるとしてあげていたが、残念ながら、足元、需要が盛り上がってくるのはもうちょっと先かなということで、上の3つの分野、こちらになる。これをターゲットで今活動している。
〇水素環境での材料評価試験場(同19ページ)
水素環境での材料評価試験場ということで、水素関係の事業というのは期待したタイミングよりもかなり後ろ倒しになっているとの認識だと説明したが、我々、こちらの分野についても、スパンとしては長くなるが、注力していく。まずは材料試験、材料評価の設備を揃えた。来年度の4月から運用を予定している。評価のための様々な試験装置を導入する。投資の方に書いてあるが、水素を使うというは、構造を有する建物っていうのが当然必要ということ、単に試験設備に入れるだけではダメで、防爆構造を有する実験棟建屋から作った。金額的には6億円だが、随時拡張していく計画を持っている。こちら、期待される効果は、とりあえずは基礎データ、こちらの収集及びユーザーから要求されるデータ提供ということにしていきたい。
〇大江山(同20ページ)
大江山でのニッケル製錬プロセスの中での1つの施策とことで、今年の8月から実行している。燃料を石炭からLNGに転換するということでCO2の排出を削減したい。1番下の枠に書いているが、年間1万4,000トンの削減に寄与する。
〇中計の進捗(21ページ)
残念ながら、25年度、今年度は一旦数字面での後退ということになるが、3年間累計では、かなり中計で見込んだ数字を超過達成したかなと思っている。
特に財務体質という観点では、かなり前倒しで改善の度合いが進んだとの認識で、配当、株主関係等々に関しても一定程度を維持できる体質が確立できたと考えている。
〇設備投資実績(同22ページ)
3年間で310億程度を計画したが、現時点での想定で301億ということで、ほぼ計画した設備投資を実行できたと評価をしている。
〇設備投資と減価償却の推移(同23ページ)
こちらも想定通り。
〇株主還元(同24ページ)
総還元性向を35%。一方では安定配当と財務体質の改善と業績の推移等々も勘案しながら安定的に配当をする方針。この辺を総合的に勘案して配当・株主還元を考えるとしてきたが、今期、残念ながら収益面では下振れとなるが、安定配当、さらには財務体制の改善が前倒しで進んだとこに勘案して220円、昨年度記念配当を含めた220円という数字を維持すると決定をした。
(IRuniverse 井上 康 )