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第6回サーキュラーエコノミーシンポジウム in NAGOYA — 豊田通商株式会社、共栄製鋼株式会社

2025/11/27 11:46
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第6回サーキュラーエコノミーシンポジウム in NAGOYA — 豊田通商株式会社、共栄製鋼株式会社

第6回サーキュラーエコノミーシンポジウム in NAGOYA — 豊田通商、共栄製鋼11月25日、IRUNIVERSE主催の「第6回サーキュラーエコノミーシンポジウム」を愛知県名古屋市内で開催。国内外で活躍するサーキュラーエコノミー企業や行政の関係者ら13人が講師として登壇し、聴講者も100人ほど集まり、日本のCE(サーキュラーエコノミー)について議論を交わした。

豊田通商株式会社 リバースサプライチェーン事業部CEイノベーション室 室長 平井和哉氏:「資源循環の取り組みと課題」

豊田通商はサーキュラーエコノミー本部を中心に、モビリティ産業を軸とした資源循環ビジネスをグローバルに展開している。資源供給から製造、回収、再資源化に至るまで一貫したサプライチェーンに関与し、特に資源循環SBUを中心に本格的なサーキュラーエコノミーの実装に取り組んでいる。

同社は資源開発、サステナブル素材、電動化SC、資源循環と4つのSBU事業を有しており、資源循環SBUでは自動車をはじめとする産業の廃材回収、解体、破砕、選別、再資源化を担っている。たとえば、自動車工場に隣接して拠点を構えるグリーンメタルズでは、工場発生材の回収と再資源化をグローバルで実施している。さらに、再資源化領域ではアルミの溶解技術を用いた原料調整、廃プラスチックを対象としたマテリアルリサイクル、車載電池のリサイクルを進めるトヨタケミカルエンジニアリングのパイロットプラントなど、多層的な取り組みを展開している。

一方、課題も多く、豊田通商が特に重視するのは2点である。1点目の課題は法規制強化への対応で、たとえば欧州のELV規制のように自動車には再生プラの使用義務が課されつつある。また、2031年より各種電池への再生剤の最低含有率の規定が始まるため(たとえば、リチウム電池だと再生材最低6%含有する必要がある)、自動車以外も含めた産業を跨いだサーキュラーエコノミー前提の「越境型のものづくりループ」の構築が必須となっている。2点目の課題は、日本からの資源流出である。国内で年間900万台生産される自動車のうち、100〜200万台が中古車・中古部品として海外へ流出し、国内で循環可能な母材は減少を続ける。そのため、国内完結モデルでは限界があり、グローバル循環を前提とした事業構築が不可欠である。

これらの課題を乗り越えるため、同社は2023年に一般社団法人Circular Coreを設立し、利益を追求しない枠組みにより、産業横断で協調しやすい仕組みを整え、リサイクル材の「集める・確保する・取り去る」という基礎工程の最適化に取り組んでいる。また、北米のRadius社を買収し、50拠点の回収インフラを活かしたグローバル循環網の構築を進めている。

質疑では、たとえば「かしこい資源循環」についての質問に対し、平井氏は「豊田通商が1〜10まで全工程を自前で担うのではなく、得意分野に特化し、パートナーと役割を分担しながら材料供給とクロスボーダー循環を実現することが重要である」と述べ、「リサイクルは儲かるのか」という問いに対しては、「現状は厳しい環境にある」としつつ、グリーンスチールに見られるようにユーザーが再生材に価値を見出し始めている点を挙げ、将来的な収益性向上に期待を示した。

共栄製鋼株式会社 執行役員 本社経営企画部長 増田昌紀氏:「『エシカルスチール』を軸としたサーキュラーエコノミー社会の実現に向けた取り組み

共栄製鋼は、鉄鋼製品の製造からリサイクルまでを一貫して捉える視点を強化し「エシカルスチール」を軸にしたサーキュラーエコノミー社会の実現を目指している。同社は鉄鋼業が抱える環境負荷の大きさを直視し、資源循環、CO₂削減、製造プロセスの高度化を並行して進めることで、社会価値と事業価値を両立させる姿勢を明確にしている。

エシカルスチールとは、原料調達から製造、流通、再資源化に至るまでの工程で環境負荷と社会的配慮を徹底した鉄鋼の概念である。同社は従来のスクラップリサイクルに加え、製造工程でのエネルギー最適化や排出ガス削減技術の導入を進め、「環境に配慮した鉄づくり」を目指している。また、製造プロセスの可視化やトレーサビリティの強化により、サプライチェーン全体の透明性向上も図っている。

共栄製鋼は、国内外で高まるカーボンニュートラルの潮流を踏まえ、再生材の使用比率向上や電炉プロセスの最適化といった技術的アプローチを進化させている。さらに、自動車・建設・家電など異業種との連携を深め、使用済み製品の回収体系の整備やリサイクル性を前提とした素材設計にも積極的に取り組む。単なる「廃材の再利用」ではなく、製品ライフサイクル全体での資源循環を標準化させることが同社の重要テーマである。

こうした取り組みの背景には、従来型の大量生産・大量廃棄モデルから脱却し、環境負荷を最小限に抑えながら持続的に金属資源を活用できる社会インフラを構築するという明確な方向性がある。特に鉄鋼業は資源消費量が大きく、脱炭素化の難易度も高い業界であるが、共栄製鋼はその制約を逆に機会として捉え、素材産業の新たな価値づくりを主導しようとしている。

最終的に同社が目指すのは、鉄鋼を「環境価値を持つ素材」として再定義し、顧客企業が安心して選べるエシカルな製品供給体制を確立することである。製造者責任の範囲を製品使用後まで広げ、資源循環を産業全体の共通基盤とする取り組みは、今後の鉄鋼業のモデルケースとなる可能性が高い。

増田氏は「鉄を作る会社として、資源を使い捨てる時代を終わらせたい。エシカルスチールは、そのための“未来への約束”として守っていきたい」と発表を締め括った。

 

アプローチは異なるが、豊田通商と共栄製鋼の発表に共通していたのは、“既存技術を未来の価値へと橋渡しする”という姿勢である。両社の取り組みを聞きながら、サーキュラーエコノミーはもはや単なるリサイクル業ではなく、日本が得意としてきた加工業に近い領域へ進化しつつあると強く感じた。長年蓄積されてきた技術が新たな社会需要に応じて形を変え、より高度な処理や付加価値創出のプロセスとして再定義されているのである。

サーキュラーエコノミーが本格的に求められる時代において、こうした技術の応用力と進化の姿勢こそ、日本の製造業が持つ競争力の源泉になると感じた。

 

 

(IRuniverse Midori Fushimi)

 

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