米英格付け大手のフィッチ・レーティングス傘下のフィッチ・ソリューションズBMIは、2026年の錫価格の見通しをこれまでの$3万2000/tonから$3万5000へと上方修正した。米インデックス・ボックスなどの外電が12月3日に伝えた。供給不足が下支えし価格上昇が続くとみている。
■インドネシアなどからの供給不安定の半面、半導体需要は堅調
報道によると、フィッチは錫の需給について、生産国であるインドネシアの生産統制とミャンマーの生産不安定化により、供給が不安定化すると予想している。一方で半導体向けを中心に需要は堅調で、電気自動車(EV)や太陽光パネル向けの需要も拡大傾向にあるとみている。
■インドネシア国営、26年は2万5000トン生産見積り
過去5年間のLME錫価格の推移($/ton)

ロンドン金属取引所(LME)での錫価格は12月2日に現物$3万9250/ton、3か月先物が$3万9135を付けた。2022年5月以来の高値に戻している。
世界の錫埋蔵量と鉱石生産量
(出所:JOGMEC)
錫鉱石は中国、インドネシア、ミャンマーが3大生産国となる。このうちインドネシアは政府が密輸取り締まりに向けて一部鉱山の閉鎖や採掘ライセンスの調整などの産業整備を進行中。生産は不安定になっている。NNAアジアは11月28日、インドネシア国営のPTティマが、2026年の錫生産量を2万5000トン超と見積もったと伝えた。インドネシア政府は国営のPTティマに生産を集中させたい構えで、同社に年間3万トンの生産を要請しているが、一部地域で鉱業活動への反対運動が起きるなどして実現していない。
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ミャンマー産も一時は止まっていた錫生産の再開が伝わったが、国情が不安定な中で実際に再開された形跡がないなど、供給寄与に換算しにくい現状がある。また、中国産も濃縮物の不足などに直面しているというが、こちらはむしろEV向けなどの国内需要が大きく需給が均衡していない。
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(IR Universe Kure)