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英プロジェクト・ブルー、「Critical Materials Forum – Tokyo 2025」開催②リチウム価格落着きへ

2025/12/06 19:45
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英プロジェクト・ブルー、「Critical Materials Forum – Tokyo 2025」開催②リチウム価格落着きへ

 国際調査会社の英プロジェクト・ブルー(Project Blue、本社:ロンドン)は12月4日、東京都中央区でバッテリー、エネルギー転換に不可欠な原材料産業を対象にした専門フォーラム「Critical Materials Forum – Tokyo 2025」 を開催した。ニッケルやリチウムなどの個々の電池材料について詳しい考察があった。

■ニッケル、インドネシアは中国が支配、NPIの輸出統制はなし

 ニッケルはステンレス鋼向けが大部分を占めるものの、車載電池向けが急成長している。インドネシア産が世界のシェアの7割を占めるが、実は中国勢がインドネシアでのニッケル産業を支配している。

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 ウェルス氏は「インドネシアでは鉱床からの不純物除去をはじめ、高品質のニッケルを低価格で作ることができる」と話し、優位性を指摘した。

 バレル氏によれば、このインドネシア+中国による車載電池向けニッケルの世界でのシェアは「2027年に50%程度とピークを迎え、その後はインドネシア自体の経済成長の鈍化とともにペースが緩まる」可能性がある。ただ、同氏は「少なくとも2026年はインドネシア+中国勢の独り勝ちで、他国は減産などの措置を取り結果的に中国主体のサプライチェーン(供給網)に組み込まれる」と予測した。

 インドネシアは現在、ニッケル鉱石の輸出は停止し、国内加工業の育成を進めている。「加工物であるニッケル銑鉄(NPI)の輸出も禁止してくるだろうか?」とのIR Universeの質問に対し、バレル氏は「そこまではやらない」と否定。また、「インドネシアはEV完成車の製造までを含めたEVの全サプライチェーンを手掛けたいのではないか?」との問いには、「完成車まで手掛けたいのはやまやまだろうが、現在は中国による支配が強く、そこまではたどり着けない」と話した。

 

■リチウム、価格は落ち着き、電池向け需要は堅調

過去3か月間の炭酸リチウム価格の推移(99.5% china)(RMB/mt)

 

 リチウムは車載電池最大手の寧徳時代新能源科技(CATL)が手掛けるものをはじめ中国の鉱山が夏に一時、操業を停止し、価格が一時的に高騰した。現在は再開に伴い落ち着き始めている。ウェルス氏は「炭酸リチウム価格の底は年内で、2026年からはやや反発する」とみる。一方同氏は、水酸化リチウムについては「2026年も値下がりが続くなど価格のパフォーマンスは炭酸リチウムよりも悪いだろう」と話した。

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 リチウムはLFPにも使われることから、電池向け需要は安定的に強い。ウェルス氏は「水酸化リチウムも固体電池向け需要が期待できる」と述べた。ただ、バレル氏によれば「利益率の低い事業」なのが玉に瑕。特にアフリカ産などは採掘される鉱石の品質が悪く、「中国企業はオーストラリア産に依存している」(バレル氏)のが現状という。

■マンガン、ナトリウム 次世代電池の材料として注目

 マンガンは「EVバッテリー向け材料の中で注目の鉱物」(ウェルス氏)。マンガン鉄リチウム(MFP)、リチウムマンガンリッチ(LMR)などの次世代電池がマンガンを使用するためで、「需要が急激に増えている」(ウェルス氏)という。ただ、これも中国が供給を寡占しているのが実態で、ウェルス氏は西側諸国の対応について「リサイクルを含め2030年までにどこまでシェアに食い込めるかが重要になってくる」と話した。

 もう1つ、次世代電池として注目されているのはナトリウムイオン電池だ。ナトリウムは広く存在するため、ナトリウムイオン電池はリチウムイオン電池よりも低コストで生産できる。しかし、ウェルス氏はIR Universeのこの疑問に対し、「ナトリウムイオン電池はエネルギー密度が低く、現時点では使途が限られる」と指摘。「ニッケルと類似しているため、同じ条件なら(性能面で勝る)ニッケルが選択肢になっている」とし、「普及には一段の技術開発が望まれる」とした。

Dominic Wells氏

(IR Universe Kure)                  

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