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レアアース市場近況2025#23 小動き、クリスマスで様子見 酸化イットリウムは10年ぶり高値

2025/12/10 15:30
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レアアース市場近況2025#23 小動き、クリスマスで様子見 酸化イットリウムは10年ぶり高値

 2025年11月下旬~12月初旬のレアアース市況は小動き。生産者側の生産意欲が衰え供給が絞られる一方で、需要も貿易動向の不確実さやクリスマス接近などでさえず、様子見気分が強い。一方、特に米国で品薄感が強まる酸化イットリウムは急伸が続き、10年超ぶりの高値を付けた。

■需給ともに低調ムード、輸出はなお見極め

 米中は10月末の首脳会談を経てレアアース輸出規制に関し「一時休戦」した。ただ、実際の中国側の輸出がどこまで進むかはなお見極めにくい。

 ロイター通信は12月3日、中国政府が国内のレアアース磁石企業3社に向け、輸出認可を与えた模様だと伝えた。

 

関連記事: 中国、国内磁石3社にレアアース輸出を認可 米中会談後で初・外電

 

 上海有色網(SMM)は12月4日までの週刊レポートで、「下流の取引先の調達意欲が不十分だ」と指摘した。「クリスマス月間に入ったほか、年末に向けた在庫確保が一巡し、取引先が調達を見合わせている」と分析する。一方の生産者側は「中国の環境審査や割り当て制限により、中国の一部の精錬工場は操業を中止している」という。供給も細っているが需要も不透明感が強く、全体に動きが出にくくなっている。

■イットリウムは米国で品薄か

酸化イットリウムの価格推移(99.999% FOB China)(S/Kg)

 

 

 酸化イットリウムは12月5日に$20.75/kgと、前日($15.55)から33.5%も上昇した。2014年2月以来およそ10年10か月ぶりの高値水準となる。年初($6.1)からは3.4倍に値上がりした。

 ロイター通信は12月10日、「ガスタービンメーカーのGEヴェルノバの経営陣が、米国政府と協力してイットリウムの備蓄を増やすために動いていると明かした」と伝えた。イットリウムは航空分野などで使われるが、中国が4月に課した輸出規制により米国で深刻な品薄に陥っているという。酸化イットリウムは11月から急伸していた。

 

関連記事:レアアース市場近況2025#22 動き鈍い、中国規制懸念くすぶり酸化イットリウム急伸

関連記事:超電導材料で改めて注目されるひそかな実力者 イットリウム

 

■ジスプロシウム↓テルビウム↑ 軽希土類も方向感乏しい

金属ジスプロシウムの価格推移(99.5% FOB China)($/Kg)

金属テルビウムの価格推移(99% FOB China)($/Kg)

 

 

 もっとも、他の鉱種は動きが鈍い。4月にイットリウムとともに輸出規制の対象になった金属ジスプロシウムは12月5日に$302/kgを付けた。11月上旬から1か月近く$303を保ったが調整が入った。逆に、金属テルビウムは10月末からの1か月間の横ばいを経て11月28日に$1300/kgと小幅に上げた。

 

金属ネオジムの価格推移(99% FOB China)($/Kg)

金属ランタンの価格推移(99% FOB China)(S/Kg)

 

 軽希土類も方向感に乏しい。磁石向け需要が多い軽希土類の金属ネオジムは12月5日に仲値$105.75/kgを付けた。10月下旬から1か月ほど$107.75で推移した後、11月28日に$105.25へと2.3%下げた。12月に入りやや戻したが本格反発までは行っていない。

 金属ランタンは11月下旬から横ばい。

■中国のレアアース価格は水準切り上げ

 中国の業界団体である中国稀土協会が日次で発表しているレアアース価格の平均値は12月9日に212.3と、前日の213.5からやや下落した。12月1日には214.5839と10月上旬以来の高値を付けた。12月に入り210を上回る推移が続き、小幅に水準を切り上げている。

<Topics>

●12月8日

 中国税関総署が12月8日に発表した中国の2025年11月の貿易統計で、11月単月でのレアアース輸出量は5493.9トンと10月単月の4343.5トンから26.5%増えた。輸出の回復は2か月連続。

 1-11月のレアアース輸出量は前年同期比11.7%増と、増加率は1-10月の10.5%増から拡大した。輸出額も前年同期比0.1%増と、1-10月の2.9%減から増加に転じた。1-11月の中国のレアアース輸入額は前年同期比8.1%増と、1-10月の6.9%増から増加率が拡大した。一方、輸入量は26.1%減で、減少率は1-10月の23.3%減から悪化した。

 

関連記事: 11月の中国のレアアース輸出量、前月から27%増 米中会談で規制延期、活気づく

 

●11月26日

 インド政府は11月26日、レアアース磁石の生産計画である「焼結希土類永久磁石製造促進計画」を承認した。予算として728億ルピー(訳1271億円)を確保する。

 

関連記事:インド、レアアース磁石生産に1300億円弱投資へ 世界の主要生産国目指す

 

(IR Universe Kure)

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