中国の鉄鋼輸出量が2025年に過去最高となる見通しになっている。国内需要の低迷から輸出に活路を見出す動きが盛んで、低価格での輸出が新興国を中心に受け入れられている。デフレ輸出に悩む国々は中国産鉄鋼に輸入関税を課すが、防ぎきれていない。
■25年通年は1億1750万トン輸出の推計
中国税関総署が12月8日に発表した2025年11月の貿易統計速報で、1-11月の鋼材輸出量は前年同期比6.7%増の1億771万トンだった。
プレスリリース:(4)2025年11月全国出口重点商品量值表
単純計算した1か月平均は979万トンで、これを足した2025年通年の輸出量は1億1750万トンの推計となる。ロイター通信の12月9日報道によると、これは2015年の1億1239万トンを上回り過去最高になる計算だ。
■鉄鋼デフレ輸出、中国企業の海外進出意欲を反映
読売新聞は12月7日、「政府は、不当に安い価格で輸出される製品に課す反ダンピング(不当廉売)関税について、第三国を経由した 迂回(うかい) 輸出も対象とする方向で調整に入った」と伝えた。業界団体からかねて要望があった中国産鉄鋼などが念頭にある。中国からの直接の鉄鋼輸入については、既に8月に反ダンピング調査に入っている。
中国は長引く不動産不況で鉄鋼需要が落ち込む一方、雇用確保を優先して生産は緩めない。このため、鉄鋼は数年にわたり供給過剰だ。企業が低迷する国内価格を反映した価格で輸出するため、世界に安い中国産鉄鋼があふれる事態となった。
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反発は日本以外の各国で起き、中国産鉄鋼に輸入関税をかける動きが広がる。それでも価格競争力のある中国産鉄鋼は新興国を中心に受け入れられ、輸出は好調だった。
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内需に回復の兆しが乏しい中、鉄鋼をはじめ中国企業が海外に活路を見出す動きは2026年も加速する可能性が高い。金融アナリストの川上敦氏は12月9日のオンラインセミナーで、中国企業が海外事業を拡大する勢いを強めていることに触れ、「中国は固定資産投資など国内投資が低調だが、これをもって中国景気が不振と断定することはできない」と話していた。
(IR Universe Kure)