金融アナリストの川上敦氏のセミナー「Chuck Kawakamiの金融経済Now」の最新オンラインライブが12月9日に行われた。2026年の世界経済について川上氏は「米景気に下振れリスクがあり、世界経済を押し下げそうだ。中国のデフレ輸出も懸念材料」と予想する。 (図表はすべて「Chuck Kawakamiの金融経済Now」から)
■26年世界経済、OECD、IMFともに鈍化予想
OOECD経済予想

IMF経済予想

2026年の実質国内総生産(GDP)成長率予測については、経済協力開発機構(OECD)、国際通貨基金(IMF)の国際機関2機関がともに、直近予想で2025年からの鈍化を予測した。川上氏は「米国の成長率が鈍る見通しであることが大きい」と指摘。「製造業の回復が難しく、失業率も高止まりしている。破産件数もジワリと増えている」とし、「住宅市況もあまり良くなく、商業銀行の貸し出しなどに響いてきている」と分析した。

経済規模で2位の中国景気も相変わらずさえない状態が続きそうだ。不動産不況が継続しているのはもちろん、固定資産投資が低迷し、電力需要も増えていない。ただ、川上氏は「中国企業は海外での販売や投資に活路を見出す傾向を強めており、国内投資だけ見て中国経済が悪いと判断するのは早計だ」と慎重な見方を示した。貿易を巡っては「中国は東南アジア諸国連合(ASEAN)向けに大きな影響力を持つ。また、供給過剰経済であるため、世界に安売りするという意味でのデフレ輸出が世界経済にとっても懸念材料だ」とした。
ユーロ圏は低め安定で、「少し持ち直す期待が出てきている」(川上氏)。インドをはじめとする東南アジアは元気だが、「洪水などの天災の後始末に追われる局面がありそうだ」(川上氏)という。
■日本はまずまず、株高で街角景気改善
日本は12月8日に内閣府が2025年7-9月期確定値を下方修正したばかり。設備投資のマイナスが下方修正の理由だったが、川上氏は「日本は有効求人倍率が下がるなど雇用が安定してきている。対ユーロ圏の貿易も改善し、株高もあって街角景気も堅調だ。全体的にはまずまずではないか」と指摘した。

■円は反発予想、日中対立は経済に「大きな影響なし」
2026年の世界的な大きなトピックは米中間選挙。これについて川上氏は「民主党の郵送選挙による不自然な増加などもないと思われ、現況のムードが続くのではないか」とみる。米景気が弱含む中で、米国の政策金利引き下げは、回数は絞られつつも続きそう。川上氏は「通常の景気減速範囲内なら、引き下げ幅0.25%で2回、多くて3回」と予想した。
米成長鈍化は円相場にも影響する。川上氏は「金融膨張で資産価格クラッシュのリスクが高まっており、その場合は1ドル=130円まで円高に振れるケースも考えられる」と話す。ただ、円相場には「米利下げの頻度や日銀の利上げペースなども影響する」とも付け加えた。

話題の日中対立だが、川上氏は「大きな影響はない」との見解だ。「日本側は海産物など部分的に影響は出る。一方で、輸送用機器、自動車、自動車部品、半導体などの電子部品、集積回路(IC)、一般機械・工作機械、産業用機械など、中国側が日本からの輸入を減らせない分野も多い」とした。
(IR Universe Kure)