新経営計画「Inspire 2027」に基づくサステナビリティ戦略「PLEDGES」の一環として、資源循環を推進

回収された永久磁石モーター巻上機の外観
株式会社日立製作所、株式会社日立ビルシステム、日立のコネクティブインダストリーズ(以下、CI)、日和サービス株式会社は、日立グループの新経営計画「Inspire 2027」に基づき策定した、サステナビリティ戦略「PLEDGES」*1における「サーキュラーエコノミー」推進の取り組みとして、日立製エレベーターのリニューアル工事で交換する永久磁石モーター巻上機のリサイクル網を構築し、12月から運用を開始した。
*1 2025年6月27日付ニュースリリース「日立、サステナビリティ戦略『PLEDGES』を策定」
https://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2025/06/0627.html
幅広い産業向けの数多くのプロダクトと豊富なリサイクル経験・知見を有する日立のCIセクターは、Inspire 2027において、サーキュラーエコノミーを今後の事業の中核に据え、デジタル技術も活用しながら、資源循環に関する新たなイノベーションを創出し、地球環境の維持とお客さまのライフタイムバリュー最大化をめざしている。
こうした中、日立のCIセクターに所属する日立ビルシステムでは、エレベーターやエスカレーターのリニューアルを、最新のテクノロジーを備えたデジタライズドアセットとして進化させ、Lumada 3.0を体現するHMAX for Buildings : BuilMiraiの提供を通じて、メンテナンス品質の向上やオペレーションの効率化を実現させることができる。
回収量が今後増加するエレベーター用永久磁石モーター巻上機のリサイクルに関し、家庭用から産業用製品までのリサイクルに知見を持つ日立の水・環境事業統括本部(CIセクター所属)が、日立グループ内で先行するレアアースリサイクル技術および高度解体技術の導入を支援することで、業界に先駆けて実用化するとともに、CIセクター各社が取り扱う他の産業用モーターにも適用を拡大させることで、「地球環境の維持、人々と社会への価値提供」と「日立の持続的成長」を同時に加速させる。
1999年以降に製造した日立製機械室レスエレベーターの巻上機には永久磁石モーターを採用しているが、採用初期の製品がリニューアル時期*2を迎えている。永久磁石モーターは、エレベーター以外にも電動車や発電機、家電など、幅広い用途で用いられ、今後も多くの分野での需要拡大が見込まれるほか、環境負荷低減の観点からも、リサイクルの強化が求められている。しかし、ハードディスクドライブや家電用エアコンなどに使用される小型モーターのリサイクルは進んでいる一方、大型の産業機械用モーターは、回収の方法や解体技術に課題があり、リサイクルが進んでいない。
*2 エレベーターの法定耐用年数(償却期間)は17年
日立は、新経営計画「Inspire 2027」において、環境・幸福・経済成長が調和するハーモナイズドソサエティの実現に貢献し、持続的に成長することをめざしている。その実現に向けて策定した、サステナビリティ戦略「PLEDGES」では、「サーキュラーエコノミー」を推進している。
今回、日立製エレベーターのリニューアルで交換される永久磁石モーター巻上機を回収し、リサイクルする仕組みを構築。具体的には、日立ビルシステムがリニューアル工事で回収した巻上機から永久磁石モーターを取り外し、日立と日和サービスが永久磁石モーターを分解し、磁石を取り出すための減磁処理を施す。取り外した磁石は社外の専門メーカーで再資源化され、再生磁石として使用されるほか、銅線や鉄部材なども分離され再資源化される。
永久磁石モーター巻上機のリサイクルでは、現状、モーター総重量で年間80トン程度のリサイクル処理を見込んでいるが、今後エレベーター製品のリニューアル増加により、リサイクル対象は年間650トン程度に増える見込みであり、処理能力を増強していく。さらに、日立グループ内で扱う産業用モーターを新たにリサイクル対象に加えることで、廃棄物の削減、資源の収量確保、および再生材の需要増加をめざす。

永久磁石モーター巻上機のリサイクル網
1.輸送網の戻り便を活用した、環境・経済性に配慮した回収
回収が難しくリサイクルが進まなかった、大型の産業機械用モーターを搭載するエレベーターの巻上機を、日立ビルシステムのサプライチェーンを活用し効率的に回収。製品納入時の戻り便を活用することで、輸送専用トラックの増便をせず、環境負荷の増加を抑制する。
2.製造現場のノウハウを活用した、効率的かつ短時間での分解
永久磁石モーター巻上機にはブレーキ装置や綱車といった部品が組み込まれており、効率的に短時間で分解するためには構造理解が不可欠。そこで、日立ビルシステムの水戸事業所に永久磁石モーター巻上機分解専用職場を新設し、熟練技術者のノウハウを生かして複雑な機構を素早く分解する。
3.日立グループのリサイクル技術による資源分離
永久磁石モーターのレアアース磁石は、モーター回転子内に埋め込まれており、取り出す際は減磁処理や固定剤の除去といった資源分離の専門技術が必要。家庭用から産業用のレアアース含有製品のリサイクルに知見を持つ日立の水・環境事業統括本部による技術支援のもと、資源分離のノウハウを有する日和サービスが、モーター内部構造に合わせた磁石取り出し技術を開発した。
日立の CI セクターでは、プロダクトの豊富なインストールベース(デジタライズドアセット)のデータにドメインナレッジと先進 AIを組み合わせたデジタルサービス「HMAX Industry」を、成長産業へ水平展開する「Integrated Industry Automation」に注力している。日立ビルシステムは CI セクターの一員として、Lumada 3.0 を体現する HMAX for Buildings : BuilMirai の提供を通じて、フロントラインワーカーの現場を革新するとともに、人々のウェルビーイングの向上に貢献していく。
(IR universe rr)