フォードは12月初め、ケンタッキー州グレンデールの工場でEVバッテリー生産からの転換を図るため、従業員1,600人全員をレイオフすると発表した。
製造、物流、運輸セクター全体でレイオフが2026年に向けて増加し続けており、過去数週間で全国で4,200人以上の労働者が影響を受けた。雇用喪失は食品製造、自動車・EVサプライチェーン、トレーラー製造、港湾、倉庫、自動フルフィルメントネットワークに及び、一部の貨物指標が安定しているにもかかわらず、産業雇用全体に依然として大きな負担がかかっていることを浮き彫りにしている。
全米失業率は4.6%に上昇
2025年11月、米国の非農業部門雇用者数は前月比6万4000人増えたが、失業率は4.6%に上昇し、米連邦準備制度理事会(FRB)は12月に3連続となる利下げを決定した。FRB議長のパウエル氏は、労働市場が「徐々に冷え込みつつある」としたほか、「一段と減速する顕著なリスクがある」とも述べたとブルームバーグ外電は12月16日に伝えた。
最大の大量レイオフ:フォードの場合
フォードは12月15日、ケンタッキー州グレンデール工場の従業員1,600人全員を解雇すると発表し、同工場はEVバッテリー生産から転換する。今回のリストラの中で最大の規模をほこる。最大の大量レイオフは、ケンタッキー州グレンデールにあるフォード・モーターの電気自動車バッテリー工場の従業員1,600人全員だった。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は12月15日、フォードは同工場をデータセンターやその他の公共事業向けのバッテリー生産に転換する計画だと報じた。
南部および南西部:製造業の閉鎖、物流の統合
テキサス州では、ここ数週間で製造業および物流関連の雇用が500人以上減少した。これは、配送センターの閉鎖、電子機器製造業の操業停止、港湾関連物流の削減などが要因だ。
中西部:EV生産縮小と貨物輸送不況の影響
上述のフォードに加えて、オハイオ州では米国では砂糖精製では第3位のミシガン・シュガー社は、鉄道サービスの廃止、トラックの重量制限、設備の老朽化を理由に、フィンドレーにある倉庫施設を閉鎖により、4名の物流従業員が影響を受ける。
大手セミトレーラーメーカーのGreat Daneは、貨物需要の低迷と市場の長期低迷を理由に、エリスバーグ工場で約164人の人員削減を行う予定。
若者向けのアパレル企業のS&S Activewearはヨーク郡の配送センターを閉鎖し、128人の人員削減を行う予定。
ポテトチップス製造のPotato Chip Manufacturing LLC(Snyder of Berlin)は2月から操業を停止し、96人の人員削減を行う。
ニュージャージー州では、アンハイザー・ブッシュは、ニューアークの醸造所を2026年初頭に閉鎖し、グッドマン・グループへの売却に伴い151人の人員削減を行う予定。
西海岸:食品、林業、工業製造業が大きな打撃を受ける
カリフォルニア州では、食品加工と工業製造業において依然として大きな損失が続いている。
Swift Beef Co.は、牛の供給不足とコスト上昇を理由に、リバーサイド工場を閉鎖し、374人の雇用を削減予定。
Van Law Food Productsは、フラートン工場で50人のレイオフを発表した。
食品製造・ミールキット会社であるFreshRealmは、サンクレメンテ工場を閉鎖し、53人の雇用を削減。
Roseburg Forest Productsは、カリフォルニア州ウィードのベニヤ工場を閉鎖し、140人のレイオフを実施した。
テネシー州では、米国スパーマーケット大手のKrogerは、ナッシュビルの自動フルフィルメント施設を2026年2月までに閉鎖予定。大規模な自動化からの移行に伴い、132人の物流関連雇用に影響が出る予定。
JTEKT North Americaは、製造拠点を閉鎖し、136人の従業員をレイオフ。サウスカロライナ州グリーンビルに本社を置く同社は、自動車部品サプライヤー。
貨物輸送と物流にとってなぜ重要なのか?
人員削減の多くは、短期的な輸送量の減少ではなく、EV需要の再調整、自動化の後退、食品加工業界の統合、トレーラーおよび貨物機器製造の長期的な低迷など、構造的な変化を反映している可能性があるようだ。
貨物輸送業界にとって、この傾向は、製造業の生産量、倉庫稼働率、そして2026年に向けて長距離貨物需要に関連した労働集約型業務への継続的な圧力を浮き彫りにしているようでもある。
(IRuniverse H.Nagai)
世界の港湾管理者(ポートオーソリティ)の団体で38年間勤務し、世界の海運、港湾を含む物流の事例を長年研究する。仕事で訪れた世界の港湾都市は数知れず、ほぼ主だった大陸と国々をカバー。現在はフリーな立場で世界の海運・港湾を新たな視点から学び直している。