日本機械工具工業会は13日、東京会館本館にて2026年新年賀詞交歓会を開催した。出席者は約250名。話題の中心はやはり中国の輸出規制に係るタングステン相場の高騰、原料不足。しかし超硬合金、工具の需要はいまひとつ伸び悩んでいる、という実情が語られた。
最初に佐橋会長(住友電工常務取締役)の挨拶要旨は以下の通り。
【2025年の振り返りと現状】
- 国内: 賃上げやコスト増、価格転嫁が進み穏やかな回復傾向にあるが、自動車関連を含め生産現場の物量は十分に戻っておらず、完全な回復とは言い難い。
- 海外(米国): 関税問題などで翻弄されたが、夏以降は落ち着き、円安効果もあり実績は悪くない。ただしリスクは継続中。
- 海外(欧州・中国): 欧州はEV減速・ロシア問題で停滞感。中国は不動産不況と景気低迷で苦戦。
- 課題(重要鉱物): 中国の輸出管理(タングステン、ガリウム、ゲルマニウム、黒鉛、アンチモン、レアアース等)による原材料不足・価格高騰が深刻。アンチモン価格は一昨年の3倍に。タングステンは過去最高値をつけた。現在も高値更新中。
- 新規制: 今年1月3日発効の中国の「デュアルユース(軍民両用)品」規制強化の影響を注視する必要がある。
- 業績: 工業会の2025年度上期生産額は2,369億円(前年比+2.1%)。通期計画4,800億円のラインで推移中。
【2026年の見通しと重点課題】
- 市場予測: 不透明だが、日本工作機械工業会の予測(2025年1.8兆円→2026年1.7兆円超)を参考にしつつ、国内の補助金政策による更新需要に期待。
- 3つの重点課題:
- 原材料調達とリサイクル: 貴重な資源(スクラップ)の海外流出を防ぎ、国内還流を強化。経産省と連携し供給能力を確保。
- 海外展開サポート: ドイツ(EMO)など海外展示会への出展支援や視察。
DXの推進: 「Field System(またはIndustrial Data)」等のデータ標準化と活用推進。

来賓挨拶(経済産業省 製造産業局 産業機械課長 須賀千鶴氏)
- 情勢: 米中関係や新たな輸出管理措置など、今年も激動の1年になる見込み。
- 国内政策: 人手不足、物価高への対応。エネルギー価格対策に加え、中小企業の稼ぐ力向上と賃上げを全力で応援する。
- 成長戦略: AI、半導体、GXなどの戦略分野への投資を加速。
- 業界への感謝: 中国の重要鉱物輸出管理に対し、タングステン等に関する業界の素早い対応とリーダーシップに感謝。
- 連携: 政府としても、供給源の多角化(切り替え)や安定供給体制の確保を積極的に後押しする。
乾杯の挨拶は富士精工株式会社の森会長
- 個人の近況: 11月に2度の手術を経験。「若い時のツケが回ってきた」と医師に言われた。糖尿病は怖い病気です。
- 市場の「想定外」:
- 悪い想定外だけでなく、(富士精工は)米国・メキシコの業績好調や、日経平均の予測以上の動きなど「良い想定外」もあった。
- ただし、自動車産業の実需(量)が伴っていないため、好況の実感は薄い。
- 抱負: 今年は「良い方向の想定外」が起きることを願い、健康第一で頑張りたい。

中締めの挨拶は三菱マテリアルの小原和生執行役常務、加工事業カンパニープレジデント
- 外部環境: グリーンランドの資源獲得競争のニュースなどに触れ、何が起こるかわからない情勢。
- 構造変化: 過去20年の「中国の発展に引っ張られた成長」の時代は終わり、この3年はその余波が見られない。
- 方向性: 迷うことなく、筋肉質でしなやかな(無駄を削ぎ落とした)体制で難局を乗り越える必要がある。
- 資源循環: スクラップ・工具は大事な資源であるという認識を業界全体で共有したい。
- 締め: 「弥栄(いやさか)」の発声で手締めとなった。
(IRUNIVERSE YT)
