業界アナリストの報告によると、2026年は、規制上の遅延や地域住民からの反発という課題に直面する中で、アルミニウム企業としてのヴェダンタの原材料確保が重要な分岐点を迎える年になるとみられている。
現在インド最大のアルミニウム生産者とされるヴェダンタ・リミテッドは、将来的にコスト構造や市場競争力に影響を及ぼしかねない不確実性の高まりの中で、原材料供給網の安定化を図っている。今後数カ月間、これらの課題を並行して解決できるかどうかが、同社の将来の利益率を左右することになる。
シジマリ鉱山における遅延と社会的混乱
ヴェダンタは2023年初頭、オディシャ州に位置するシジマリ・ボーキサイト鉱山の採掘権を取得した。これは同地域における同社初の自社専用(キャプティブ)ボーキサイト鉱山である。同プロジェクトはFY25第3四半期の操業開始が予定されていたが、地元住民による反対運動や、公的同意の正当性を巡る法的問題により進展が遅れた。
その後、オリッサ高等裁判所が当該問題を処理したものの、抗議活動が続いているとの報道があった。こうした状況により規制環境は不透明さを増し、中央政府が抗議活動への懸念を理由に、同プロジェクトの森林一次承認(Stage 1 Forest Clearance、FC-1)を一時保留としたことで、状況はさらに悪化した。年末にかけて状況は好転し、12月31日にFC-1の承認が得られた。
しかしながら、同プロジェクトには依然として環境認可および森林二次承認(FC2)が必要である。ヴェダンタはFY26末の操業開始を見込んでいるが、実行までの期間が非常に短いことから、アナリストの間では懐疑的な見方が広がっている。
シジマリの重要性と供給網への圧力
シジマリ鉱山がヴェダンタ・アルミニウムにとって持つ重要性はいくら強調してもしすぎることはない。推定埋蔵量は約3億1,100万トン、設計上の生産能力は年産900万トンとされており、同プロジェクトは第三者からのボーキサイト調達への依存を大幅に低減する可能性を秘めている。
現在、ボーキサイトはオディシャ州ランジガルにあるヴェダンタのアルミナ製錬所で処理されており、同製錬所は従来、第三者から原料を調達してきた。現在の主な供給元はオディシャ鉱業公社(OMC)であり、これに輸入分が加わっている。ヴェダンタはFY26にOMCから500万トンを調達する計画で、残りは海外からの供給を予定している。
一方、ランジガル製錬所では拡張工事が進行中である。FY24時点で200万トン(2 MTPA)だったアルミナ生産能力は、FY28までに500万トンから600万トンへと引き上げられる計画である。ここで生産されるアルミナは、ジャルスグダおよびBALCOのアルミニウム製錬所に供給されており、両者の合計生産能力は240万トンで、FY28までに310万トンへと増強される見込みである。
アルミニウム1トンの生産には約4トンのボーキサイトが必要とされるため、シジマリからの自社調達は、スポット市場の価格変動からの影響を大幅に軽減することになる。これは、ギニアにおけるEGAの採掘権停止により、エミレーツ・グローバル・アルミニウム(EGA)との供給契約が破綻し、年間300万トンのボーキサイト輸入が停止したことを受け、特に重要性を増している。
OMCとの法的紛争と財務上の影響
さらに、ヴェダンタとOMCの間ではボーキサイト価格を巡る紛争が続いている。2019年に締結された長期契約では、ヴェダンタは1トン当たりINR673(7.45米ドル)でボーキサイトを購入する権利を有しており、将来の入札で価格差が生じた場合には、その差額を支払う条項が盛り込まれていた。
2020年8月、OMCは最低入札価格をINR1,707(19米ドル)とする入札を実施したが、応札はなかった。その後、OMCはヴェダンタに対し、INR28億(3,100万米ドル)の支払いを求める通知を送付した。本件はオリッサ高等裁判所に持ち込まれ、同裁判所は1トン当たりINR1,000(11米ドル)の暫定価格での供給継続を命じた。なお、同社によると、その後の一部入札では価格がINR2,957(32.75米ドル)に達したという。
重要な審理は1月12日に予定されており、不利な判断が下された場合、ヴェダンタの原材料コストは大幅に上昇する可能性がある。同社はすでに低利益率という圧力に直面している。
見通し:利益率は課題解決次第
アルミニウムは引き続きヴェダンタ・グループにおける最大の利益貢献事業であり、FY26上期のEBITDAであるINR2,236億(24.7億米ドル)の約45%を占めている。コタック・インスティテューショナル・エクイティーズは12月16日付のレポートで、一定の規制および法的課題を克服できれば、FY28には利益率がFY26上期の1トン当たり943米ドルから1,210米ドルへと改善する可能性があると指摘した。
2026年を見据えると、ヴェダンタのアルミニウム戦略の将来は、市場動向に依存するというよりも、利用可能なボーキサイト資源を確保できるかどうかにかかっている。シジマリは単なる鉱山ではなく、同社の将来を左右する転換点となり得る存在である。
*****************************
BASUNDE, Rohini(Global PR & Reporter )

インド在住。国際広報部・取材記者。文化・社会・メディア分野を背景に、記事執筆およびグローバルPR業務に携わっている。
多文化主義、異文化理解、クロスカルチュラル・コミュニケーションを主な関心分野とし、
国際的な視点から情報発信を行っている。
趣味は、絵を描くこと、写真撮影、編集、旅行、料理。
*インドに御用がある際はぜひご連絡ください→ MIRUの「お問い合わせ」フォーム又はお電話でお問い合わせください。
*****************************