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日本ガイシがセラミック技術で挑むEVバッテリー安全性 – 第18回オートモーティブワールドレポート

2026/01/27 12:09
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日本ガイシがセラミック技術で挑むEVバッテリー安全性 – 第18回オートモーティブワールドレポート

2026年1月21日から23日、東京ビッグサイトにてカーボンニュートラル、電子化・電動化、自動運転、コネクティッド・カーなどといったクルマの先端テーマに関する最新技術が集結する総合展示会「第18回オートモーティブワールド クルマの最先端技術展」が開催された。本稿では、日本ガイシ株式会社の展示内容について報告する。

日本ガイシ株式会社はセラミック加工技術を強みとし、カーボンニュートラルとデジタル社会への貢献を目指してモビリティ、エネルギー、IoT、産業分野など幅広いビジネス領域で事業を展開している。代表製品は社名の由来ともなっている「がいし」であり、世界最高強度を有するUHV(100万ボルト級)送電用がいしや、世界最大級の変電用がいしを用いたブッシングなどを開発・生産してきた。古くから受け継がれてきたセラミックスの製造手法を最新の科学技術によって再構築し、製品ごとに最適な工程条件の組み合わせを追求することで、高耐圧・高信頼性を実現している。こうした技術とノウハウの100年以上にわたる蓄積が世界100カ国以上で採用される製品群を支えている。

今回の展示ではモビリティ向けの取り組みとして、EVバッテリー用セラミック断熱板が紹介された。同製品は独自のセラミック加工技術を活かしたハニカム構造のセラミック断熱板であり、1000度以上の耐熱性と高い電気絶縁性能を有する。この断熱板はEVバッテリーが熱暴走を起こした際に発生する火災や高温ガスを受け止め、周囲への延焼や被害拡大を防ぐ役割を担う。

断熱板はセラミックをハニカム構造で組み合わせることでセル間に空気層を形成し、高い断熱性能を確保すると同時に軽量化を実現している。厚さは1.8mmと非常に薄く、車載用途における設計自由度の向上にも寄与する。日本ガイシでは、EV向けバッテリーの燃焼防止性能のさらなる向上を目指しており、現行の「5分耐える」指針を、将来的には10分程度まで延ばすことで乗員の安全な脱出時間を確保したい考えだとしている。セラミック材料が持つ最大1400度級の耐熱性を活かし、セル間に配置する断熱材としての活用を想定しているという。

本製品は現在試作段階であり、実用化には至っていないものの、自動車メーカーからの引き合いはすでに寄せられているとのこと。本展示は独自のセラミック加工技術を活用し、近年課題として顕在化しているリチウムイオンバッテリーの火災リスクに正面から向き合っている点が印象的であった。

火災そのものの発生を完全に防ぐことを目的とするのではなく、万が一の火災発生時において延焼を抑制し、ドライバーや同乗者が安全に脱出するための時間を確保するというアプローチは、実装現場を見据えた現実的かつ合理的な発想といえる。日本ガイシが長年培ってきたインフラ分野での安全思想と技術的蓄積が、モビリティ領域にも確実に継承されていることを感じさせる展示内容であった。

 

日本ガイシは2026年4月より社名を「NGK」へ変更するという。ビッグサイトからの帰り、東京駅では社名変更に関する広告が見られた。

(IRuniverse Midori Fushimi)

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