2月2日13時、大和工業は26/3期3Qの決算を発表し、業績見通しを上方修正した。なお、3Q決算なので説明会は開催されないが、同社は説明資料を作成予定しており、HPへの掲載は13日頃。
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<26/3期3Q実績>
〇実績
26/3期3Qの売上高は前年同期比82億円減の1,180億円、営業利益は同51.7億円減の34.1億円、経常利益は同105.2億円増の478.8億円、当期利益は同144.7億円増の338.6億円となった。経常利益が増益となったのは、持分法投資損益が同186.2億円増加したため。また、当期利益が経常利益より大きく伸びたのは上回ったのは、中東事業譲渡に伴う追加損失があったものの、法人税等の減少等によりカバーしたことが理由。
図表1、26/3期3Q実績(百万円、%)

出所:会社発表資料よりIRU作成
〇セグメント
●日本(ヤマトスチール)
建設業界の施工能力不足や建設コストの高止まりを背景に形鋼需要の停滞が長期化。形鋼市況は下期に入り鉄スクラップ価格が円安の影響を受け上昇するなか、漸く下げ止まり感が出てきているが、改善には至らず。ヤマトスチールは、一部製品の値上げや製販一体となった短納期対応による受注確保に努めましたが、電力費等の諸コスト上昇に加え、鉄スクラップ価格上昇による鋼材マージンの一段の悪化により、前年同期比で減収減益となった。
セグメント売上高は、同56億円減の392億円、セグメント利益は、同27.3億円減の16.0億円となった。
●タイ(SYS)
タイ国内の形鋼需要は治水事業等の公共事業やデータセンター等の民間プロジェクトを中心に回復傾向にあり、輸出を含めた販売強化等により、販売数量は前年同期比で若干増加した。しかしながら、安価な中国材との激しい競争の影響で、国内・輸出市場ともに販売価格の下落傾向は続いており、鋼材マージンは縮小し、前年同期比で減収減益となった。
セグメント売上高は、同30億円減の504億円、セグメント利益は、同15.8億円減の27.2億円となった。
●インドネシア(GYS)
新政権下での予算編成の見直しによるインフラ投資予算の大幅削減に加え、米国の関税措置による影響及び政情不安も重なり、形鋼需要は低調に推移。ASEAN拠点の中では比較的高水準の鋼材マージンを確保したが、形鋼需要が伸び悩むなか、国内外メーカーとの競争が激しさを増し、形鋼市況は一段と軟化。
セグメント売上高は、同14億円減の178億円、セグメント利益は同22.6億円減の4.9億円となった※。なお、セグメント利益には企業結合に伴う無形資産の償却額1.3億円及びのれん償却額7.6億円を含む。
※前期は25/3期は2Qから連結
〇持分法適用会社
●米国(NYS)
データセンターやスタジアム等の大型建築案件向け需要が底堅く推移するなか、政府による関税強化措置の影響に加え、高付加価値製品の製造・販売強化等により販売数量は前年同期比で増加した。販売価格は期初より上昇基調が続いており、鋼材マージンも改善傾向にあるが、前年同期の水準には若干及ばず、業績は、前年同期比並みに留まったが、安定した高収益を確保。
●ベトナム(PV VIVA)
ベトナム経済が堅調に推移するなか、形鋼需要は回復傾向にあるが、韓国向け等の輸出販売は輸出先の需要低迷の影響を受けた。業績は、前年同期比では増益だが、黒字を確保している水準に留まっている。
●韓国(YKS)
長引く建設・不動産業界の不振の影響を受け、韓国内の鉄筋需要が大幅に落ち込み、生産・販売量が大幅に減少。業績は、販売数量減及び販売価格の下落による鋼材マージンの悪化により、前年同期比で減益となった。
<26/3期業績見通し>
〇業績見通し
業績予想は、経営環境は前回予想と比較して総じて大きな変化はないものの、円安が継続していることから、売上高を1,610億円(前回予想比50億円増)、営業利益を40億円(同5億円増)、経常利益を600億円(同40億円増)に修正し、また、今4Qに投資有価証券売却益(特別利益)130億円の計上を織り込んだことにより、当期利益を530億円(同150億円増)と上方修正した。
図表2、26/3期行業績見通し(百万円、円/株)

資料よりIRU作成
〇セグメント
●日本
建築・土木案件ともに需要は停滞し、荷動きは依然として鈍いなか、製販一体となった短納期対応やJFEスチールグループとのH形鋼事業における協業など販売面の強化を図るが、数量確保が困難な局面が続いている。鉄スクラップ価格の先行高も含め、諸コスト高も相俟って採算が悪化するなか、一部製品の値上げを実行しているものの、形鋼市況が上昇基調に転じる状況には至っておらず、業績は、前回予想比で減益(前期比減益)を予想。
●タイ
政情不安は続いているものの、国内の形鋼需要は治水事業、送電鉄塔等の公共事業や観光開発、データセンター等の民間プロジェクトにより回復傾向にあるなか、安価な中国材に対抗すべく、販売戦略の強化を推し進めている。また、輸出市場においてはバーツ高が価格競争力に影響を及ぼしているが、拡販に注力し数量確保に努める。業績は、鉄スクラップ価格が想定ほど上昇しなかった影響もあり、前回予想比で増益(前期比減益)を予想。
なお、25年11月に中国からの輸入H形鋼に対し、5年間のアンチダンピング関税措置(30.86%~54.19%)が発効されている。
●インドネシア
インドネシア経済は総じて堅調に推移しているものの、内外需ともに先行き不透明感が強く、成長ペースは鈍化。インフラ投資予算の大幅削減等を背景に形鋼需要が伸び悩むなか、安価な中国材の流入は勢いを増しており、国内外メーカーとの競争環境は一段と厳しくなっている。このような環境のもと、耐震性の高い建築鋼材の拡販に加え、受注獲得に向けた販売戦略の強化等により、販売価格の下落を数量面で補完することで、業績は、前回予想並み(前期比減益)を予想。
〇持分法適用会社
●米国(NYS)
米国経済は相互関税措置による景気下振れの懸念はあるものの、旺盛なAI関連投資など内需を中心に底堅く推移している。引き続き堅調なデータセンターやコンベンションセンター、スタジアム等の大型建築案件での大型製品需要やインフラ投資等の土木関連需要を背景に、受注残は高水準を維持。また、鉄鋼製品の輸入関税引き上げにより輸入材が減少するなか、形鋼市況は高水準で推移。業績は、前回予想並み(前期比増益)を予想。
●ベトナム
ベトナム経済は堅調に推移しているが、建設業界の人材不足が深刻化してきており、形鋼需要の回復ペースが鈍化するなか、中国材等の安価な輸入材との厳しい競争環境は続いている。また、韓国向け等の輸出販売も伸び悩んでおり、業績は、前回予想比で減益(前期比増益)を予想。
●韓国
韓国経済は底打ちの兆しが見られるものの、政府主導による建設業界の安全規制強化や住宅市場安定化策の影響も受け、鉄筋需要の低迷が長期化しており、厳しい事業環境が続いている。需要に見合った生産を継続し、市況の改善を図るが、業績は、前回予想比で減益(前期比減益)を予想。
<参考>
図表3、四半期別の業績推移(百万円、%)

出所:会社発表資料よりIRU作成
(IRuniverse 井上 康)