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【SMM オンラインウェビナー】アジアの銅・アルミスクラップ市場 2025年の市場総括と2026年の展望(後編)

2026/02/12 13:28
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【SMM オンラインウェビナー】アジアの銅・アルミスクラップ市場 2025年の市場総括と2026年の展望(後編)

2月10日、SMM(Shanghai Metals Market)は「アジアの銅・アルミニウムスクラップ市場 2025年の市場総括と2026年の展望」ついて報告するオンラインウェビナーを開催した。今回は【SMM オンラインウェビナー】アジアの銅・アルミスクラップ市場 2025年の市場総括と2026年の展望(前編)に引き続き、Senior Aluminum AnalystのKY Chin氏が報告したアルミスクラップ市場の動向について報告する。

2026年に向け縮小する国際フローとトレーサビリティの重要性

世界のアルミスクラップの国際流通は縮小に向かう可能性が高い。アルミニウムスクラップはアジアだけでなく欧米にとっても戦略的資源であり、欧州や北米の輸出国は自国の供給確保を優先し始めているためである。

一方、アジア市場はアルミスクラップの最大消費地としての存在感を強めており、とりわけ中国とインドで需要の拡大が見込まれる。需要の中心は従来の建設用途に加え、電気自動車、太陽光パネルフレーム、家電などへ広がりつつある。中国でも一般用途中心の需要構造から、電気自動車や太陽光関連を含む産業用途へ比重が移る局面にある。

今後の鍵はトレーサビリティで、低炭素であることの証明や由来の説明が欧州市場へのアクセス条件として重みを増している。規制対応はアジアの輸出企業にとって競争力の源泉になり得る一方、対応が遅れれば市場アクセスの制約となる。国際フローが縮小する局面では高品位材と低品位材の区分が一段と進み、高品位材については流動性の確保が課題になっていくだろう。

2025年の輸出入動向 欧州は域内循環が中心 アジアは域内と域外の二重構造

2025年のアルミスクラップ輸出を見ると、EU27か国および英国の輸出量は478万トンで、2024年比9.6%減である。EU域外向け輸出は179万トンで、2024年比4.7%増となった。EUの輸出は域内向けが中心であり、域内取引が大半を占める。循環型経済の重要性が高まっていることを示す動きである。

NAFTA地域の輸出量は344万トンで、2024年比11%増である。域外向け輸出は230万トンで、2024年比3.14%増となった。

アジアの輸出量は304万トンで、2024年比22.6%増である。アジアのスクラップ輸出のうち域内向けが大部分を占め、2025年は最大96.7%が域内取引であった。域外向けは限定的であり、アジアから欧州やNAFTA向けの輸出は小さい水準にとどまる。

輸入を見るとEU27か国および英国の輸入量は376万トンで、2024年比12.8%減である。EU域外からの輸入は55万トンで、2024年比1.8%減となった。

NAFTA地域の輸入量は100万トンで、2024年比7.5%増である。域外からの輸入は12万トンで、2024年比50%増となった。

アジアの輸入量は770万トンで、2024年比10.8%増である。2025年は域内からの輸入が35.5%、域外からの輸入が64.5%を占め、域外依存が過半となっている。

価格面では欧州で高品位スクラップの価格が高い一方、選別体制の不足などを背景に二次スクラップは需要が弱く、価格も低い水準にとどまっている。この価格差は、欧州のスクラップ業者が二次グレードを中国、インド、東南アジアへ輸出する裁定取引の余地を生みやすい。東南アジアは東西を結ぶ生産拠点として機能し、主な製品はADC12などの二次合金インゴットである。

マレーシアのスクラップ価格は中国より低いが、10%から15%の輸出関税により裁定取引は成立しにくい。インドは欧州からの輸入先として存在感を高めているが、ADC12価格は供給過剰と下流需要の弱さから東南アジアより低水準で推移しやすい。中国広東省にある工業都市の仏山で示される価格は、13%の付加価値税を含まない条件で提示される点に留意が必要である。

政策が左右する2026年の需給 二次需要の拡大と資源争奪の激化

2026年は政策要因が市場を左右する年となるだろう。欧州では炭素国境調整メカニズムが進展し、2026年1月から財務上の義務が発生する。アジアの輸出業者は低炭素強度の確保が競争力維持の前提になる。EUでは廃棄物輸送規則の見直しやスクラップ輸出関税の可能性が取り沙汰されており、非危険金属スクラップの輸出管理は厳格化に向かう。この結果、アジアへ流入するアルミスクラップが減少する可能性がある。

米国でも重要鉱物の輸出規制が論点となっており、アルミニウムを重要鉱物として位置付け、輸出を抑制する動きが出ている。さらにUSMCAの原産地規則と国内循環の促進策により、北米産アルミニウムを使用する自動車メーカーが税制上の恩恵を受ける構造が、スクラップの域内循環を後押しする。

中国では輸入枠管理と監督体制が強化。高品質資源と固体廃棄物の輸入基準が厳格に適用され、基準を満たさない貨物は原産国に返送される。一次アルミニウムには4500万トンの生産上限が設定されており、二次とリサイクル市場の成長を促す要因となる。低炭素と循環経済の政策のもと、スクラップアルミニウムの利用は排出削減目標の達成手段として位置付けられている。

東南アジアでは規制強化が同時進行している。マレーシアはSIRIMの純度基準として輸入品に94.75%以上のアルミ含有率を求め、違法事業者の取り締まりを強化している。電子廃棄物の規制はZorba輸入に影響する可能性がある。タイでは違法リサイクル工場への取り締まりにより工場ライセンス停止が続き、ゼロウェイスト政策の進展は一部品目の輸入に影響し得る。ベトナムでは政令05/2025と輸入保証金制度が導入され、拡大生産者責任制度のもとで国内生産者にリサイクル率の証明が求められている。

インドはスクラップ輸入に2.5%の関税を維持して国内リサイクル産業を保護している一方、15%への引き上げを求める声が強まっている。2030年までにGDP当たりの排出強度を45%削減する目標を掲げ、炭素排出削減の手段としてスクラップ利用への転換を促している。加えて拡大生産者責任制度により、アルミ製品には5%の再生材使用義務が課され、2030年以降は10%へ引き上げられる予定である。これは国内市場でのスクラップ需要を制度的に下支えする。

需要見通しでは、以下の通りアジア各国で二次アルミニウム需要の拡大が続く。

中国
自動車と太陽光関連が牽引し、新エネルギー車の拡大に伴いADC12など鋳造材需要が増加。太陽光では二次材で製造可能なパネルフレーム需要が増える。

インド
都市化による建設需要が強く、窓枠やドアなど二次材由来の建材需要が伸びる。自動車分野でも一時的な需要鈍化があってもADC12は増加基調が見込まれる。

タイ
自動車の現地組立拡大でADC12需要が伸び、包装分野では飲料缶のクローズドループリサイクルが重点領域である。

マレーシア
家電の更新需要が強く、太陽光では中国系メーカーの現地投資が二次材需要を押し上げる。

ベトナム
都市化と工業化で建設用形材需要が拡大し、家電はエアコンや冷蔵庫などの初回購入層の増加が需要を支える。

アジアでアルミスクラップの二次需要が拡大する一方、西側からの供給は相対的に絞られやすい。結果として、限られたスクラップ資源を巡る競争は中国のような大口需要国、東南アジアの加工拠点、需要が急拡大するインドの間で激化する見通しである。地域ごとの価格はLMEに対するディスカウントで推移するが、競争激化と政策要因により2026年初頭にはスクラップと一次地金の価格差が縮小する可能性がある。LMEアルミニウム価格は2026年初頭の高値水準を下回る持続可能なレンジで落ち着き、2026年後半にかけて安定度を増すと見込まれる。これに伴い、ADC12など二次グレードの価格は2026年1月から2月の高値を下回る局面が想定される。

 

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(IRuniverse Midori Fushimi)

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