2月16日、MIRU取材チームは2025年にエンビプログループ代表取締役に就任した佐野文勝氏にアポイントを取り、グループ会社である株式会社エコネコル(本社:静岡県富士宮市)を訪問した。本報は前編に引き続き、エコネコルのリチウムイオンバッテリーリサイクル事業、プラスチックリサイクル事業について紹介する。
リチウムイオン電池リサイクル事業
近年、EVの普及拡大を背景に電池メーカーや自動車メーカーの生産拠点近接での処理体制構築も想定されていたが、足元ではEV市場の成長が一時的に鈍化している。このことから、エコネコルでは廃棄段階での処理ニーズが高い小型機器由来の電池や、事故リスクを伴う廃電池の処理に注力する方針を掲げている。特にLFP(リン酸鉄リチウムイオン電池)などはニッケルコバルト系電池と比較して金属価値が低く、回収資源のみで採算を確保することが難しい場合もある。
そのため、エコネコルでは産業廃棄物処理として適正処理費を受けながらリチウムなどの資源回収を行い、処理と資源循環を両立させる事業モデルを構築し、単なる焼却処理ではなく、資源回収を前提としたリサイクルプロセスを確立することで環境負荷低減と資源確保の両立を目指している。
プラスチックリサイクル事業
①RPFの製造
エコネコルのプラスチックリサイクル事業ではサーマルリカバリーの一環として、石油・石炭代替燃料となるRPF(Refuse derived Paper and Plastics densified Fuel)の製造を中核に、タイヤチップ処理も展開している。RPFは廃プラスチックや紙くずなどを原料として製造される固形燃料であり、化石燃料の代替として製紙工場などのボイラー燃料に利用される。
RPFを製造する富士工場は製紙産業が集積する静岡県富士市に立地しており、近隣の製紙メーカーが保有するバイオマスボイラー向け燃料として安定した需要がある。2025年8月に稼働した同工場の月間生産能力は最大約1,700トンであり、現在は約1,500トン規模で安定的に稼働している。
製造されるRPFは石炭相当の高発熱量(約6,000kcal/kg級)と低塩素含有量(3,000ppm以下)を両立した高品質燃料でありながら、石炭に比べて灰分が少ない点も特徴で既存の石炭ボイラー設備でも安定的に使用することが可能となる。
さらに、塩素許容度が比較的高い製鋼所の加炭剤用途では、使用済み自動車由来のASRを原料の一部として活用することも可能である。このように、通常は処理が難しいASRを燃料として資源化することで、廃棄物の有効利用と最終処分量の削減に貢献している。


②タイヤチップの処理
近年、廃タイヤは発熱量が高く石炭に匹敵するエネルギー特性を持つことから、石炭代替燃料として注目されている。こうした背景を受け、エコネコルはプラスチックリサイクル事業の一環として静岡県富士宮市の工場にタイヤチップの選別処理プラントを立ち上げた。タイヤチップの資源化における最大の課題はタイヤ内部に補強材として大量のスチール(鉄のワイヤー)が含まれる点にあり、この金属異物を除去できないと燃料や原料として利用できないケースが多い。
エコネコルは依頼元が20〜25mmに破砕したタイヤチップのうち、特に金属異物が多く石炭代替燃料として使い切れないものの再処理を担い、分離後のゴムは再生資源として依頼元へ供給している。一方、回収した金属は生の鉄スクラップとして純度を高めたうえでエコネコルが買い取り、再資源化している。処理費収入に加え、回収金属の販売収益も得られる構造であり、資源回収と収益性を両立する資源循環型のビジネスモデルとなっている。
タイヤチップに含まれるスチールは、単純な破砕や磁選だけでは金属分を十分に分離できないため、エコネコルでは振動選別、再破砕、磁力選別など複数工程を組み合わせ、ゴム資源として再利用可能な状態まで選別・精製している。タイヤチップの高度選別は技術的難易度が高く、日本国内でも同様の処理を実施できる事業者は限られているとされる。こうした処理難物への対応力は、複数の選別工程を組み合わせて資源価値を最大化するというエコネコルの強みが発揮される領域である。
昨今、石炭代替燃料としての需要拡大を背景にタイヤチップ価格が上昇しているほか、ゴムを化学的に分解して再びタイヤ原料として利用する「タイヤtoタイヤ」の水平リサイクルの取り組みも進み、廃タイヤの資源価値は高まっている。エコネコルは処理困難なタイヤチップの再資源化を進めることで事業拡大を図る一方、日本国内では使用済み自動車(ELV)の減少に伴い廃タイヤ発生量が減少傾向にあるため、安定的な回収量の確保が今後の課題となるという。




エコネコルは筆者の住む静岡県静岡市においてもテレビCMが放映されており、BtoBを主軸とする企業でありながら、リサイクル企業として地域住民に広く認知されている。今回取材した富士工場のRPF事業は、地元の産業と密接に連携した地域の産業構造と資源循環を結び付けた好例で、バイオマスボイラー向け代替燃料の需要を背景に今後も安定した成長が見込まれるだろう。また、石炭代替燃料としてのタイヤチップ処理や、処理難度の高い廃棄物の選別・資源化は、脱炭素社会の進展とともに重要性を増す分野である。高度な選別技術を基盤に、廃棄物から最大限の資源価値を引き出す同社の取り組みは、地域における循環型社会の実現を支えると同時に、今後の資源制約時代において一層の存在感を高めていくものと考えられる。
(IRuniverse Midori Fushimi)