硫黄価格が上昇している。3月5日にはRMB4246/tonを付けた。3月に入ってからの上昇率は8.6%に達する。米イスラエルとイランの紛争でホルムズ海峡が実質的に閉鎖され、中東産硫黄の輸送が滞っているとの情報が入った。硫黄はニッケル製錬で必要不可欠なため、ニッケル銑鉄価格も連想的に上昇している。
■世界の硫黄、4割がホルムズ通過
過去3か月の硫黄価格とニッケル銑鉄価格の推移(RMB/ton)(RMB/MTU)

硫黄価格は2025年12月上旬にRMB4261と過去最高値を付け、もともと供給ひっ迫感が強まっていた。ブルームバーグの3月5日までの報道によると、今回はホルムズ海峡の実質閉鎖に伴う海上輸送の混乱で、複数の硫黄運搬船がペルシャ湾で立ち往生しているという。
中東は硫黄の一大生産地域でもある。硫黄の生産世界トップクラスは米国と中国だが、3位につけるサウジアラビアをはじめ、アラブ首長国連邦(UAE)、カタール、クウェート、イランなどを合わせればまとまった量になる。中東産を含め、硫黄は世界の海上貿易の約半分に当たる年間約2000万トンがホルムズ海峡を通過するという。
代替製品はカナダ産などが考えられるが、即座に需要を満たせるとの見方は少ない。ブルームバーグは、「それでも中国勢とインドネシア勢によるカナダ産硫黄の需要が、過去数日間に激増している」と伝えた。
■MHP生産に硫黄含有の電解液を使用
中国勢はインドネシアでニッケル精錬を手掛けるケースが多いが、この工程で硫黄が必須となっている。インドネシアで生産が盛んなニッケル化合物である混合水酸化物沈殿物(MHP)の生産過程では、硫黄を含む電解液を用いる。ブルームバーグによるとMHP生産における硫黄のコストはコスト全体の4割程度に達する。
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インドネシアでのMHP以外にも、中国が製品生産過程で中東産硫黄に頼る部分は大きい。
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中国は3月5日開幕の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で、2026年の経済成長目標を、前年比4.5%~5%程度と2025年までの5%成長から下方修正した。1991年の目標公表以来、過去最低の成長率目標となる。成長鈍化を政府自らが容認した形だ。
「世界の工場」中国の製造業の失速で、世界の製造業は過去数年間にわたり低迷してきた。硫黄の供給ひっ迫はそんな中国経済に一段の打撃になりかねず、ひいては世界経済の影の下押し役になる可能性もある。
(IR Universe Kure)