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Fe scrap watch2026#3 鉄スクラップ輸出価格が5万円台へ続伸、中東緊迫と円安が招く「コストプッシュ型」上昇の実態と今後の展望 H2は6万円台へ?

2026/03/11 15:46
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Fe scrap watch2026#3 鉄スクラップ輸出価格が5万円台へ続伸、中東緊迫と円安が招く「コストプッシュ型」上昇の実態と今後の展望 H2は6万円台へ?

■ 関東鉄源テンダーは前月比2,038円高、JFE商事が強気の落札

3月の関東鉄源協同組合の輸出テンダーにおいて、H2(FASベース)の落札価格が前月比2,038円高のトン当たり50,121円を記録した。バングラデシュ向けかと推測される。今回のテンダーはJFE商事が落札したが、未曾有の運賃高騰により海上運賃(フレート)の先行きが見通せないなかでの落札決着に対し、市場関係者からは「フレートが決まっていない状況下でよく決断した」と驚きの声も上がっている。市中でのスクラップ発生量の少なさも相まって需給はタイト化しており、国内の実勢相場も底上げされることは必至の情勢となっている。11日16時にはやはり東京製鐵が全工場でスクラップ買値をトン2000~2500円の値上げを発表した。東鉄田原のH2買値はトン当たり48000円となる。H2の湾岸価格はすでに47,000円を超えている。新断で52,000円前後が実勢。

ちなみに

筆者は年末にH2の60,000円を予想していたが、それは比較的早期に達成する、やもしれない。

【年末企画】鉄スクラップ総合 26年相場予想 H2の6万円台は堅い

 

(関東鉄源テンダーの推移)

■ 国内市場の実態:建設着工の歴史的低迷と電炉生産の縮小

輸出相場が高騰する一方で、国内の鉄鋼実需は極めて冷え込んでいる。国土交通省の統計によれば、2025年(1〜12月)の新設住宅着工戸数は前年比6.5%減の74万667戸となり、3年連続の減少を記録。これは1963年以来、実に62年ぶりの歴史的な低水準である。加えて、資材高騰により鉄骨造(S造)やRC造の建築費が著しく上昇しており、事業者の着工見送りや計画縮小が相次いでいる。

この深刻な建設需要の低迷は、国内の鋼材生産動向(末尾図表参照)にも如実に表れている。2025年暦年の電炉粗鋼生産量は前年比5.5%減と落ち込み、建設用鋼材である小形棒鋼は同5.7%減、H形鋼も同8.7%減と軒並み大幅なマイナス基調が続く。国内電気炉メーカーのスクラップ消費(実需)がさほど強くない最大の理由はここにあるが、それにもかかわらず外的要因によって国内相場が引き上げられているのが、現在の特異な市況構造である。

■ 「オイルパニック」の様相、シンガポールバンカーは1,000ドル超え

今回の価格上昇の根底にあるのは、中東情勢の悪化に伴う燃料価格の異常な高騰である。船舶燃料の指標となるシンガポールのバンカーオイル価格はトン当たり1,000ドルを突破した。運賃コストの急激な上昇がそのままスクラップの輸送コストを押し上げ、需給ファンダメンタルズとは独立した形で価格が上がり続ける一種の「オイルパニック」の様相を呈している。

■ 米国産スクラップの高値成約と広がる地域間価格差

関東鉄源の落札価格をドルベース(FOB)に換算すると実態は320ドル程度だが、記録的な円安が円建て価格を5万円台へと押し上げている。一方で、海上運賃の高騰は各国の輸入価格(CIF)に直接的に跳ね返っている。先週の米国産鉄スクラップ(HMS)の成約状況を見ると、バングラデシュ向けでトン375ドル、インド向けでは400ドルの高値が出ている。輸送距離に比例して着値が跳ね上がっており、広範な地域でコストプッシュ型の価格上昇が起きている。

(バングラデシュ&ベトナムの輸入鉄スクラップ相場の推移)

(為替円ドルTTSの推移)

■ イラン産半製品の供給停止が招く日本産鉄スクラップの高騰

今後のアジア市場における最大の懸念材料は、イランからの鉄鋼半製品(ビレット)の供給停止である。年間約300万トン規模を輸出しているイランからの供給が絶たれたことで、周辺国への影響が出始めている。特にベトナムだ。

現在、ベトナム向けの米国産スクラップ(HMS)はトン360ドルで推移しているが、イランからの半製品が入らない以上、ベトナムは代替として鉄スクラップを輸入してしのぐ他ない。米国産や欧州産も物流難や運賃高に直面する中、相対的に調達の現実性が高い「日本産スクラップ」へと買いが集中する公算が極めて大きい。

■ 今後の展望:すべてはイラン情勢の行方次第

今後の鉄スクラップ市況、そして幅広い産業へのコストプッシュ圧力を左右する最大の焦点は「イラン情勢」である。

現在、ホルムズ海峡周辺では機雷が敷設されているとの情報もあり、多数の船舶が停船を余儀なくされ、物理的に動けない状態に陥っている。米国とイランの衝突が短期的に終結すれば、各種の相場は急速に安定を取り戻し、ホルムズ海峡の物流も正常化に向かうだろう。

しかし、事態が長期化すればイランからの半製品輸出は止まったままとなり、特にベトナムの鉄鋼生産は致命的な打撃を受ける。鉄鉱石(トン104ドル)や一般炭(トン140ドル)の高止まり、中国・宝武の4月値上げ発表など製品価格への波及が確実視される中、物流網の麻痺が長引けば、日本産スクラップのさらなる価格上昇は避けられない。


【参考データ】鉄鋼・鋼材生産動向(単位:千トン)

期間

銑鉄

(%)

転炉

(%)

電炉

(%)

粗鋼計

(%)

小形棒鋼

(%)

H形鋼

(%)

2023 cy

63,042

-1.7

64,167

-1.9

22,834

-4.2

87,001

-2.5

7,361

-4.3

3,416

-6.3

2024 cy

61,026

-3.2

61,957

-3.4

22,052

-3.4

84,009

-3.4

6,798

-7.6

3,081

-9.8

2025 cy

58,452

-4.2

59,831

-3.4

20,840

-5.5

80,671

-4.0

6,413

-5.7

2,811

-8.7

2022 fy

63,069

-9.2

64,326

-9.6

23,513

-4.0

87,839

-8.2

7,613

-1.9

3,611

-0.3

2023 fy

62,764

-0.5

63,849

-0.7

22,979

-2.3

86,828

-1.2

7,369

-3.2

3,367

-6.8

2024 fy

60,452

-3.7

61,368

-3.9

21,586

-6.1

82,954

-4.5

6,637

-9.9

2,969

-11.8

2024 9

4,802

-5.6

4,794

-6.8

1,829

-3.0

6,623

-5.8

568

-7.6

248

-13.6

2024 10

5,075

-6.1

5,101

-6.8

1,824

-10.5

6,925

-7.8

567

-11.0

249

-9.4

2024 11

5,012

-0.4

5,090

-0.0

1,798

-11.0

6,887

-3.1

571

-9.8

247

-11.1

2024 12

5,172

2.1

5,219

1.7

1,688

-8.9

6,907

-1.1

520

-11.0

248

-8.8

2025 1

5,075

-5.0

5,146

-5.2

1,640

-10.7

6,787

-6.6

505

-10.6

237

-12.0

2025 2

4,600

-8.2

4,661

-9.0

1,738

-7.0

6,399

-8.5

524

-8.5

215

-14.2

2025 3

5,145

2.1

5,298

3.0

1,913

-6.8

7,211

0.2

592

-8.1

254

-14.7

2025 4

4,736

-5.9

4,829

-5.7

1,774

-8.3

6,603

-6.4

550

-12.8

226

-10.7

2025 5

4,960

-4.2

5,074

-4.0

1,761

-6.6

6,835

-4.7

536

-5.4

250

-8.7

2025 6

4,759

-5.7

4,823

-5.9

1,887

-0.7

6,710

-4.5

572

-2.8

246

-4.7

2025 7

5,064

-1.5

5,200

-0.5

1,719

-8.2

6,918

-2.5

531

0.7

199

-20.0

2025 8

4,997

-3.4

5,114

-3.6

1,521

-2.7

6,635

-3.4

459

-3.8

227

-4.5

2025 9

4,612

-3.9

4,735

-1.2

1,641

-10.3

6,377

-3.7

529

-6.9

217

-12.3

2025 10

4,851

-4.4

5,062

-0.8

1,792

-1.7

6,854

-1.0

586

3.5

226

-9.2

2025 11

4,838

-3.5

4,973

-2.3

1,804

0.4

6,776

-1.6

540

-5.5

257

4.1

2025 12

4,813

-6.9

4,916

-5.8

1,650

-2.3

6,566

-4.9

488

-6.1

257

3.6

2026 1

4,974

-2.0

5,090

-1.1

1,661

1.3

6,751

-0.5

458

-9.2

248

4.7

出所:経済産業省「生産動態統計」 速報値:日本鉄鋼連盟

(%) = 対前年同期比

(IRUNIVERSE YT)

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