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テスト・評価工程改善で開発速度の加速へ――アンリツが挑む次世代モビリティ開発支援

2026/03/13 09:00
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テスト・評価工程改善で開発速度の加速へ――アンリツが挑む次世代モビリティ開発支援

インタビューに答えてくれた晴山部長(右)と宮﨑課長

 

電動化の進展に伴い、自動車開発の現場では大きな変化が起きている。脱炭素社会の実現に向けてEV(電気自動車)の普及が世界的に進む中、自動車メーカーには従来以上のスピードでの製品開発が求められている。一方で、車両は人命を預かる製品である以上、安全性や信頼性を確保するための検証は決して疎かにできない。開発期間の短縮と品質確保をどのように両立させるのか――。この課題は、世界中の自動車メーカーに共通するテーマである。

 

こうした背景の中、試験電源や計測技術、シミュレーション技術を組み合わせることでEV開発の効率化を支援しているのがアンリツグループである。アンリツ環境計測カンパニーのソリューションマーケティング部の晴山智成部長と、同部パワエレソリューションチームの宮﨑裕久課長に話を聞いた。

 


EV開発における最大の課題は「開発スピード」

 

――現在のeMobility開発における課題は

宮﨑氏:近年、EV市場は急速に拡大している。テスラをはじめとする新興メーカーや中国メーカーの台頭によって競争は激化しており、自動車メーカーにとっては開発スピードの向上がこれまで以上に重要になっている。そのため、開発コストを抑えながら開発期間を短縮することが大きなテーマとなっている。

 

 

そのような環境下で当社は主に自動車メーカーや電動化関連企業の開発部門に対して試験装置や評価ソリューションを提供している。特にEVやPHVなど電池を搭載する車両の開発においては、バッテリーやインバーター、モーターといったパワートレインの評価が重要になっており、そうした評価工程で使用される試験電源や計測装置を中心に事業を展開している。

 

晴山氏: EVの普及には様々な課題がある。例えば、航続距離を伸ばすためのバッテリー性能の向上、充電インフラとの適合性、さらには安全性の確保などがある。特にEVの場合、バッテリーの性能や効率が車両全体の価値を大きく左右し、OEM(完成車メーカー)の利益にも直結してくる。

一方で、日本のOEMは海外と比べ、EV車種のリリース数が少ないのが現状。限られた開発リソースの中で車種を増やしていくためには、設計だけでなく評価工程の効率化が不可欠であると我々は考えている。

 


高砂製作所のRZ-X2-100K(高砂製作所ホームページより引用)

 

――具体的なソリューションの一つである双方向直流電源システム「RZ-X」シリーズの強みは

宮﨑氏:双方向直流電源とは、電力を供給するだけでなく、評価対象機器から電力を吸収できる電源である。例えば、バッテリー(2次電池)試験では充電(供給)および放電(吸収)する役割を担う。また、インバーターやモーターの試験では、ブレーキ動作時に回生エネルギーとして戻ってくる電力を吸収することができる。

 

「RZ-X」シリーズは2022年1月にアンリツグループの一員となった高砂製作所(川崎市)が開発したもので、バッテリーとインバーターの試験の両方に使用できる点が強み。バッテリー試験用電源とインバーター試験用電源をそれぞれ用意するケースが多い中で、同シリーズを採用すれば投資コストやスペースを節約することが可能となる。

 

自動車OEMではバッテリーとインバーターを試験する部門は異なり、試験装置も別々となることが多いため、「RZ-X」は両部署門で採用できる柔軟性が高い仕様とした。100kW単位で直列や並列接続することで電圧や電流容量を容易に拡張することもできる。この柔軟性は設備稼働率に寄与する為、現在は大手自動車OEMにも採用されている。


 


(アンリツ社ホームページより引用)

 

――高砂製作所だけでなくDEWETRON社(デヴェトロン)もグループに加わった

晴山氏:DEWETRONは、オーストリアに本社を持つ高精度・多機能なパワー計測とデータ収集システム(DAQ)の専門企業。同社のソリューションは航空宇宙や自動車、再生可能エネルギーなど幅広い分野で利用されており、2025年10月にグループ企業となった。同社の技術により、パワー計測と、供試体の物理的な変化を幅広くつかむことが可能となり、モビリティの電動化開発の効率を高めることができる。

 

宮﨑氏:DEWETRONのデータ収集ソリューションの強みとしては1つの筐体に電力と物理信号(振動、音、温度、カメラ映像、GPSなど)の両方を集約し、同期して記録できることがあげられる。また電力測定では基本周波数0.5Hz~1kHzまで±0.04%の高い測定精度を誇る。

 

晴山氏:またDEWETRONはユニットを追加することで多チャンネル計測に拡張できることも特徴である。電力の変化に伴い多種の物理信号がどう変化するかを評価できる。インバーターやモーターの評価試験では採取する項目(チャンネル)が非常に多いため、高砂製作所の試験電源との相乗効果も期待できる。

 


シミュレーションと実機試験を融合するPower HIL

 

――高砂製作所とDEWETRON社の強みは理解できた。ではアンリツ社としての役割は?

宮﨑氏:アンリツの強みは試験電源と計測装置による実機試験に、シミュレーション技術を融合させた統合テストソリューションである。近年の自動車開発ではシミュレーション技術の活用は必須となっており、設計段階では仮想環境で多くの検証が行われている。当社はシミュレーションと実機試験を組み合わせた、より実車に近い評価環境「Power HIL」の構築を進めている。

 

「Power HIL」とは実電力でパワトレ試験を支える「Power-source」とこれまでECUを対象に信号レベル検証を行っていた「HIL」を組み合わせたPowerレベルのHILシミュレーションのこと。シミュレーションと実測評価のギャップを繋ぐ新たな開発評価手法といえる。

 

 

例えばEVの充電試験では、CHAdeMO、CCS、GB/Tといった各国の充電規格に対応する必要がある。従来はそれぞれの充電器を実際に用意して試験を行っていたが、Power HILでは電源装置とシミュレーターを連携させることで各種充電器の動作を再現することができる。

 

晴山氏:これは高砂製作所の「RZ-X」シリーズの特徴を活かし、アンリツが培ってきた通信技術やソフトウェア技術でHILシミュレーターと連携させることで成立するソリューションといえる。


(IRuniverse K.Kuribara)

 

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