日本製鋼所は、原子力部材の主要部材である原子力圧力容器で世界シェア8割をキープしていることを確認した。
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原子力発電部材について日本製鋼所に電話取材を行った。同社は世界屈指の規模を誇る 1.4万トンプレス機を 2基有しており、それを利用して大規模80万キロワットクラス以上の原子力発電所の部材を生産している。未だに原子力圧力容器の世界シェア8割を維持している。同様の設備は他国にもあるが、大型原子力部材を生産できるのは同社のみである。これは、670トン規模の巨大インゴットの生産技術を有していることが大きい。この巨大インゴットから原子力部材を生産するが、安全面から接合部分が少ない方が安全であるため、その技術を有している同社に生産依頼が世界からくる。2000年前半に起こった原子力ルネッサンスと言われた時は、原子力部材を生産している同社の室蘭製鋼所に世界中の原子力関係者が、室蘭詣でをしていたほどだ。当時、欧米の原子力委員会は、同社の生産能力を気にしながら建設許可をだしていたほどだ。
現在は、そこまでのひっ迫感は無いが、未だに原子力発電所の部材に関しては同社に発注がある。同社は原子力圧力部材を最も接合部分を少なく※1製造している。他社は、大きなインゴット※2が生産できないため接合部分が増える。なお、中国製と言われるCAP1000タイプのものは、WH社のAP1000を応用した技術で、欧州型とも言われており、大型部材は未だに同社が納入している。同様に中国独自設計と言われる華龍一号タイプも、もとはロシアの原発VVERをベースにしたものだが、こちらの原子力圧力容器には、中国製が使われているようだ。海外メディアのプレスを見ると、接合部分が多いことがわかる。
※1:同社製品でも大規模なものは4-5パーツ(上蓋、下蓋を含む)に分かれる。同レベルの規模であれば他社はそれ以上からなる。また、蒸気発生装置などと接合する部分を同社は、くりぬいて製造するが、他社は溶接してその部分を作っている。
※2:インゴットを地球上で製造する際、どうしても重量が影響するため、均一な巨大インゴットを生産するのが難しく、そこにノウハウが必要になる。また、同社が使用している1.4万トンのプレス機(同社は2基保有)はドイツメーカーでも生産できるため、そこから購入可能だが、同社のプレス機は自前で製造したもの。重要なのは設備ではなく、均一な品質の巨大インゴットを作るノウハウ。
また、原子力圧力容器以外にも二次系(原発以外にも火力発電でも使用する発電機の部材)のローターシャフトについても、同社の世界シェアは高い。理由は原子力圧力容器同様。接合部分がない一体製品であるため、安全性が高いことが背景にある。他社は焼き嵌めや溶接(現在では、溶接が増えているようだ)によって生産している。
中国は先の全国両会(全国人民代表大会・中国人民政治協商会議)で主要設備の国産化9割を達成したとしているが、どこまでのパーツをカウントしたものなのかは公表していない。2000年に始まった中国の大量の原子力発電所建設計画時に、国産化8割を目指していたが、当時もどのパーツまでカウントしているのか公表していなかった。
(IRuniverse 井上 康)