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GPS電波妨害がホルムズ海峡付近の船舶交通を歪める

2026/03/27 08:36
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GPS電波妨害がホルムズ海峡付近の船舶交通を歪める

3月10付けの米国海事メルマガ「gCaptain」の報道によれば、船舶追跡プラットフォームMarineTraffic(ギリシャ)の新たな分析によると、アラブ首長国連邦沿岸付近で検出された電波妨害により、船舶がホルムズ海峡に向かって直線的に航行しているように見える現象が発生しているようだ。

 

実際には船舶はそのような航路を辿っていないにもかかわらずだ。

 

この異常は、協定世界時(UTC)15時頃、アラブ首長国連邦のラス・アル・ハイマ沖で初めて観測された。AIS(船舶自動識別システム)を使用した船舶の位置が、通常の船舶航行とは矛盾する長い直線状のパターンで表示され始め、後のAISデータの再生分析によると、これらの動きは実際には存在しないことが確認されている。

 

「船舶の航跡は、同時期の船舶の動きや報告された針路と比較すると、明らかな矛盾を示している」とMarineTraffic担当者は述べ、見かけ上の航行は実際の船舶活動ではなく、電波妨害によるものだと指摘した。

 

電波妨害への懸念が高まる

 

この事態は、海上保安当局が、湾岸地域全体で船舶航行システムに影響を与える電波妨害が増加していると警告している中で発生した。

 

英海軍の関連機関であるUKMTO(英国海事貿易オペレーション)と連携する多国籍の共同海事情報センター(JMIC)は、3月10日に発表した最新の勧告で、イランとの紛争激化の中、ホルムズ海峡とその周辺海域は商船にとって「重大な運用リスクレベル」にあると述べた。集計されたオープンソースの監視データと海上報告によると、過去24時間で、作戦海域全体で600件以上のGPSないしGNSS(全球測位衛星システム)妨害事象が報告されており、位置ずれ、AIS異常、断続的な信号劣化などの影響が確認されている。

 

欧州連合(EU)による海上安全保障センター・インド洋(MSCIO)は、アラビア湾、ホルムズ海峡、オマーン湾全域でGPSおよびAISのなりすましが継続的に発生していると警告し、通信システムやレーダーシステムにも影響が出ていると付け加えた。

 

この勧告では、同地域の航行システムは「極めて信頼性が低い」と指摘し、船舶に対し、同海域を航行する際にはレーダーと目視航法をより重視するよう促している。

 

船舶交通の停滞

同地域の安全保障情勢は依然として極めて不安定である。MSCIOの勧告によると、アラビア湾、オマーン湾、北アラビア海、ホルムズ海峡全域で軍事作戦が継続しており、同地域の海上安全保障環境は「著しく悪化している」と警告している。

 

2月28日以降、MSCIOは商船が関与する少なくとも14件の事案を記録しており、これにはタンカーやコンテナ船への砲弾攻撃、船舶付近での爆発、ドローンによる攻撃などが含まれる。

 

結果として、2千隻の商船と2万人の船員がアラビア湾およびオマーン湾西部の港に停泊、待機、または停泊状態にあり足止めされている。

 

MSCIOは現在、船舶に対し、治安状況が改善するまでホルムズ海峡の航行を避け、同海域に入る前に航行リスク評価を強化するよう勧告している。

 

データ改ざんが海運情報に打撃を与える

 

航行情報の偽装は、世界の海上輸送の流れを追跡するためにAISデータに大きく依存している海事情報会社やエネルギー市場アナリストの業務を複雑化させている。

 

MarineTrafficによると、現在UAE沿岸付近で観測されている偽装パターンは、船舶が停泊中または別の場所を航行している場合でも、ホルムズ海峡を通過しているかのような錯覚を生み出しかねない危険性あると指摘している。

 

Marine Trafficの開発元でもある総合エネルギー分析会社ケプラー(Kpler)は、偽装された航行データによって生成される誤った信号(ホルムズ海峡の誤った通過や誤った寄港など)を除去するために設計された、強化された監視プロトコルを導入したと述べている。

 

拡大する「航行の霧」

 

電子航行妨害は、現代の海上紛争環境においてますます重要な要素となっている。

 

GPSよりも高度なGNSSへの電波妨害であっても、船舶追跡プラットフォーム上に「架空の船舶」の航跡を生成し、それが船舶運航者、保険会社、海上保安当局の状況認識を困難にしている。

 

ホルムズ海峡における深刻な脅威環境を警告する海上保安勧告が出される中、偽装された航行データの出現は、電子戦が世界で最も重要なエネルギー回廊の一つにおける商船運航に直接的な影響を与えていることを浮き彫りにしている。

 

(IRuniverse H.Nagai)

世界の港湾管理者(ポートオーソリティ)の団体で38年間勤務し、世界の海運、港湾を含む物流の事例を長年研究する。仕事で訪れた世界の港湾都市は数知れず、ほぼ主だった大陸と国々をカバー。現在はフリーな立場で世界の海運・港湾を新たな視点から学び直している。

 

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