豪州のビクトリア(VIC)州Geelong近郊のCorioにあるViva Energy社が所有・運営している製油所で、4月15日の夜中、爆発とともに火災が発生した。最近の中東情勢によって世界的な燃料危機が叫ばれるなか、そもそも豪州国内に2つしか残っていなかった石油精製所のうちの1箇所に起きた大事件ということで、国内では非常に大きなニュースになっている。
現地の複数の大手メディアによって報じられている情報を簡単にまとめると、まず、火災発生は15日水曜日の夜11時過ぎ。そして、懸命な消化活動により発生から13時間以内に鎮火した。大火災だったということだが、同製油所が火事やアクシデントなどの際の影響を最小限に抑えるよう設計されていたということもあってか、被害は施設外には広がらずに済んだ模様だ。
火災の背景について、VIC州消防救助局(FRV)は、“機器の故障”が関係しており、火災は“液状炭化水素およびガスの大規模な漏洩”によって助長された、との見解を示しているという。当局も昨日(16日)午後、この漏洩の原因は設備の機械的故障によるものだと発表したが、災の直接的な発生原因は未だ解明されておらず、公式調査はこれから行われるそう。
同製油所は1954年に、Shell Australia社によって操業が開始された。現在は1,000人が勤務しているというこの製油所は、VIC州の燃料の50パーセント以上、そして豪州全体で見ても約10パーセントを供給している。1日あたりの処理能力は原油最大12万バレルで、ガソリン、ディーゼル、LPG、ジェット燃料などの燃料を生産している。
ABCニュース(4月16日)によれば、Viva Energy社の製油所マネージャーBill Patterson氏は今回の火災後、メディアに対し、自社は依然として「ガソリン、ディーゼル、ジェット燃料をかなり順調なペースで生産している」と明かし、「大きな影響は出ていない」と述べている。
また、同氏曰く、今回の火災の影響を受けた特定のエリアは、LPGの生産、および、豪州遠隔地の一部に供給されている低芳香族ガソリン(ガソリンの吸引防止を目的とした製品)の製造に関与する部分。製油所の残りの設備に関しては、火災の詳細が判明し安全の確認が取れるまでの間は、減産状態で稼働していくということだ。
VIC州政府のLily D'Ambrosioエネルギー大臣はSBSニュースに対し、今回の火災はディーゼル燃料やジェット燃料には影響を与えていないと語り、また、ガソリンはディーゼルに比べ代替品の確保が容易である点も指摘している。
なお、豪州のもう一つの製油所は、QLD州ブリスベンにあるAmpol社のLytton施設。現在はこれら2つの施設が、国内の燃料供給量の約10-20パーセントを占めているとのこと。20年余り前、豪州には国内の燃料需要の大部分を賄える8つの石油精製所があったというが、21世紀に入って以降、閉鎖が相次ぎ急速に縮小。今では、燃料消費量の約90パーセントは輸入に依存している。
とはいえ、オーストラリアン・ファイナンシャル・レビュー(AFR)紙(4月16日)によれば、今回の火災は、現在の世界的な燃料供給逼迫のなかで最大稼働を維持できるよう、Viva社のVIC州の製油所、Lytton製油所ともにメンテナンス作業を延期していたなかで起こったとのことで、“最悪のタイミングでの火災”であったことに異論の余地はなく、余波も計り知れない。
ただし、連邦政府のChris Bowenエネルギー相は、今回の火災を受けての燃料配給制の導入に関しては現時点では明確に否定しており、また、アンソニー・アルバニージー首相も、現時点で政府の4段階からなる国家燃料安全保障計画の次の段階(第3段階)を発動させることはないとの見解を示している。
(IRUNIVERSE A.C.)