2026年4月19日〜20日に中国・上海で開催された「第13回 軟包装カンファレンス(プラスチック包装材交流会)」。2日目となる4月20日午前のセッションでは、産業生産の高度化に向けた「グリーン製造」「パッケージング」「交換材料技術」の進展と課題に焦点が当てられました。
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本稿では、持続可能で効率的な生産プロセスの開発や、新しい機械・材料の統合など、各エキスパートから語られた技術的課題の解決策とイノベーションの要点を5つのトピックに分けて解説します。
1. 持続可能な製造イニシアチブ(モノマテリアル化の推進)
登壇者:章澄 氏(南京滬江複合材料股份有限公司 / 南京沪江复合材料股份有限公司 総経理)
講演テーマ:『単一素材・高バリアソリューションおよび事例分析』
環境基準の厳格化を背景に、持続可能な包装ソリューションとグリーン生産手法の推進が急務となっています。本セッションでは、リサイクルを容易にするための「単一素材(モノマテリアル)化」の実践例が共有されました。環境基準の遵守を前提とし、高いバリア性を維持しながら業界の生産性を向上させる、持続可能で効率的な生産プロセスの開発・統合について議論されました。
詳しくは
欧州が主導する厳しい環境規制(2025年6月期限のPPW規則など)に対応するため、リサイクルが容易な「単一素材(モノマテリアル化)」への移行が業界の至上命題となっています。
- MDO(Machine Direction Orientation)とバリア性の課題
- 技術的解決策:酸化アルミ蒸着と特殊コーティング
- 接着と複合力の担保
フィルムを単一素材化すると、酸素や水分の遮断性能が極端に低下し、食品等の保存(賞味期限)に致命的な影響が出ます。
この弱点を克服するため、MDOフィルムに対して「酸化アルミ(アルミナ)」を用いた蒸着や、アンモニア処理、水分性のコーティング(変性PPOHなど)を施す技術が議論されました。
コーティングを施すと今度は「接着性(複合的な力)」が落ちるというジレンマが発生します。これを解決するために、ポリウレタン系などの機能性接着剤を用い、市場で優位に立てるコストと性能のバランス(1ミクロン未満の精度管理など)を実現する手法が語られました。
2. 交換材料技術(機能性接着剤と先進材料)
登壇者:安子龍 氏(杭州之江有機シリコーン化工有限公司 / 杭州之江有机硅化工有限公司 シニアR&Dエンジニア)
講演テーマ:『軟包装向けポリウレタン接着剤ソリューション』
多様化するニーズに応えるため、プラスチックフィルムのための先進的な交換材料の探求が深掘りされました。特に、物理的特性の改善、ラミネート工程における欠陥の削減、および製造現場で頻発する静電気の課題に対処する機能性接着材料(ポリウレタン等)の最適化に焦点が当てられました。
製造現場の歩留まりや製品品質に直結する課題への技術的アプローチです。
設備の摩耗、オゾン腐食、プラスチックフィルムの表面欠陥や静電気といった物理的な問題が特定されました。これらの解決策として、先進的な交換材料(機能性接着剤など)の探求や、改良された材料配合を取り入れた精密機械(ゴムロール等)の統合が、運用効率を飛躍的に向上させることが示されました。
3. 生産における技術的課題(設備摩耗とゴムロールの革新)
登壇者:汪国鵬 氏(江陰市明達ゴムロール有限公司 / 江阴市明达胶辊有限公司 営業ディレクター)
講演テーマ:『プラスチックフィルム押出設備におけるゴムロールの応用』
実際の製造現場で直面するハードウェア上の課題に対する、具体的な解決策が提示されました。製品品質に直接影響を与える「設備の摩耗」「オゾン腐食」「プラスチックフィルムの表面粗さ」などの物理的課題を特定。これらの問題を解決するため、改良された材料配合を取り入れたゴムロール(胶辊)および交換材料におけるイノベーションの重要性が強調されました。
4. 研究開発の焦点(デザイン思考と実装プロセス)
登壇者:鄧玉明 氏(業界シニアエキスパート / 行业资深专家)
講演テーマ:『デザイン思考が牽引するイノベーション:ニーズから応用へのパッケージング実装実践』
今後の市場要求に応えるためには、継続的な研究開発への投資とアプローチの転換が不可欠です。本セッションでは、データ駆動型の処方(材料配合)改善や共同研究開発の取り組みが紹介されました。クライアントの潜在的なニーズから出発し、イノベーションを促進して最終的なパッケージングに実装(カスタマイズされたソリューション化)するまでの戦略的な洞察が共有されました。
詳しくは
単なる「下請け・サプライヤー」から脱却し、付加価値の高いブランドを構築するための「デザイン思考」の実践手法が語られました。
- ユーザーの観察とニーズの定義
- ブレインストーミングとアイデアの創出
- プロトタイピングとテスト
「ハンマーがあってもうまく使えなければ役立たない」という比喩の通り、技術を押し付けるのではなく、ユーザーが「実際の現場で何を求めているのか」を深く観察し、本質的なニーズを定義することが出発点です。
データを収集した後、多角的な視点から「機能的な想像力(嵐のようなブレインストーミング)」を喚起し、コストを制御しながら魅力的な解決策を模索します。
机上の空論で終わらせず、モデルを作って検証段階に投入し、実際のテストを通じて実装可能かどうかを確認する。この反復プロセスが、最終的に市場におけるブランドの差別化(競争優位性)を生み出します。
5. 業界のコラボレーションと標準化 (Industry Collaboration and Standards)
登壇者:林華祥 氏(広州通澤機械有限公司 / 广州通泽机械有限公司 総経理)ほか、午前のパネリスト陣

関連講演:『無溶剤とドライラミネートを融合した三位一体がもたらす独自の価値』など
最新の機械設備の導入(無溶剤型プロセスなど)に見られるように、業界全体の技術進歩を支援するためには、機械メーカーと材料メーカーの緊密な連携が求められます。セッションの総括として、統一基準の確立、共同開発プロジェクトの推進、および多様なクライアントニーズに応えるための強化されたサービスフレームワークの重要性が再確認されました。
6. 政策主導のエネルギー貯蔵の成長とゼロカーボン工場
登壇者:楊樹 氏(為恒智能科技股份有限公司 副総裁/博士)
講演テーマ:『全ライフサイクル時代の蓄電ソリューション:全チェーンサービス体系とマルチシナリオ適応能力』
中国における最近の政策動向が製造業に与える影響が詳細に解説されました。特に、政府が推進する「ゼロカーボン工場」の取り組みと、2025年および2027年までにエネルギー貯蔵設備の容量を4倍に急成長させる目標が共有されました。
工場のエネルギーアップグレードと効率改善には、風力、太陽光、そして新エネルギー貯蔵技術の統合が不可欠であり、技術導入を後押しする政策インセンティブ(補助金)の可能性についても活発な議論が交わされました。
詳しくは
- 政策による市場の爆発的成長
- 12年サイクルの緻密な投資回収モデル
- モデルケース: 10MW規模のプロジェクトで約900万元の投資。
- 運用条件: 年間330日稼働(機械点検等を除く)。バッテリーの寿命は6,000〜8,000サイクル。
- 収益構造: バッテリーの劣化(DOD:放電深度の管理)を計算に含め、12年間のライフサイクルで期待収益(例:総収益255万元など)を算出。運用日数による劣化と収益のバランスを取ることが投資成功の鍵とされました。
- VPPとアービトラージによる利益最大化
中国政府の新たな方針により、2025年から2027年にかけて蓄電設備を「現在の4倍(4,000万元から1.8億円規模)」に拡大する目標が設定されています。ゼロカーボン工場への移行には補助金などの政策インセンティブがあり、市場は劇的な成長期(爆発的な動き)を迎えています。
具体的な投資シミュレーションが提示されました。
単に電気を貯めるだけでなく、電気料金が安い時間帯に充電し、高い時間帯に放電する「エネルギーアービトラージ(価格差取引)」や、VPP(仮想発電所)のネットワークに組み込むことで、システム全体の投資回収率(ROI)を最大化するアプローチが解説されました。
【総括】
午前の会議全体を通じて、成長と競争力を維持するためには「サプライチェーン全体での協力」と「国際基準への準拠」が不可欠であるという認識が参加者間で共有されました。ゼロカーボン化に向けたエネルギー変革と、ユーザー中心のソリューション開発が両輪となることで、業界は新たなフェーズへと突入しています。
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