Loading...

金相場見通しに変化の兆し――6,000ドル論と4,000ドル調整論が交錯、市場は4,700ドル近辺でもみ合い

2026/05/13 13:30
文字サイズ

金相場を巡る見通しに、やや変化の兆しが見え始めているようだ。2026年初から3月にかけては「6,000ドル相場」論が市場を席巻したが、4月以降の急落局面を受け、一部では調整シナリオを含むより現実的な相場観も語られ始めている。


NY・GOLD(USD/toz) 3カ月


もっとも、中長期的な強気見通しそのものが崩れたわけではないとの見方も根強い。市場では現在、「調整を挟んだ上昇継続」なのか、「相場の評価軸そのものが変化しつつある」のかを巡り、見極め局面に入りつつあるようだ。


3月までは「年内6,000ドル」論が優勢
年初から3月にかけて、海外金融機関の間では高値更新シナリオが相次いだ。
JPMorgan Chase は2月25日付の顧客向けノートで、2026年末の金価格目標を1オンス=6,300ドルに据え置いたと報じられている。同時に長期見通しを15%引き上げ、4,500ドルとした。
背景として同行は、
•    中央銀行による継続的な金購入
•    米国債保有削減の動き
•    ドル依存低下(いわゆるドル離れ)
•    人民元など他通貨への分散
を挙げ、「基軸通貨体制の転換」と「投資家の大規模分散化」が進んでいるとの見方を示したとされる。
また、UBS や Deutsche Bank、Societe Generale なども、1オンス=6,000ドル近辺の高値圏シナリオを提示していたと報じられている。
国内の金市場解説でも、当時はこうした海外勢の見方を踏まえ、ドル信認低下や地政学リスクを背景に「年内6,000ドル」が現実味を帯び始めたとの論調が目立っていたようだ。


4月急落後、「大幅調整」論も浮上
しかし、その後の相場は想定以上に荒れた。
金価格は1月29日に5,594ドル近辺の史上最高値を記録した後、急落局面入りし、約6週間でおよそ4分の1下落したとされる。月間では2008年以来の大幅下落となったとも報じられている。
こうした中、国内外の市場解説では、
長期上昇トレンドは維持しつつも、その途中で大幅な調整局面が入り得る
との論調も増えているようだ。
一部では、年内に一度4,000ドル近辺を試す可能性にも言及しつつ、それを長期弱気転換ではなく、急騰後の「深い押し目」と位置付ける見方もみられる。
つまり、
「長期強気だが、その道筋は一本調子ではない」
という相場観が広がりつつあるとも読めそうだ。

関連記事
4,000ドルまで調整説も | 豊島逸夫による金市場の解説 ブログ一覧 | 豊島逸夫による金市場解説 | ブログ | 「金の果実」シリーズ|三菱UFJ信託銀行
金相場見通しに変化の兆し――JPモルガン強気維持、モルガン・スタンレー慎重姿勢
 

海外勢でも4月以降、見方に違いが出始めている。
Morgan Stanley は4月23日報道ベースで、2026年後半の金価格予想を5,700ドルから5,200ドルへ約9%引き下げたと伝えられている。
背景には、
•    FRB利下げ先送りによる実質金利上昇
•    急騰後の市場地合い変化
•    流動性環境の変化
などがあるようで、金は今後、不確実性ヘッジというよりも、金利・流動性・金融政策を映すマクロ資産としての性格を強めるとの見方が示されたとされる。
もっとも、同行でもなお5,200ドル予想であり、弱気転換というよりは「強気修正」とみる方が実態に近いのかもしれない。
一方、Goldman Sachs はなお5,400ドル前後の見通しを維持していると報じられており、中央銀行買いが下支えするとの見方は依然として根強いようだ。
 

「中東不安=金高」という図式にも揺らぎ
もっとも、足元では従来の
「中東情勢悪化 → 金買い」
という図式が、やや単純には機能しなくなっている可能性もある。
米国とイランを巡る緊張が高まる中、本来であれば安全資産として金が買われやすい局面とも考えられる。しかし実際には、金が売られ、ドルが買われる場面も見られているようだ。
背景には、
•    中東危機によるエネルギー価格上昇懸念
•    インフレ再燃観測
•    FRB利下げ後退観測
•    実質金利高止まり
といった要素が絡んでいる可能性がある。
仮に中東情勢悪化がインフレ再燃につながれば、FRBが高金利を長期化させるとの見方が強まりやすい。金は利息を生まない資産であるため、実質金利上昇局面では相対的魅力が低下しやすい。
その意味では、
「中東不安だから金が上がる」
という従来型の筋書きは、少なくとも現時点ではやや疑問符が付くのかもしれない。
むしろ市場は、
「中東危機 → インフレ再燃 → 高金利長期化 → ドル買い」
という別のシナリオも同時に織り込み始めている可能性がある。
4,700ドル近辺でもみ合い――市場は次の方向を探る
足元の金価格は、4,700ドル近辺を中心にもみ合いが続いているようだ。1月の熱狂的上昇からは距離を置いたものの、急落後も一定の底堅さは維持しているようにも見える。
市場では、
•    利下げが進めば再び上昇基調か
•    実質金利高止まりなら調整継続か
•    中東情勢悪化でもドル優位か、それとも金回帰か
といったシナリオが交錯している。


強気相場は終わったのか、それとも踊り場か
現段階では、金市場は悲観一色ではない。ただ、年初の「上がるしかない」という熱狂も後退しつつある。
現在の4,700ドル近辺でのもみ合いは、
長期上昇相場の踊り場なのか、
あるいは評価軸そのものが変わる転換点なのか
市場がその答えを探している局面なのかもしれない。


(IRuniverse/MIRU S. Aoyama)

本記事は執筆者個人の分析および見解であり、IRuniverseの公式見解を示すものではありません。内容は情報提供を目的としたもので、投資判断の根拠として用いることを意
図したものではありません。

 

関連カテゴリ

関連記事

新着記事

ランキング