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中東情勢と内外石化製品の市況動向(No9) アジア合成樹脂市況は軟化基調を継続

2026/06/01 17:45
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アジアの合成樹脂市況は米国・イランの調停が膠着状態も和平期待先行で原油市況が下落したことを受け軟化基調。中東リスクに伴う原油・ナフサ高への期待先行で原料市況以上に上昇したこともあり、原油市況がバレル90ドル前後で常態化する中では調整基調が続く。イラクとの和平交渉が進展しても爆撃前の5割高で高止まりとなる公算が高いが、足元の原油・ナフサ市況の軟化は価格転嫁交渉の足枷となる可能性もある。

 

アジア合成樹脂市況は塩ビ樹脂を除き軟調な展開に

アジア合成樹脂市況の5月第4週(GWの関係で5月25日~29 日を対象)の市況は、米国・イランの和平交渉が膠着状況も原油・ナフサ市況が軟調なことを受け下落基調となった。塩化ビニル樹脂(以下、塩ビ樹脂)が前週末比横ばいとなる一方、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンが前週末比1%強の下落となった。

中国の増値税還付廃止やインド、中国向けオファー価格の提示を中断の影響を受けナフサ高の影響を反映し難い状況にあった塩化ビニル樹脂を除き、4月初めの高値から一進一退も軟調な展開が続いている。米国とイランの和平交渉に関してはトランプ大統領からの“合意が間近”との強気のコメントを受け原油市況がバレル90ドル前後まで軟化、これを受けアジアのナフサ市況もプレミアムが剥落し、シンガポールのナフサ市況がバレル83ドル台と高値から6割前後の水準まで低下し、オープンスペックのナフサ価格もトン770ドル台と高値から36%安まで下がっている。

アジアの合成樹脂市況は中東リスクに伴う原油・ナフサ高への期待先行で原料市況以上に上昇していただけに、原油市況が下落しバレル90ドル台が常態化する中ではその調整が強まることになる。ただ、中東の石油関連設備の状況からイランへの爆撃前の水準までの低下は予想し難い。

 

(注) IRUではアジアの合成樹脂市況インデックスは、多様なグレード取引形態や地域で異なるため、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、塩化ビニル樹脂の価格を2020年の年初の平均価格を100として指数化している。2020年12月までを毎月末近辺の市況を対象に指数化し、2021年以降は週間ベースの市況を対象に指数化している。新型コロナウイルスの蔓延の前と後での樹脂市況の違いを示すために基準時を2020年1月としている。なお、直近値は2026年5月第4週(5月29日まで)の市況となっています。

 

国内の価格転嫁にはネガティブな影響も

国内の石化関連企業は米国・イスラエルによるイラン爆撃後は量の確保が優先し、原料の上昇分は国産ナフサのフォーミュラ制に緊急的なコストアップ部の一時的な価格転嫁としてサーチャージによる価格是正策を採用している。現状では第二次値上げの打ち出し、交渉に入っている。現在の価格是正はフォーミュラ分が6割、サーチャージ分が4割という構図が推定される。

フォーミュラのベースになる国産ナフサ価格はほぼ2ヵ月遅れとなる輸入ナフサ価格によって決定されるが、4月のキロリットル9万円弱(1月~3月平均比43%強の上昇)まで確定しており、その後の推定値では5月が10万円強、6月が12万円強となり、4~6月の国産ナフサ価格はキロリットル11.5万円弱と前四半期比では75%弱の大幅な上昇となる。これまでの国内樹脂の値上げは塩ビ樹脂で約40%となっており、ポリオレフィンで50%強となっている模様。

7月以降の国産ナフサ価格は下落基調となり、前述の様にオープンスペックのナフサ価格がトン770ドルで落ち着くと8月入着ベースの国産ナフサ価格は1ドル159円前提で9万円台前半に下落し、その水準が継続すると仮定すると国産ナフサ価格は7~9月が10万円強、10~12月が9万円台前半と下落基調になる。これで収まれば現状の2次値上げ分が浸透するには問題ない水準であるが、原料が下落過程では先安から価格浸透率が下落するのが常であり、足元の価格交渉にもネガティブに作用する可能性もある。

叶 一真

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