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2026年BIR国際リサイクル会議、スウェーデン・ヨーテボリ③「ラバーブラスチック、国際環境委員会パネルディスカッションから」

2026/06/04 18:27 FREE
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2026年BIR国際リサイクル会議、スウェーデン・ヨーテボリ③「ラバーブラスチック、国際環境委員会パネルディスカッションから」

スウェーデン・ヨーテボリで開催されているBIR国際リサイクル会議2026の3日最終日は、ラバー・プラスチックおよび国際環境委員会によるセッションが行われた。

ラバー・プラスチック合同部門では、プレゼンテーションとパネルディカッションが行われ、近年の需要低迷、低価格、マージン圧縮という長期的な停滞期を経て、現在、プラスチックおよびゴムリサイクル材の需要が回復していることなどが議論された。 中東情勢に起因する原油価格の上昇がバージン樹脂価格を押し上げ、メーカーが再びリサイクル原料へと回帰した結果、世界的に価格と受注環境が改善している。 だが、参加したパネリストは、この上昇局面は危機に依存した一時的なものであり、原油価格が落ち着けば、安価なバージン材、リサイクル材需要の低迷、設備投資の手控えという旧来パターンに逆戻りするリスクが高いと見ている。

プラスチック、ゴムのいずれにおいても、リサイクル材価格の上昇幅は一次原料ほどではなく、規制による牽引が不足するなか、リサイクラーは常に価格による競争力を維持せざるを得ない状況にある。 その中で、PETについては、再生材最低含有率義務が導入されたことにより、バージン材価格からの「デカップリング」が進み、義務が適切に施行される限り、リサイクル材がプレミアム価格で取引され得る初の樹脂として位置付けられている。

政策・EPR・透明性のギャップ

さらに規制が循環経済構築の「推進力」でありつつ、同時に「制約」ともなり得る二面性についても議論された。EUでは、新たな廃棄物輸送規則やPPWRが設定するような再生材含有率義務が物流と市場構造を変えつつあり、より多くのプラスチック廃棄物を域内に留める方向に向かっている。一方で、短期的には出口不足や設備停止リスクといった混乱も生じている。

パネルディスカッションで繰り返し浮上した論点は、バリューチェーン全体の透明性と協働の必要性である。真のクローズドループを実現するには、素材組成、フロー、経済性に関するデータ共有が不可欠であるにもかかわらず、多くの製品メーカーは依然として業務上の秘密を盾に、製品設計の初期段階からリサイクラーを巻き込むことに消極的であるという。 パネリストらが描く今後5年間の「成功像」は、リサイクル材が標準的な原料として主流化し、含有率義務が厳格に執行され、ブランド、EPR組織、リサイクラーが使用済みを前提に製品とシステムを協働設計する、成熟したパートナーシップが広く定着するというものだ。

国際環境委員会によるセッションでは、今年発効が予定されている使用済自動車規則(ELVR)、米国におけるその影響、グリーンスチールに焦点を当てたプレゼンテーションおよび議論が行われた。

EU・ELV規則という「ヨーロッパの旅」

リサイクリング・ヨーロッパのJulia Ettinger 氏は、ほぼ最終形となったEUの使用済み自動車(ELV)規則の全体像を示し、その最大の特徴が「指令」ではなく、全27加盟国に直接適用される「規則」である点にあると強調した。これにより各国の裁量が縮小し、設計、リサイクル、回収、EPR などが一体として調和的に運用される枠組みが整うことになるからである。

本規制下では、プラスチックの再生材含有義務が新たに設置される。自動車に含まれるプラスチックの15%を6年以内、25%を10年以内に再生材由来とし、そのうち20%はELV由来とするクローズドループだ。また、第三国からの安価なEU基準に対応しない再生材の流入を防ぐため、EUと同等条件で処理されていることを求める「ミラー条項」と、5年ごとの独立監査も導入される。さらに、鉄鋼・アルミ・重要な原材料についても再生材含有目標設置における実効性評価が義務付けられる。

ガバナンス面についてEttinger 氏は、EPRの運営組織(PRO)にリサイクラーと廃棄物事業者がオブザーバーとして正式に参加できるようになった点を、歴史的な前進と位置付けた。一方で、銅含有量やアルミの等級分別など新たな処理要件・除去義務は、EU域内事業者に相応の投資負担と技術対応を迫ることになる。さらに、今回現行ELV指令と型式認証が統合されたことで、設計段階からリサイクル性・再使用性・デジタルパスポートを組み込む「サーキュラー設計」が制度上明確に位置付けられた。

EU規則が北米自動車リサイクルにもたらす波

米国ReMAのRobin Wiener 氏は、一見欧州市場限定に見えるELV規則が、自動車サプライチェーンの「グローバル・プラットフォーム化」を通じて米国にも実質的な影響を及ぼしつつあると報告した。米国で生産されEUに輸出される車両は、たとえ米国に包括的な(州ごとに異なる)EPRや再生材使用義務が存在しなくとも、ELV規則を満たす設計・素材調達を求められるからである。

米国リサイクラーにとってこれは事業機会をもたらす一方でリスクもある。事業機会としては、これまで埋立が主だったシュレッダーダスト中の自動車由来プラスチックに、新たな市場が開ける可能性がある点が挙げられる。過去にはPCB規制や採算性の問題で技術的・法的に阻まれてきたが、EUや他地域の再生プラスチック需要の高まりとクローズドループ要件の強化により、ASRプラスチックが重要な供給源たり得るシナリオが現実味を帯びてきたようだ。その結果、国立研究機関、自動車メーカー、リサイクラーによるプロジェクトや、シュレッダー残渣回収と事前解体回収を比較検証するプロジェクト、材料・ケミカル両面のリサイクル技術開発が加速しているという。

一方で、設計段階から解体の容易性を高めるEUのELV要件は、価値ある部品・金属を上流でより多く除去させる可能性があり、車両組成の変化によりシュレッダー過程の経済性に影響を与えかねない。また、「ミラー条項」に伴う同等性証明、トレーサビリティ、クローズドループとしての計算法などを、包括的なEPRが不在状態で、混合ストリーム前提の米国システムにどう適合させるのかという実務的な課題もある。さらに、メキシコが新たな循環経済法の下でEUのELV規則型ルールを検討していることから、北米一体のサプライチェーンに複数の規格が重層的に作用するリスクも指摘された。

グリーンスチール定義への批判的視点

BIR事務局Alexandra Vartan 氏は、焦点を鉄鋼に移し、「グリーンスチール」定義がいかにあるべきかについて議論した。同氏は、リサイクル鉄鋼投入量の最大化こそが、商業規模化と敏速な低炭素スチールへの道であり、エネルギー消費とCO₂排出だけでなく、一次資源採掘の削減にも直結するとの立場を示した。

また同氏は、真に信頼できるグリーンスチール基準は原料構成の幅ではなく「実排出性能」に基づくべきであり、透明性と科学的な妥当性を欠いてはならないと強調した。そのうえで、リサイクル鉄鋼原料のISO新技術委員会、Global Steel Climate Councilによる基準開発、WTOの鉄鋼規格原則など、多数の国際イニシアティブが定義・算出法の設定に向けて動いていることを紹介し、スクラップの大量投入・低炭素ルートが将来のグリーンスチール分類の中で正当に評価されるよう、リサイクル業界が積極的に働きかけるべきだと訴えた。

 

なお、2026年第2回目のBIR会議は、スペイン南部の街マラガにて10月26日〜27日に開催される予定だ。

 

Y.SCHANZ from Gothenburg, Sweden

 

 

Yukari SCHANZ

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