Loading...

LME Weekly 2026年6月1日-5日 銅14,000ドル台回復も失速 アルミ高値圏維持、ニッケル反落

2026/06/08 12:52
文字サイズ

【概況】
6月1~5日のLME非鉄相場は乱高下の末に総じて軟調。銅は週前半にAI投資拡大期待から一時14,000ドル台を回復したが、週末は強い米雇用統計と米金利上昇を嫌気して急落し13,500ドル台へ反落した。アルミは一時2022年3月以来の高値を更新したものの、中東供給不安後退や米株安で3,600ドル台前半へ反落。ニッケルも週後半に売りが加速し18,500ドル台へ下落した。ドル円は160円台を回復し、国内建値の下支え要因となった。

(為替概況)160円台回復 米雇用統計受けドル高進行(NY外為)
6月1~5日のドル円は159円台後半から160円台前半へ上昇した。週前半は堅調なJOLTS求人件数やISM指数を背景にドル買いが優勢となり、一時160円目前まで上昇。週後半は中東情勢や米金融政策を巡る思惑で上下したが、5日の米雇用統計が予想を大幅に上回ったことで米10年債利回りが4.55%台へ上昇し、ドル円は160.34円まで上伸した。総じてドル高・円安基調が維持され、非鉄国内建値の支援材料となった。

 東京外為市場
6月5日(金)
東京TTS(基準値)
1ドル=161.04円

前週末
5月29日(金)
東京TTS(基準値)
1ドル=160.39円に対して65銭のドル高円安に。

【LME概況】
(カッパー)14,000ドル回復後に急反落 米金利上昇が重石
6月5日、3Mは13,519.5ドルが終値。前週末(5月29日)終値13,636.0ドルに対して116.5ドル安と反落した。週前半はAI投資拡大期待や米株高を背景に2日、一時14,056ドルまで上昇し14,000ドル台を回復。しかし週後半は米長期金利上昇や株安を嫌気し、5日には13,499.5ドルまで急落した。 
関連記事→
銅価格展望 強気相場は続くのか――AI需要と供給制約の間で揺れる市場

COMEX銅先物は14,000ドル台維持後に反落 NYプレミアムは高水準
6月1~5日のCOMEX銅先物は14,400~14,700ドル台の高値圏で推移した後、週末に軟化した。NYプレミアムは週前半700ドル台まで拡大した後、400ドル台後半へ縮小したものの依然高水準を維持。COMEX在庫は64万2,045トンから64万2,709トンへ微増した一方、LME在庫は38万4,250トンから37万9,975トンへ減少しており、米国向け現物流入観測が引き続き意識された。
 

LMEカッパー相場推移(オフィシャルUSD/T)1カ月

 


キャンセルワラント比率は前週30%から31%へさらに上昇し、4週連続で需給引き締まり観測が強まった。Trafiguraによる大量引き出しの影響が引き続き意識されている。一方、総在庫は38万9,525トンから38万6,050トンへ減少し、3週連続の取り崩しとなった(週初値、weeklyでの動き、以下同様)。COMEX在庫は前週64万0,181トンから週末には64万2,709トンへ増加し、LME在庫減少との対照的な動きが続いた。NYプレミアムを背景とした米国向け現物流入観測も引き続き市場の注目材料となっている。
 

 

国内銅建値は、5月末の2,250円から6月1日のスタート建値で10円引き上げの2,260円となった。その後、LME銅が6月2日に14,040.5ドルまで上昇し、COMEXプレミアム拡大やAI・データセンター向け電力インフラ需要期待を背景に高値を更新したことから、3日にはさらに70円引き上げの2,330円へ改定された。LME在庫の減少とドル円160円台の円安進行も追い風となり、国内建値は過去最高圏を一段切り上げる展開となった。


LMEカッパーVS国内建値推移 1カ月

 


(アルミ)高値圏維持も週末失速 需給逼迫感なお強い

6月5日3Mは3,603.0ドルが終値。前週末(5月29日)終値3,666.5ドルに対しては63.5ドル安と反落した。週前半は中東情勢を巡る供給不透明感や在庫減少を背景に買いが先行し、2日には一時3,690ドル台まで上昇した。しかし週後半は強い米雇用統計を受けたドル高進行や利益確定売りに押され続落し、週末には3,600ドル近辺まで水準を切り下げた。現先バックワーデーションも週初には100ドル近辺(約98ドル)まで拡大し、その後は50ドル台まで縮小したものの依然高水準を維持しており、現物需給の逼迫感は継続した。相場は週末に調整したものの、需給面からみれば依然として高値圏にあるといえる。

LMEアルミ(CASH/3M  USD/T)1カ月


キャンセルワラント比率は前週22%から25%へ上昇し、需給引き締まり観測が強まった。総在庫は33万9,350トンから33万7,700トンへ減少し、18週連続の取り崩しとなった(週初値、weeklyでの動き、以下同様)。現先バックワーデーションは週初に98ドルまで拡大した後、週末にかけて55ドル前後へ縮小したものの、依然として高水準を維持。継続する在庫減少と相まって、現物需給の逼迫感がアルミ相場を下支えする構図に大きな変化はみられなかった。


 

NSPは前週末734円から、6月1日に730円へ小幅調整してスタート。その後はLMEアルミが6月2日に一時3,787.5ドルまで上昇し、2022年以来の高値圏を記録したことや、現先バックワーデーション拡大、在庫減少継続を背景に上昇基調を強め、2日741円、3日746円まで上昇した。しかしその後は、LMEアルミが週後半に反落し、強い米雇用統計を受けたドル高や利益確定売りが広がったことから、4日731円、5日723円まで続落した。もっとも、ドル円160円台の円安基調や現物需給の逼迫感は依然として強く、国内価格は700円台前半の高値圏を維持する展開となった。


LMEアルミVS NSP推移 1カ月

 

(ニッケル)4日続落 18,500ドル台へ調整

6月5日3Mは18,581.0ドルが終値。前週末(5月29日)終値19,062.0ドルに対して481.0ドル安。週初は一時19,395ドルまで上昇し5月上旬以来の高値を付けたが、その後は中東リスク後退や株安を背景に売り優勢へ転換。5日には18,480ドルまで下落し、18,500ドル台で週を終えた。

関連記事→
インドネシア製錬所、鉱石不足で減産 ニッケル価格は2万ドルを試す

LMEニッケル(CASH/3M、USD/T)1カ月

 

キャンセルワラント比率は前週6%から5%へ低下し、現物需給の逼迫感はやや後退した。総在庫は27万8,886トンから27万6,444トンへ減少し、再び取り崩し基調へ転じた(週初値、weeklyでの動き、以下同様)。キャンセルワラント数量も1万6,332トンから1万3,848トンへ減少したものの、在庫水準は依然として高い。もっとも、インドネシアの供給動向を巡る不透明感や需給引き締まり観測が引き続き相場を支えており、ニッケル相場は1万9,000ドル前後の高値圏で底堅く推移した。


(鉛・亜鉛・錫)鉛は2,000ドル台維持 亜鉛・錫は週末に急反落

―鉛3M は前週末(5月29日)終値 2,016.0ドル に対し、6月5日終値は 2,005.0ドル と 11.0ドル安。週前半は非鉄全般の堅調地合いを背景に2,020ドル台まで上昇する場面もあったが、週後半はドル高や利益確定売りに押され3日続落となった。ただ、終値ベースでは心理的節目の2,000ドル台を維持しており、相場は引き続き高値圏で推移した。


LME鉛価格推移(オフィシャル,USD/T) 1カ月

在庫は前週28万5,700トンから31万3,950トンへ大幅増加し、2週連続の流入となった(週初値、weeklyでの動き、以下同様)。キャンセルワラント比率は前週4%から3%へ低下し、現物需給の逼迫感はやや後退した。もっとも、LME鉛相場は2,000ドル台を維持しており、銅をはじめとする非鉄全般の堅調地合いや円安環境が下支え要因となった。一方で、在庫急増は上値抑制要因として意識される展開となった。 


国内鉛建値は、5月26日に3円引き下げの384円へ改定されたものの、6月1日のスタート建値では再び3円引き上げの387円となった。LME鉛は5月末にかけて2,000ドル台を回復し、3カ月物は2,016ドルまで上昇するなど底堅く推移。加えて、ドル円は160円前後の円安圏で推移しており、国内価格の押し上げ要因となった。LME在庫は月末に急増したものの、相場自体は高値圏を維持しており、国内建値も前週の調整分を解消して高値圏へ切り返す展開となった。

LME鉛(USD/T)VS国内建値(JPY/Kg)推移 1カ月

 


―亜鉛3M は前週末(5月29日)終値 3,540.0ドル に対し、6月5日終値は 3,530.0ドル と 10.0ドル安。週前半は一時3,640ドル台まで上昇し高値を更新したものの、その後は米雇用統計を控えたポジション調整やドル高を背景に売りが優勢となり、週末にかけて3日続落となった。もっとも、3,500ドル台は維持しており、需給引き締まり観測が引き続き下支え要因となった。

LME亜鉛(オフィシャル,USD/T) 1カ月

 

在庫は前週10万9,950トンから11万3,300トンへ増加し、3週ぶりの大幅流入となった(週初値、weeklyでの動き、以下同様)。キャンセルワラント比率は前週16%から14%へ低下し、需給引き締まり観測はやや後退した。もっとも、在庫水準自体は依然として過去数年との比較では低位圏にあり、LME亜鉛相場も3,500ドル台を維持。SHFE在庫の低位推移とあわせて、需給の引き締まり感はなお相場の下支え要因として意識される状況が続いた。

 

国内亜鉛建値は、5月末の631円から6月1日のスタート建値で628円へ3円引き下げられた。その後は据え置きが続いたものの、LME亜鉛が6月2日に3,641.5ドルまで上昇し、中東情勢を巡る供給懸念や非鉄市場への資金流入を背景に高値圏を維持したことから、4日に15円引き上げの643円へ改定された。為替も160円台後半の円安圏で推移しており、国内建値は月初の調整を短期間で解消し、5月高値を更新する展開となった。

LME亜鉛(USD/T)VS国内建値(JPY/Kg)推移 1カ月

 

―錫3M は前週末(5月29日)終値 55,418ドル に対し、6月5日終値は 52,935ドル と 2,483ドル安。週前半は一時5万6,000ドル近辺まで上昇したが、その後は利益確定売りが膨らみ、週末には前日比2,809ドル安と急落。3日続落で週を終えた。ただ、AI・電子材料向け需要期待や東南アジアの供給不透明感は依然として強く、5万ドル台は維持した。

LME錫価格推移(セツル,USD/T) 1カ月

 

在庫は前週8,195トンから8,850トンへ増加し、2週連続の流入となった(週初値、weeklyでの動き、以下同様)。キャンセルワラント比率は前週5%から5%で横ばいとなり、現物需給の逼迫感に大きな変化はみられなかった。もっとも、在庫水準自体は依然として1万トンを下回る低位圏にあり、ミャンマーやインドネシアを中心とする東南アジアの供給不透明感も継続。AI・電子材料向け需要期待と相まって、相場の下支え要因として意識される状況が続いた。 

 

(マクロ経済・重要イベント)
―マクロ経済指標結果
【米国】
6月2日(火)
JOLTS求人件数(4月)
→ 求人数は市場予想を上回り、労働市場の底堅さを改めて確認。FRBの早期利下げ観測が後退し、米長期金利は上昇。ドル円は160円近辺まで上昇し、LME非鉄にはドル高が重石となった一方、景気後退懸念の後退が需要期待を支えた。
6月3日(水)
ISM非製造業景況指数(5月)
ADP雇用統計(5月)
→ ISM非製造業景況指数は拡大基調を維持し、サービス部門の底堅さを示した。ADP雇用統計も堅調な内容となり、米景気への楽観が広がった。AI関連株高も支援材料となり、LME銅は一時14,000ドル台を回復した。
6月4日(木)
新規失業保険申請件数
貿易収支
→ 新規失業保険申請件数は依然として低水準を維持。雇用市場の逼迫継続が意識され、米金利は高止まりした。一方、LME銅やニッケルは利益確定売りが優勢となり、高値警戒感も強まった。
6月5日(金)
米雇用統計(5月)
→ 非農業部門雇用者数は市場予想を大幅に上回り、失業率も低位安定。FRBの利下げ先送り観測が強まり、米10年債利回りは上昇、ドル円は160円台へ上伸した。ドル高と金利上昇を受け、LME銅・アルミ・ニッケルは週末にかけて大きく調整した。
                                                     
-今週の重要イベント

【中国】

6月9日(火曜日)

貿易収支(5月、税関総署)

6月10日(水曜日)

消費者物価指数(CPI、5月、国家統計局)
生産者物価指数(PPI、5月、国家統計局)

→ 中国では、5月貿易統計(9日)とCPI・PPI(10日)が最大の焦点。輸出入動向は銅・アルミ・亜鉛など非鉄金属需要の実勢を測る重要材料となる。特に輸出の伸びが維持されれば、中国製造業の底堅さが意識されLME相場の支援材料となりやすい。一方、CPI・PPIについては内需の弱さやデフレ圧力の継続が確認されれば、中国景気への警戒感が再燃する可能性がある。前週発表のPMIが示した景況感改善が実需回復につながるかが注目される。

---

【米国】

6月9日(火曜日)

貿易収支(4月、商務省)
卸売在庫確報値(4月、商務省)
中古住宅販売統計(5月、全米不動産協会)

6月10日(水曜日)

住宅ローン申請指数(MBA)
消費者物価指数(CPI、5月)
財政収支(5月)

6月11日(木曜日)

新規失業保険申請件数
生産者物価指数(PPI、5月)

6月12日(金曜日)

ミシガン大学消費者信頼感指数(6月速報値)

→ 米国では、CPI(10日)とPPI(11日)が最大の注目材料。前週の強い雇用統計を受けて市場ではFRBの利下げ先送り観測が強まっており、インフレ指標が予想を上回れば米金利上昇・ドル高が進み、LME非鉄相場には重石となる可能性が高い。一方で、インフレ鈍化が確認されれば利下げ期待が再び強まり、銅やニッケルなどには追い風となりやすい。

また、貿易収支や中古住宅販売、ミシガン大学消費者信頼感指数も米景気の底堅さを測る材料として注目される。市場の関心は引き続き「米景気の強さ」と「FRBの高金利政策がいつ転換するか」に集中しており、ドル円相場やLME非鉄市場への影響も大きい週となりそうだ。      
 


(IRuniverse/MIRU S. Aoyama)

本記事は執筆者個人の分析および見解であり、IRuniverseの公式見解を示すものではありません。内容は情報提供を目的としたもので、投資判断の根拠として用いることを意
図したものではありません。

 

青山 雫

関連カテゴリ

関連記事

新着記事

ランキング