ポンガミア
阪和興業や商船三井ら6社はコンソーシアムを組成し、油糧植物として知られるポンガミアの試験栽培プロジェクトをインドネシア・南カリマンタン州タピン県で開始した。約10ヘクタールの炭鉱跡地を活用し、2026 年から 2031 年までの5年間にわたり、ポンガミアの栽培、生育データの取得、バイオ燃料原料としての活用可能性、カーボンクレジット創出可能性を含む技術検証を行う。
ポンガミアはインド原産のマメ科植物で、アジア(中国南部、沖縄、台湾)から熱帯・亜熱帯(インド、東南アジア、オーストラリア、西太平洋諸島等)の温暖で湿潤な気候帯に自生し、沖縄県が分布北限となる。種子には30~45%程度の油が含まれており、非可食油であることから、食料生産に影響なくバイオ燃料油の製造が可能となるメリットがある。

検証実施場所のインドネシア 南カリマンタン州炭鉱跡地
また、ポンガミアを検証対象とした理由はバイオ燃料としての事業性だけではない。同植物は空気中の窒素を直接取り込んで自らの栄養(窒素肥料)に変える能力を持っており、外部から多量の窒素肥料を与えなくても育つため、炭鉱跡地でも生育可能なほか、環境負荷も低く抑えることが可能だ。
バイオ燃料としてメジャーになりつつあるパームは伐採後の古木や搾油時の廃棄物が農園に放置され腐敗することで、温室効果ガスの発生や病原菌による土壌・水質汚染を引き起こすことが深刻な課題とっているが、ポンガミアは落葉などが土に還ることで土壌が肥沃になり、荒れた土地の緑化や土壌改良に貢献することが確認されているという。
つまりは、バイオ燃料としてカーボンクレジット(CO₂削減価値)を生み出すだけでなく、ポンガミアの栽培そのものがサーキュラーエコノミーを推進するともいえる。
栽培にあたっては、インドネシア国家研究イノベーション庁(BRIN: Badan Riset dan Inovasi Nasional)、日本国内の大学から植物栽培・種子増産の専門知識と技術指導を受ける予定だが、商業規模の栽培・燃料活用においては、先行事例はほぼないという。
阪和興業のエネルギー第二部新エネルギー課の石田直也課長は、「ポンガミアは植えてから実がなるまでに5年かかるため、今回のプロジェクト期間では1サイクルの栽培試験しかできない。その後に実証データを活かして試行錯誤していくことになるため、5年後が本当のスタートとなる」と語る。
取材に応じてくれた石田課長
阪和興業のエネルギー部門では、今後世界的な脱炭素社会に貢献するバイオ燃料に注力し、原料が豊富な東南アジアにおいて多様なバイオ燃料確保に取り組み、長期的かつ安定的な供給体制の構築を目指したプロジェクトを推進してきた。阪和興業単体としてもマレーシアにてポンガミア栽培プロジェクトを準備中だという。
今回のポンガミア事業が商業規模で開始できるのは早くても2030年以降とのことだが、バイオ燃料としての栽培が軌道に乗れば、バイオ燃料の流通において阪和興業のネットワークと販売機能が活かされるため、プロジェクトの成功が期待される。