2025年の半導体市場における成長の牽引役として、DRAM市場の回復が際立っている。Omdiaによると、DRAM売上高は2023年の市場底値である500億ドル強から、2025年には1,500億ドルを超える水準にまで拡大した。わずか2年で約3倍に達した計算であり、前年比50%超の成長率は半導体の全カテゴリーの中で最大である。
この急回復の出発点は、AI向け高帯域幅メモリ(HBM)の需要拡大であった。2024年にはHBMの価格が上昇し、メモリメーカーの収益を改善さたが、その影響は2025年になるとHBMにとどまらず、DDR5をはじめとする汎用DRAMにまで波及している。AIサーバーはHBMだけでなく、大容量のシステムメモリも必要とするため、サプライヤーはウエハー配分をHBMや高密度サーバー向けDRAMにシフトさせた。その結果、供給構造そのものが変化し、DRAM全体の価格改善が進んだ状況である。
ここで問われるのは、この価格上昇がどこまで持続可能かという点である。HBM需要は設備投資サイクルに依存しており、データセンター投資が一巡した場合、メモリ市場が再び調整局面に入る可能性は排除できない。

2025年の半導体市場のもう一つの特徴は、売上成長が上位企業に集中している構造である。Omdiaのデータによると、2023年から2025年にかけて半導体市場全体の売上高は約53%増加したが、トップ10社の売上増加率は90%に達している。一方、それ以外の企業群の成長率は8%にとどまっており、両者の間には大きな開きが生じている。
この集中を主導しているのが、NVIDIAと3大メモリメーカー(Samsung、SK Hynix、Micron)である。2025年第3四半期時点で、売上高上位4社はこの4社が占めており、AI半導体とメモリという二つの成長ドライバーがそのまま企業ランキングに直結している状況である。AI半導体は総売上高の約3分の1を占めるまでに拡大していますが、出荷数量ベースでは全体の0.2%未満にすぎないといわれている。つまり、少量の高単価製品が市場全体の成長を押し上げるという、従来の半導体産業とは異なる収益構造が形成されつつある。
この寡占化は、中堅以下の半導体企業にとって深刻な経営課題を突きつけている。AI関連の製品ポートフォリオを持たない企業は、市場全体が成長しているにもかかわらず、投資家や顧客からの評価が相対的に低下するという矛盾した状況に直面することが想定される。