工作機械受注26年5月確報は、前年同月比37.5%増の1770億円と歴代4番目の額を記録。今回、工業会は26年暦年予想を3000億円増額し、過去最高額の2兆円とした。世界的に不透明感の高まりがある中で、国内外のデータセンタ需要、半導体生産の拡大、世界的な防衛産業の積極投資、フィジカルAI投資の拡大、加えて国内では大型の省エネ・合理化補助金実施特需などが寄与すると見込まれる。
工作機械工業会5月受注確報 5月37.5%増1770億円、歴代4位、26年2兆円予想へ
5月工作機械受注1770億円(37.5%増)と歴代4位の高水準、5月として過去最高額
6/25の15時に日本工作機械工業会の2026年5月工作機械受注確報が開示された。5月受注は1770.1億円(前年同月比37.5%増、前月比6.3%減)と11か月連続同月比増加、6か月連続1400億円超え、15か月連続で1200億円超え。単月として26年3月、4月、18年3月に次ぐ歴代4位の水準、5月としては2022年の1533億円を大きく上回った。

外需37.6%増1316.8億円は20か月連続同月比増、歴代3位の高水準
外需は1316.8億円(同月比37.6%増、前月比5.7%減)と20か月連続同月比増加、8か月連続で単月1000億円超えとなった。2026年3月の1430億円、4月の1397億円に次ぎ歴代3位の水準、5月としては2022年の1039億円を大きく上回った。


主要業種全てで同月比増加、前月比では一般機械のみ増加した。一般機械は同月比、前月比ともに5ヵ月連続で増加、2か月連続の最高額更新となり400億円超えが続いた。データセンタ関連でサーバーラックなどの加工、ロボット向けでは多関節、指関節向けなどが伸長、医療機器向けも増加していると。自動車は266.1億円(同4.3%増、同2.3%減)と、同月比で16か月連続増加、10か月連続で200億円超え、3か月連続250億円超えと高水準。中国ではEV設備投資が継続、米国、欧州ではHEVなどの見直し受注が寄与している模様。電気・精密は252.9億円(同82.9%増、同25.0%減)となり、前年同月比で7か月連続増加、3か月連続で250億円超えに。半導体向けに加え、データセンタ関連、中国ではスマホ向けも増加している。航空・造船・輸送機械は120.0億円(同98.9%増、同25.0%減)と、前月の歴代最高額160億円比減少も、2か月連続100億円超えと高水準を維持している。

主要3極別ではアジアが750.3億円(同月比66.1%増、前月比1.6%減)と、7ヶ月連続400億円超え、3か月連続750億円超えとなり、2026年4月の762.7億円、3月の750.9億円に次ぐ、歴代3位の高水準となっている。東アジアは581.6億円(同月比66.3%増、前月比17.6%減)となり、7か月連続で400億円超え、2026年4月の604.9億円に次ぐ、歴代2位の受注額となった。このうち中国が512.5億円(同月比65.6%増、前月比3.9%減)と同月比26ヶ月連続増加、7ヶ月連続350億円超えとなり、2026年4月の533.3億円、3月の513億円に次ぐ、歴代3番目の受注額となった。中国の主要4業種は同月比で航空・造船・輸送用機械を除き増加した。一般機械向けは181.0億円(同月比74.0%増)と補助金効果が継続、11ヶ月連続同月比増となった。自動車は165.4億円(同月比45.4%増)と、引き続きEV・PHEV向けなど高水準の投資が継続、単月で26年1月の146.7億円を抜き、過去最高額、初めての単月160億円超えに。電気・精密は122.4億円(同月比89.2%増)と7ヶ月連続2ケタ増、スマホ向けに2027年モデルに向け新規受注が入っている。全体として中国の工作機械NC化向上促進への補助金政策継続、一般機械ではヒューマノイドロボットの拡大を目指、自動車もEV・PHEVへの広がりなどで投資が高水準で継続している。その他、台湾が49.4億円(3.1倍)と5か月連続同月比増加となっている。

その他アジアは168.7億円(同月比65.4%増、前月比6.9%増)と13ヶ月連続で100億円超となっている。インドが57.7億円(同月比27.5%増、前月比24.6%減)と、初めて100億円の大台を突破した3月比大幅減も、3か月平均75億円超えと依然として高い水準を維持している。その他ではベトナム52.5億円(5.1倍)と大口受注があり、フィリピン2.1倍なども高い伸びに。
北米は373.6億円(同月比13.9%増、前月比9.0%減)となり、16ヶ月連続250億円超、6か月連続300億円超え、歴代4番目の記録。このうちアメリカは303.5億円(同月比4.7%増、前月比15.2%減)と16カ月連続同月比増加。米国政府の税制改正、自動化導入の進展、航空、軍需産業からの受注増、データセンタ需要等が追い風になっている。米国主要4業種は一般機械、自動車が同月比減少。一般機械は99.5億円(0.8%減)も100億円規模と高水準を維持。自動車は24.7億円(63.8%減)と前月の大型受注の反動減となった。電気・精密24.2億円(89.8%増)とデータセンタ、半導体製造装置などで伸長。航空・造船輸送用機械は58.9億円(48.6%増)と生産能力増強のために単機能工作機も拡大し、好調続く。

欧州は168.0億円(同月比6.1%増、前月比17.2%減)と11ヶ月連続同月比増も、3か月振りで200億円割れに。ドイツが32.2億円(同月比11.2%減、前月比4.1%増)、2ヵ月連続40億円超えに。イタリアは27.3億円(同月比5.5%減、前月比12.8%増)で11ヶ月ぶりに同月比減少した。欧州の主要業種4業種では、同月比で自動車、航空機・造船・輸送用機械が増加、前月比では自動車、電気・精密が増加した。一般機械は42.0億円(同月比20.5%減)で、8ヵ月ぶりに同月比減少、3ヶ月ぶりに連続50億円割れに。自動車は24.9億円(33.7%増)と6か月連続同月比増、4か月連続20億円超と、低水準ながら底入れした模様。電気・精密は16.5億円(26.9%減)と、低水準も3ヶ月連続15億円超に。航空・造船・輸送用機械は26.3億円(同月比2.2倍)と3ヵ月連続増と堅調な推移となっている。
内需453.3億円(同月比37.3%増、前月比8.0%減)と5月に450億円超は22年以来
内需は453.3億円(同月比37.3%増、前月比8.0%減)と同月比5か月連続増加、5月は連休月でもあり、4月比8.0%減は5月としては大健闘で、5月としては22年の495億円以来の400億円乗せとなった。

主要4業種は同月比で全て増加、前月比は航空・造船・輸送用機械のみ増加した。一般機械は145.5億円(同月比1.5%増、前月比7.6%減)と、需要が一進一退状況で推移。ただし省エネ補助金受付が4月からスタート、効果は7月以降になると見られるが、一部で稼働率が高まり、補助金を待たずに発注を始める企業もある。金型では15.9億円(47.2%増)と、半導体製造装置関連で積極的な動きも。自動車は93.3億円(同月比95.0%増、前月比17.1%減)と2ヶ月連続同月比増加、前月比では4か月振りに減少に転じた。4月に内燃機関関連で久しぶりの投資があった反動減も、同月比では高い伸びを続けた。電気・精密は51.3億円(同月比6.3%増、前月比34.3%減)と、同月比5か月連続増も、前月比で6か月振りに減少した。航空・造船・輸送用機械は72.2億円(同月比2.5倍、前月比89.7%増)と同月比2ヵ月連続増加、前月比3か月連続増加と好調維持となった。
内需全体として半導体製造装置向けやデータセンタ絡みで受注拡大がみられる。また全体として力強さに欠けるものの、補助金申し込みが6月で決まり、7月から受注特需もあり得る。政策措置による本格内需回復に期待する動きが加速している。
5月販売は同月比14.1%増1270億円、受注残30.2%増9282億円は過去最高額更新
5月販売は1270億円(同月比14.1%増)と4ヶ月ぶりに同月比増加。受注残高は受注急増でしかも複合機など納期が長い製品も増加し、急速に膨らみ、23年4月の8685億円を抜いて、22年10月の9201億円を抜き、過去最高の受注残高となった。

5月工作機械4社受注51.4%増、同月比24ヶ月連続増加、輸出は21か月連続増加
日刊工業新聞が集計している工作機械主要4社の5月受注が6/10に発表されている。4社合計で526.83億円(同月比51.4%増)と、24ヶ月連続同月比増加、3月の547億円に次ぐ、歴代2位の額となった。輸出が415.96億円(60.0%増)となり、21ヶ月連続同月比増加、3月の425億円に次ぐ歴代2位の受注額となった。国内は110.87億円(25.9%増)となり、2ヶ月連続で同月比増加、4か月連続で100億円超えとなった。

牧野フライスは104.99億円(同月比15.4%増)で、1月以来の100億円超に。輸出が3ヶ月ぶりに同月比増加に転じ、23年5月の77.72億円以来の受注額となった。欧米の航空宇宙向け、インドで金型向けなどが増加、中国もDC,スマホ向けなど総じて好調。国内は27.53億円(40.8%増)で、5ヶ月連続増加、半導体製造装置向けなどが好調。

オークマは167.03億円(8.8%増)、4か月振りに増加に転じた。輸出が107.53億円(8.8%増)と4か月ぶりに同月比増加、米国で航空宇宙。DC向けなどが拡大した。国内は59.50億円(8.7%増)と、3ヵ月ぶりに増加に転じた。

芝浦機械は38.50億円(2.2倍)で12か月同月比増加した。輸出が25.70億円(3.2倍)と北米向け大型機が、タービン、航空宇宙関連向けに好調に推移した。中国向けも風力発電向け受注、DC用光通信レンズ、車載向けレンズ向けに超精密加工機などを受注した。国内も半導体製造装置向け、大型加工機中心に好調持続、航空宇宙向け、HEV向けも一部で動きが出ている模様。

ツガミは216.31億円(51.4%増)で、12ヵ月連続同月比増加、3か月連続で200億円超となっている。輸出が205.27億円(2.5倍)と主力の中国向けが自動車、データセンタ関連の冷却装置向けが伸長、電子機器向けなども好調で、13ヶ月連続同月比増加、春節開け、データセンタ向けなどで活況が続いている。

日本工作機械工業会が26年受注額予想を史上最高額2兆円予想に上方修正
日本工作機械工業会は、1~5月累計受注額8517.7億円(前年同期比32.2%増)、また6月上旬に会員アンケートに基づく7月~9月期受注見通しの結果などを踏まえ、1月8日に公表した26年暦年受注予想1.7兆円予想を見直した。アンケート調査では全体の8割が7~9月期について、横ばい程度で推移するとした回答が約8割を占め、増加する見通しの回答が14.5%と、少なくとも横ばい以上で推移する見通しが圧倒的となっている。このような背景もあり、具体的には26年予想を3000億円引上げ、前年比24.7%増の2兆円に引き上げた。この数字は2018年の1兆8158億円を上回り、過去最高額更新予想となる。


なお、工業会では国内、外需別の予想は非開示としているが、工業会での取材では、1~5月累計で国内が年初計画通りの推移となっている一方で、輸出が計画を上回るペースで拡大しているとのこと。このため、年初予想の国内4600億円(4.3%増)、外需1兆2400億円(6.6%増)に対し、国内は据え置き、外需を1兆5400億円(32.2%増)程度と想定しているとみられる。
現状、年初工業会予想から1~5月累計の数字を差し引いた金額は全体で8482億円(月間1211億円)、外需6031億円(月間862億円)、国内2451億円(月間350億円)となる。また改正予想の2兆円では残りで1兆1482億円(月間1640億円)がターゲットとなる。
5月単月で1770億円、外需1317億円、国内453億円に対し、外需が52.7%、国内も29.4%の乖離がある。外需は円安影響も寄与しているとはいえ、2兆円に増額の3000億円すべてを外需上乗せと計算して外需9031億円(月間1290億円)とすると、乖離率が2.1%となり、工業会予想が納得出来できる。一方、国内は、7月以降、省エネ、合理化投資の特需が加わる。また5月は連休月ということもあり、暦年中でも数値が小さい月であることを勘案すると、年初には大型補助金を想定に入れていたとは思えないことから、7月以降に大きく数字が上振れるとみられる。このため、内需も、工業会予想に対し増額が期待される。
全体としては、工業会修正予想に対し、さらに500億円程度上回る2兆500億円(前年比27.8%増)、内訳では外需が1兆5200億円(30.6%増)、国内5300億円(20.2%増)程度の受注が期待できよう.
(*日本工作機械工業会受注発表資料、日刊工業新聞6/10などから添付、もしくはアイアールユニバースで加工)