岡本工作機械製作所の26/3期は、工作機械低迷、半導体関連装置もグリーンフィールド投資一巡し、2.8%減収、49.6%営業利益減と2期連続収益低迷。27/3期は半導体関連本格拡大で17.6%増収、97.6%営業利益増予想、28/3期は半導体関連新分野、工作機械も先端産業向け拡大で過去最高益更新期待
6125岡本工作機械製作所 26/3期決算説明会WEB取材メモ ややポジティブに変更
26/3期2.8%減収49.6%営利減と工作機械不振で2期連続大幅減益、27/3期は急回復へ
株価5630円(6/26) 時価総額377億円 発行済株6703千株
PER27/3期DO予(18.6X)PBR(0.87X)配当(27/3DO予)160円 配当利回り2.8%
要約

26/3期2.8%減収49.6%営利減と工作機械不振で2期連続大幅減益
平面研削盤でシェア5割、またシリコン半導体ウエハ加工用装置も手掛けファイナルポリシャでは世界7割シェア誇る。 5/13に26/3期決算発表、6/15に決算説明会が開催されたが、具体的数字開示不足し電話取材後、招集通知で数字確認した。
26/3期は売上高425.13億円(期初計画比74.77億円未達、2/10減額予想比9.87億円未達、2.8%減)、営業利益15.18億円(同32.82億円未達、同3.82億円未達、49.6%減)、経常利益15.35億円(同17.66億円未達、同2.65億円未達47.4%減)、税引利益12.34億円(同17.66億円未達、同0.34億円上振れ、39.0%減)と、大幅減額、2期連続大幅減益で着地した。なお受注は398.73億円(15.7%増)、受注残は271.84億円(8.9%減)と、受注の底入れはかっきりしてきた。

事業別では工作機械事業が売上高289.46億円(期初計画比53.54億円未達、6.2%減)、営利1.03億円(92.5%減)、受注305.47億円(同15.53億円未達、15.4%増)、受注残112.39億円(同38.01億円上振れ、16.6%増)となった。

工作機械事業売上の内訳は工作機械が188.51億円(12.7%減)、歯車65.62億円(7.3%減)、鋳物37.43億円(26.5%増)。国内は売上高143.56億円(8.3%減)と、昨年好調だった大型平面研削盤の反動減、納期ずれなどで減少した。海外は145.90億円(4.0%減)、北米は41.72億円(2.1%増)と航空宇宙関連が堅調に推移、アジアは80.83億円(4.5%減)と中国向けは産機、金型、半導体製造装置向けの拡大も、その他地域が不振で微減に。欧州は18.56億円(20.8%減)とドイツ中心に景気停滞影響で大きく減少した。受注面では中小企業向けの設備投資補助金政策、ロボット向精密歯車などの受注が好調に推移、海外の欧州を除き増加した(数字は未開示)。

利益面では収益性の高い平面研削盤の構成比が減少しMIX悪化となり、期中の原材料高も影響、さらに売上の期ずれの影響もあり大幅減益に。
半導体関連事業は売上高135.67億円(期初計画比21.33億円未達、5.4%増)、営利27.44億円(8.6%減)、受注93.25億円(同85.75億円未達、17.0%増)と、300mmシリコンウエハの需要伸び悩み、在庫調整、グリーンフィールド向けの納入一巡などで伸び悩んだ。ファイナルポリシャー(FP)の売上構成比はやく80%とのことで、108億円程度と推定されるが、この内グリーンフィールド向けは1割程度にとどまっているとのこと。売上高の仕向け先では日本が65.62億円(7.3%減)とグリーンフィールド向けFPがほぼ完了したと見られる。一方、海外は70.05億円(20.9%増)で、中心となるアジアが59.71(35.1%増)と中国での積極的な設備増強で大幅増に。受注は79.73億円(37.6%増)と次期のグリーンフィールド向け受注がたち切れとなって大幅な計画比未達も、先端半導体において、より平坦度を要求される中でブラウンフィールド向け受注が堅調で、国内外ともに受注増加となった。なおFP以外では高周波通信デバイス向けにグラインダなどの受注があったとみられる。

利益面では売上で計画未達成となったこと、グリーンフィールド向けが減少しMIX悪化なども影響し、減益に転じたとみられる。
四半期収益・受注推移では、26/3Q4が売上高131.38億円(3.7%減)営業利益7.82億円(48.8%減)、受注96.82億円(28.6%増)となっている。事業別では工作機械事業が売上高90.62億円(5.2%減)、営業利益5.02億円(59.7%減)、受注131.38億円(3.7%減)、半導体関連事業は売上高40.76億円(0.2%減)、営業利益4.25億円(6.75億円増加し黒字転換)、受注17.47億円(61.2%増)となっている。工作機械事業は期ずれもあり大幅な収益低迷、半導体関連事業は受注急増、収益性も改善が進んでいる。



27/3期14.3%増収59.2%営利増予想と半導体向け急回復で収益回復見通し
27/3期会社予想は売上高500億円(14.3%増)、営利48億円(59.2%増)、経常利益47億円(61.1%増)、税引利益30億円(48.2%増)、受注500億円(45.1%増)予想とした。
部門別では工作機械事業が売上高344億円(18.8%増)、受注350億円(14.6%増)予想。サブセグメント予想は工作機械については工作機械が250億円(25.4%増)予想と、工作機械工業会26暦年受注予測の24.7%増並みの予想を獲得する。鋳物と歯車合計では114億円(12.9%増)予想としているが、歯車はロボット向けに多関節化の進展などで需要拡大が見込める他、鋳物は材料高から売上増が見込める。
半導体関連事業は、売上高156億円(15.0%増)、受注150億円(60.9%増)予想とした。ここにきてメモリ需要が拡大、ウエハ在庫も25年Q4をピークに減少傾向となっており、特にメモリの顧客在庫持ち高は24年Q1から減少傾向が継続している。

現在、データセンタでは学習型に加え、推論型の投資が本格化、改めて中国などでは増産に向けてFP需要が高まる見通しにある。具体的には昨年10月調査では、2026年は4.0%増、27年に8.6%増予想としているが、足元の26年Q1では金額ベースで同期比13.1%増と、2桁の金額の伸びとなっており、先端デバイスの拡大と、枚数も増加傾向が高まっている模様で昨年10月予想を上回る伸びが期待される。先端品ではFPニーズが高まるとみられるため、市場の伸びを上回る受注が期待される。


またFP以外で、データセンタ需要で急拡大しているMLCC向けの拡大、グラインダの拡販など、FP以外の受注も拡大する見通し。
工作機械事業については、工業会の月次受注が過去最高を記録する中、輸出が史上最高額を更新していることに加え、6月以降は内需で省エネ補助金特需効果が見込まれる。これらを踏まえ、日本工作機械工業会では6月に2026年暦年受注予測を2兆円(期初予想比3000億円増額、前年比24.7%増)とした。同社も工作機械については同様の伸びが期待される。また歯車については、フィジカルAI投資の活発化から、多関節ロボット、人型ロボットでの関節、指関節などの需要が高まる見通しにあり、少なくとも2桁の伸びが期待される。
全体を通じ、受注については会社予想を上回る受注が期待されるが、売上面では原材料高影響が残るとみられ、上期は低迷が続き、本格回復は下期になるとみられる。
28/3期中計達成は未達懸念、新社長下で31/3期売上高700億円、営業利益115億円目標
同社は28/3期に売上高690億円、営業利益110億円、配当性向45%を目標としている。しかし25/3期、26/3期の利益低迷、そして今回の27/3期予想は25/3期営業利益予想で25/3期水準に戻る程度の予想となっている。この背景には、工作機械事業で、工作機械受注の回復が遅れたこと、また同社はEV製造向けに長尺大型平面研削盤などが反動減となってしまったことなどが影響し、工作機械事業の主軸の研削盤が伸び悩んだことが指摘できる。さらに岡本工機の精密歯車工場増設に対し、ロボット需要が伸び悩み、ここにきてフィジカルAI需要に伴う需要回復傾向がはっきりしてきたものの、全体の稼働率を高めるまでには至っていないなどの影響もあった。半導体関連事業については、先端半導体の拡大はあったものの、ウエハ面積では数量効果がなく、長期契約によりユーザー在庫が膨らみ在庫調整に時間を要し、今も在庫調整完了は至っていない。特にNANDフラッシュや通常のDRAMの伸びが想定外に終わったこと、さらに期待していた非FPでパワー半導体向けの新製品群が、EV普及の誤算から伸びなかったなどが影響、FP主力ユーザーである2社のグリーンフィールド投資が遅延、さらに追加案件が立ち消えになるなどが直撃することとなり、半導体関連事業についても予定外の推移となっている。
このような環境で、28/3期会社中計予想については27/3期予想に対し、38%増収、営業利益3.7倍予想となり、目標達成は極めて厳しい状況にある。

これに対し今回、同社は半導体事業を中心に同社の技術開発を長年率いてきた伊藤取締役常務を新社長として昇格させ、新たな経営体制による経営基盤の強化と企業価値向上をはかることとした。
具体的には2023年11月に策定した2030年にありたい姿として、中長期戦略「ビジョン2030」の実現を目指すこととした。具体的な数値目標は30/3期に売上高700億円、営業利益115億を目標としている。この中で柱となるのが半導体事業で、半導体関連事業を30/3期には300億円まで拡大する計画となっている。
2025年12月にはショールーム・技術開発棟(東京テクニカルセンター)の運用開始をはじめ、新機種開発と段階的な市場投入を実行するが、半導体製造工程では大きな変化が生じている。同社は、従来の領域を超えた新たなグラインダやポリシャの要求に対応、開発装置のラインナップを強化している。


さらに生成AIの登場で、ICパッケージ技術の変革が進行しつつあり、PLPに対しても積極的な対応を目指している。同社は過去に液晶ガラス大型基板製造で旭硝子(現AGC)に対し大きな受注獲得の歴史があり、ガラス基板において搬送を含め製造ノウハウが蓄積されている。加えて今回、社外取締役としてレーザー技術総合研究所副所長で、大阪大学レーザー科学研究所招へい教授の藤田雅之氏を迎えることとなった。同氏は産業用レーザー加工、特にフェムト秒レーザー加工、レーザーダイシングなどで功績を持ち、特に積層MEMSレーザーダイシングでは学術論文で受賞している。同社はこれまでディスコや浜松フォトニクスなどの手掛けるレーザーダイシングなどの装置は手掛けていないが、今後、半導体後工程・次世代材料加工で、“研削+研磨+レーザー支援加工”への事業拡張にもつながるとみられ、今後の製品開発に期待が膨らむ。

いずれにしても27/3期は受注の本格回復、利益では25/3期への回帰、28/3期には再度の飛躍を期待したい。
株価は2/10の業績大幅下方修正を受けて下落、2/10の5350円から3/31には3690円の安値まで下落したのち、DRAM、フラッシュメモリなど推論AIデータセンタ設備投資活発化でメモリ需要急回復を念頭にウエハ需要急回復を材料として半導体関連として見直す動きもあり、急反発、5/29には5920円の年初来高値を付け、24年4月の6800円以来の高値となっている。27/3期会社予想EPS302.57円に対しPER18.6倍は東証スタンダード機械平均18.7倍と同水準にある。また類似事業の東京精密28.1倍(東証プライム精密平均PER28倍)、ディスココンセンサスPER39.1倍(プライム機械平均PER25.2倍)に対しては割安となっている。27/3期は25/3期並みの利益に戻り、28/3期には24/3期の営業利益61.33億円を抜くと期待されるが、会社中計予想に対し未達見通しのため、現在株価が高値圏にあるため、ポジティブからややポジティブに評価を改めたい。



*ウエハ製造関連ディスコ(6146)、東京精密(7729)、OBARA(6877)との比較

*ウエハーメーカーの信越化学(4063)、SUMCO(3436)との比較

*26/3期決算説明会、説明会資料、26/3期有価証券報告書,Semiリリースなどから作成、チャートはヤフーより添付