予想レンジ
| 項目 | 7月予測レンジ | コメント |
| LME | 3,000-3,400ドル | ドル高・中国需要懸念で上値は重い。3,000ドル台前半中心の下値確認局面。 |
| スクラップ | -20~-60円(前月最終価格より) | LME調整で弱含み。良質材は下げ渋るが、低品位材は下押し圧力。 |
| 為替 | 158-165円(1か月間TTM) | 160円台の円安基調が輸入コストを押し上げる。 |
■国際概況
6月のLMEアルミは、中東・ホルムズリスクで一時的にリスクプレミアムが乗ったものの、月後半は地政学リスクの剥落、ドル高、中国需要懸念を受けて調整色が強まった。日々の市況レポートでも、Cu・Alともドル高が圧迫要因になりやすく、7月入り時点ではアルミスクラップ買値にも30~40円幅の値消しが意識される局面となった。
7月は、LMEアルミを3,000~3,400ドルのレンジに引き下げてみる。急騰後の買い控え、製品価格への転嫁遅れ、国内外の在庫・倉庫規則の動向が焦点となる。良質材は数量確保優先の買いが残る一方、低品位材や選別負担の大きい材料は価格差が広がりやすい。
■前月の経済指標
◆月間のドル/円レート(TTS) 2026年6月末 163.39円、月中平均161.77円。月末・月中平均とも160円台を維持。

【国内指標】
【自動車生産】
直近の5月実績では、日本国内自動車生産は約59万9千台、前年同月比0.9%減。4月実績は65万1,159台、前年同月比+2.4%とプラスだったが、5月は4月から反動減となり、部品・輸出・稼働日要因を含めてやや弱含んだ。
| 月 | 3月 | 4月 | 5月 |
| 生産台数 | 74万8千台 | 65万1,159台 | 59万9千台 |
| 前年比 | +8.7% | +2.4% | -0.9% |

【自動車販売】
自販連・全軽自協の6月速報では、登録車と軽自動車を合わせた新車販売台数は42万6,883台、前年同月比+8.6%。登録車は28万1,571台、軽自動車は14万5,312台となり、3か月連続でプラスとなった。
| 月 | 4月 | 5月 | 6月 |
| 販売台数 | 373,933台 | 332,986台 | 426,883台 |
| 前年比 | 109.1% | 102.8% | 108.6% |

【住宅着工戸数】
5月の新設住宅着工戸数は5万7,877戸、前年同月比+33.9%。持家・貸家・分譲住宅がいずれも増加し、季節調整済年率換算値は75.7万戸、前月比+4.6%となった。ただし前年の反動も大きく、実需回復の強さは地域差を確認したい。
【アルミ圧延・押出品生産数】
日本アルミニウム協会がまとめた2026年5月のアルミニウム圧延品(板・押し出し類の合計)の出荷量は、前年同月比+2.1%の13万7,737トンとなり、3か月連続でプラスとなった。板類は半導体製造装置向けの厚板を含む「その他」の増加と輸出の伸びが支えとなり、出荷量は9万478トン、前年同月比+3.2%。押出類は建設向けの減少が続く一方、自動車向けが二桁増となり、出荷量は4万7,259トン、同+0.2%となった。はくは電気機械器具・食品向けが弱く、出荷量7,495トン、同▲4.1%となった。なお、4月の板・押し出し類合計は14万7,542トン、同+2.1%だった。
| 月 | 3月 | 4月 | 5月 |
| 出荷量 | 152,481t | 147,542t | 137,737t |
| 前年比 | +6.3% | +2.1% | +2.1% |

【アルミニウム二次地金 同合金地金等生産実績】
日本アルミニウム合金協会の令和8年5月実績では、生産量6万1,331トン、出荷量5万9,024トンとなった。前月比では生産91.7%、出荷86.9%で、生産・出荷とも2か月連続してマイナス。自動車向けダイカスト需要は底堅いが、スクラップ高・電力コストが採算を圧迫する。
| 月 | 3月 | 4月 | 5月 |
| 生産量 | 70,153t | 66,846t | 61,331t |
| 出荷量 | 68,815t | 67,925t | 59,024t |

◆貿易関連指標(5月総額・個別品目は直近確認済み実績)
財務省の令和8年5月分貿易統計速報では、輸出額は9兆5,116億円、輸入額は9兆8,902億円、差引額は3,786億円の赤字。アルミ個別品目は、添付データおよび追加確認値に基づき、主要品目を5月実績へ更新する。
【輸出】
| 品目 | 直近確認済み実績 | 備考 |
| 新地金 | 577t(5月、前年比+141%) | 財務省貿易統計。kg表示はt換算。 |
| 二次合金(再生塊) | 850t(5月) | 財務省貿易統計。 |
| アルミスクラップ | 25,207t(5月) | サッシ・切削くず等を含む。 |
| アルミ缶スクラップ | 4,317t(5月) | UBC系の海外流出指標。 |


【輸入】
| 品目 | 直近確認済み実績 | 備考 |
| 新地金 | 65,894t(5月、前年比-42.5%) | アルミ地金。kg表示はt換算。 |
| 二次合金・合金地金 | 77,957t(5月) | 合金地金。 |
| アルミスクラップ | 15,097t(5月) | くず・合金くずを含む。 |


■国内概況まとめ
6月の国内アルミスクラップ市場は、国際相場が中東リスクで一時的に上振れた後、ホルムズリスクプレミアムの剥落とドル高を受けて調整色が強まった。日々の市況レポートでも、7月入り時点で問屋・メーカーのスクラップ買値に30~40円幅の値消しが意識されており、6月後半からは高値追いより在庫管理の色合いが強まった。
需要面では、6月の新車販売が42万6,883台、前年比+8.6%と堅調で、自動車向け二次合金需要には追い風が残る。一方、5月の自動車生産は59万9千台、前年比-0.9%と一服。住宅着工は5月5万7,877戸、前年比+33.9%と大幅増だが、前年反動の影響も大きく、押出・建材向けの本格回復は慎重に見たい。
スクラップ発生は、LMEアルミの3,000ドル台前半を想定すると、売り手の様子見が出やすい。良質材・サッシ系・缶スクラップは国内外とも引き合いが残るが、低品位材や選別負担の大きい材料は価格転嫁の遅れで荷動きが鈍くなりやすい。7月は、良質材不足と値下げ圧力が同居する、品種差の大きい展開を想定する。
【見通し】
【自動車生産】 5月は一服したが、6月販売は堅調。7月は前年並みから小幅プラス圏を想定。
【自動車販売】 登録車+軽の販売は3か月連続プラス。7月も登録車中心に底堅いが、軽の反動には注意。
【住宅着工戸数】 5月は大幅増だが前年反動が大きい。建材・押出需要は低位からの持ち直し局面。
【アルミ圧延・押出品】 5月は板押計で13万7,737トン、前年比+2.1%と3か月連続プラス。板類は半導体製造装置向けや輸出が支える一方、押出は建設向けの弱さが残るため、7月も品目差を伴う横ばい圏を想定。
【アルミ二次合金】 5月実績は生産6万1,331トン、出荷5万9,024トンと前月比で弱含み。自動車向け需要は底堅いが、原料高と電力コストで買値上げには慎重。
【スクラップ景況予想】 LMEアルミの想定レンジを3,000~3,400ドルへ引き下げるため、スクラップ価格は前月最終比で-20~-60円程度の弱含みを予想。良質材は下げ渋るが、低品位材から値下げ圧力が出やすく、品種間格差が広がる。
【LME・為替予想】 LMEアルミは3,000~3,400ドル、為替は158~165円を想定。ドル高とリスク剥落で上値は重く、3,000ドル台前半で下値を探る展開。円安が国内価格を下支えするが、スクラップ買値は弱含みになりやすい。
7月のアルミは、LMEの下振れを前提に弱含みながらも、良質材不足は残り、在庫量と品種選別が収益を左右する。