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2026年6月 タングステンスクラップ輸出入統計分析 中国依存低下続く 価格高止まりで調達多極化進展

2026/08/04 13:34
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2026年6月 タングステンスクラップ輸出入統計分析 中国依存低下続く 価格高止まりで調達多極化進展

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為替相場推移 TTS 3か月

タングステンAPT(EU Freemarket) 1年
純タングステンススクラップ(USD/Kg cif Japan) 1年

 

(輸出分析)
■数量では、
6月単月は74トンと、5月(28トン)から前月比264%と大幅に回復したものの、前年同月比では29%にとどまり、なお低水準で推移した。台湾向け41トンが最大仕向け先となり、中国向け16トン、韓国向け10トン、オーストリア向け7トンが続いた。一方、ドイツ、米国向けはともにゼロとなり、欧米向け大型案件はみられなかった。
1~6月累計は552トンで前年同期比46%と前年を大きく下回った。台湾向け232トン(前年比107%)と韓国向け112トン(同103%)は前年並みを維持した一方、ドイツ向け86トン(同20%)、米国向け66トン(同23%)、中国向け40トン(同37%)は低調が続いている。
総じて6月は、5月の落ち込みから台湾向けを中心に持ち直したものの、欧米向け大型案件は依然低迷し、輸出はアジア向けスポット案件に依存する不安定な構造が続いている。(表―1、グラフ―1)。



 

■金額では、
6月単月は7億43百万円と、5月(3億28百万円)から前月比227%と大幅に回復したものの、前年同月比では63%にとどまった。金額構成では、中国向け3億02百万円、台湾向け2億25百万円、オーストリア向け1億28百万円が中心となり、5月に主体だった韓国向けは85百万円へ縮小した。ドイツ、米国向けはともに実績がなく、輸出金額はアジア向け案件が牽引する形となった。
1~6月累計は40億61百万円で前年同期比85%。韓国向け11億68百万円、台湾向け11億01百万円が依然として主力を占め、中国向けも7億30百万円と前年を上回った一方、ドイツ、米国向けは前年を大きく下回り、欧米向けの減少をアジア向けが補う構図が続いている。
総じて6月は、アジア向け高額案件の回復により金額は持ち直したものの、欧米向け大型案件の低迷が続いており、輸出金額は依然としてスポット案件の有無に左右されやすい市場構造となっている。(表―2、グラフ―2)。



 

■平均FOB単価は、
6月は10,042円/kgとなり、5月の11,700円/kgから前月比86%へ低下した。5月の高単価案件の反動に加え、6月は台湾向け5,490円/kgなど相対的に単価の低い案件が増加したことから、平均価格は調整した。一方、中国向けは18,861円/kg、オーストリア向け18,333円/kg、韓国向け8,467円/kgと高水準を維持し、高付加価値案件が価格を下支えした。
為替は6月入り後に円安へ転じ、円建てFOB価格の押し上げ要因となったものの、案件構成(ミックス)の変化がその効果を上回った。APT価格も中国の供給管理や輸出規制を背景に引き続き高値圏で推移しており、市況自体に大きな崩れはみられない。総じて6月は、高単価案件の反動で平均FOBは調整したものの、円安進行とAPT高止まりが価格を下支えしており、タングステンスクラップ輸出価格は引き続き高水準で推移している。(グラフ―3)。


 

主要税関別数量・FOB(JPY/Kg)実績 ( )内は前月実績


■今後の展望(輸出・タングステン系)
タングステン市場は、中国価格の軟調が続く一方、輸出規制を背景に国際APT価格は3,000ドル/MTU前後を維持し、内外価格の乖離が続いている。国内ではスクラップ需給にやや緩みもみられるが、国際価格は依然高値圏にあり、6月以降の円安も円建て輸出価格を下支えする見通しだ。
輸出は引き続きスポット案件の影響を受けやすく、数量は月ごとの変動が大きい一方、高付加価値案件が金額を左右する構図に大きな変化はない。当面は「数量は不安定、価格は高止まり、金額は案件次第」の展開が続く公算が大きい。

 

(タングステンスクラップ輸入分析)
■数量では、
6月は80トンと、5月の117トンから前月比68%へ減少したものの、前年同月比では160%と前年を上回った。ドイツ向けが22トン(前月比220%)へ増加した一方、シンガポールはゼロ、中国・台湾も低水準にとどまり、「その他」49トンを中心とした分散調達が続いた。
1~6月累計は821トンで前年同期比154%。中国依存は引き続き低く、ドイツやシンガポールに加え、「その他」地域を組み合わせた多元的な調達構造が定着しており、輸入数量はスポット案件に左右される展開が続いている。(表―1、グラフ―1)。



 

■金額では、
6月は26億19百万円と、5月の28億89百万円から前月比91%へ減少したものの、前年同月比では970%と高水準を維持した。ドイツ向け7億02百万円、「その他」16億26百万円が全体を押し上げた一方、シンガポールや台湾は減少した。
1~6月累計は147億39百万円と大幅な増加が続き、中国依存の低下と高額スポット案件を中心とした多元調達構造が一段と鮮明となっている。(表―2、グラフ―2)。
 


 
 

■輸入CIF単価は、
全体平均で5月の24,690円/kgから6月は32,743円/kgへ大幅に上昇し、再び過去最高値を更新した。6月は為替が円安方向へ転じたことに加え、高付加価値案件の比率上昇が円建て価格を大きく押し上げた。
国別では、台湾が33,443円/kg、インド33,366円/kg、ドイツ31,923円/kgと3万円台に達したほか、中国も27,664円/kgと高水準を維持した。一方、シンガポールは当月の輸入量が小さく、英国も実績が限定的で、案件構成の変化が平均価格を大きく左右した。
総じて6月は、APT価格が3,000ドル/MTU前後で底堅く推移する中、円安進行と高単価案件の増加が重なり、輸入CIF価格は一段と上昇した。輸入価格は引き続き国際タングステン市況と調達先ミックスの影響を強く受ける、高ボラティリティな局面が続いている。(グラフ―3)。


 

主要税関別数量・CIF(JPY/Kg)実績 (  )内は前月実績

主要国別税関別数量・CIF(JPY/Kg)実績 (  )内は前月実績

 

■今後の展望(輸入)
タングステン輸入は、中国の輸出規制を背景に、中国依存を低下させながらシンガポール、欧州、アジア各国を組み合わせる多元調達が今後も基本となろう。案件ごとの調達比率に左右されるスポット色の強い市場構造に大きな変化はなく、輸入数量は月ごとの変動を伴いながらも底堅く推移するとみられる。
価格面では、中国国内のAPTやフェロタングステン、スクラップ価格は軟調が続く一方、国際APT価格は3,000ドル/MTU前後で底堅く推移し、中国内外の価格差は依然大きい。6月以降は円安も円建て輸入価格を押し上げる要因となっており、高付加価値材の調達比率次第ではCIF価格は高水準を維持する公算が大きい。総じて当面は、「数量はスポット案件で変動、価格は高止まり、調達先の多極化が進展」という市場環境が続くとみられる。


(IRUNIVERSE S. Aoyama)

 

青山 雫

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