LME銅相場は8月4日、一時1トン=1万4,000ドルまで上昇し、約2カ月ぶりの高値を付けた。COMEX銅先物も1ポンド=6.6ドル近辺まで上昇し、両市場とも供給逼迫を背景とした強い値動きが続いている。
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米国への大量流入続く COMEXプレミアムが輸送を後押し
今回の上昇を支えている最大の要因は、米国への大量の銅流入による世界市場での供給偏在である。IHS Markitの船積みデータによると、7月に米国へ到着した銅は20万トンを超え、2014年以降で月間最大となった。トランプ政権による精製銅輸入関税の最終判断はなお示されていないものの、COMEX価格がLME価格を約600ドル上回る状態が続いており、米国向け輸送は依然として採算が取れる状況にある。
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LME在庫減少、中国向け出荷で現物逼迫強まる
一方、LME指定倉庫の銅在庫は5カ月ぶりの低水準まで減少した。中国向け出荷が続いていることに加え、LME現物は3カ月物に対し約100ドルのバックワーデーションへ拡大しており、短期的な現物逼迫感は1月以来の強さとなっている。
中国ではVAT摘発が精製銅需要を押し上げ
中国でも供給面の引き締まりが続く。銅精鉱不足に加え、中国政府による増値税(VAT)不正取引の摘発によりスクラップ流通が停滞し、精製銅需要が高まっている。これを受けて中国の精製銅輸入は高水準で推移し、洋山プレミアムも上昇基調を維持している。加工メーカーは必要最小限の調達を続けているものの、中国国内在庫は依然低位にとどまっている。
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需要には慎重材料も 景気刺激策は現状維持
もっとも、需要面にはやや慎重な材料もある。民間調査による7月の中国製造業PMIは4カ月ぶりの低水準となり、生産や新規受注の伸びは鈍化した。また、中国共産党政治局は新たな大型景気刺激策を打ち出さず、既存政策を継続する姿勢を示しており、中国実需の本格回復にはなお時間を要するとの見方も残る。
600ドルスプレッドが示す「関税プレミアム」
それでも市場では、エネルギー転換やAI向けデータセンター建設を背景とした中長期需要への期待は根強く、銅精鉱不足によるTC低迷も続いている。さらに注目されるのは、COMEXとLMEの価格差が約600ドルと依然高水準にあることだ。精製銅が追加関税の対象外となった後もスプレッドが縮小しきらないことから、市場では将来の関税導入リスクを一定程度織り込み続けているほか、米国内に集積された大量在庫そのものに戦略的価値を見いだしている可能性もある。今後はホワイトハウスによる関税政策の最終判断と、それに伴う米国内在庫の動向が、世界の銅需給と価格形成を左右する最大の焦点となりそうだ。
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(IRuniverse S. Aoyama)