米CMEグループは19日、傘下のCOMEXにおいて、2027年第1四半期初頭にタングステン中間原料であるAPTの先物を上場する計画を発表した。規制当局の審査・承認を条件とする。世界のタングステン年間生産量は約8万5,000~9万5,000トン、市場規模はスポット価格ベースで200億ドルを超える。Fastmarketsを指標とする現物価格は存在する一方、先物価格はこれまでなかった。
今回の上場の狙いは、価格変動リスクを管理するヘッジ手段を提供し、価格の透明性を高めることにある。鉱山会社、原料加工業者、メーカー、商社などが、現物の調達・販売とは別に先物取引を活用することで、価格変動による損失リスクを抑え、将来の調達コストや販売価格を見通しやすくすることが期待される。
決済指標には、Fastmarketsが評価するAPT(パラタングステン酸アンモニウム)の価格を採用する。対象は三酸化タングステン(WO₃)含有率88.5%以上のAPTで、価格条件は「CIFロッテルダム・ボルチモア、関税未払い」となる。
業界からは、「まだ詳細については把握していないが、先物の予想を出すことは悪いことではない。(しかし、)今までもFastmarkets(旧ロンドン・メタル・ブリテン)など指標となる価格はあったが、中国はそれをベンチマークとせずに輸出規制などの独自の動きをしていた。また、タングステン酸ナトリウムを始めとした関連品が様々ある中でAPTだけを対象にしていることも物足りなさを感じる。従って、(市場関係者は)様子を見るべきだと思う」(レアメタル アルケミスト)との声も挙がっている。
関連記事:レアメタル千夜一夜178夜 タングステン――日本が育てた中国の「市場の皇帝」
COMEXが始める先物取引は現物の受け渡しを伴わない差金決済方式で、契約価格と決済時の基準価格との差額を金銭で精算する。今回の上場は、APTの現物市場に価格変動リスクをヘッジする先物市場を組み合わせ、価格形成の透明性と企業のリスク管理機能を高める取り組みとなる。