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循環型社会時代形成の契機となった豊島不法投棄現場の今 ②

2015.06.12 10:28

 前回は豊島の不法投棄現場での処理現況を伝えた。今回は豊島で積み込んだ廃棄物(シュレッダーダスト、汚泥、鉱滓、汚染土壌等)を直島の中間処理施設(香川県直島環境センター)で処理する工程について述べたい。

 

改めてだが、本施設で処理するに至った経緯は・・・

 1999年8月 県が直島での中間処理を提案

 2000年3月 直島町が受け入れを表明

 2000年6月6日に公害調停が成立

 

 このとき、香川県の真鍋知事が産廃物の受け入れを認めてしまったことを住民に謝罪する(*しかし実際には前知事が産廃の持ちこみを許可し、豊島住民を無視した業者寄りの判断を下している)

 

写真 クボタ環境サービスの香川直島JA事業所、豊島KS事業所の後藤謙治総括所長によると豊島廃棄物処理事業のコンセプトは

 ①  処理の結果発生するもの(スラグから飛灰まで)は全量資源として利用する。

 ②  徹底的な情報公開

 ③  共創の理念

の3点。

 

 香川県直島環境センターにはクボタの技術と設備を結集し、年間操業平均300~330日のフル稼働体制で年間6万トン強の豊島廃棄物等を処理している。平成28年度末には豊島廃棄物の処理は終えなければならない。

 

 

 施設では溶融処理に伴って発生する飛灰やスラグなどの副成物を徹底的に再資源化しており、またプラント排水や雨水も再利用する完全循環型施設となっている。

 

写真 写真

 

 豊島から同施設に運びこまれた廃棄物は各種の前処理装置(破砕機、磁選機等)を経て破砕選別され、回転式表面溶融炉にて溶融される。鉄や岩石に付着した可燃物等は別工程のロータリーキルン炉で焼却処理。

 

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 中間処理施設で要となるのが、このクボタの誇る回転式表面溶融炉である。

 この溶融炉は独特の溶融方式ですりこぎ状に炉自体が回転していき、まんべんなく廃棄物を溶融していく。約1300℃で高温処理するためダイオキシン類も完全分解。1日100トン処理していく。

 

 この炉では豊島廃棄物1トン処理するために170リットル程度の油を要するという。豊島廃棄物には可燃物が含まれているため、油の消費量は灰の溶融に比べて少なくなる。溶融された処理物は炉の中心部から流下し、水で急速に冷やされ水砕スラグとなる。

 

 

 豊島廃棄物を処理した結果、スラグ60%、飛灰4%、銅含有物3%、アルミ含有物1%という割合で副成物が発生し、それらが全量再資源化されている。

 スラグはスラグ破砕機にて破砕され、比重選別などでアルミ、銅の有価金属を回収する。破砕したスラグは安全性検査と品質検査を行ったうえでコンクリート用骨材として全量、香川県の土木工事に使われているとのこと。

 

 溶融飛灰は塩類が7割、他は亜鉛10%、鉛5%、銅が0.5%程度。この飛灰は脱塩して三菱マテリアルの直島製錬にて有価金属を回収する。

 

写真 写真

 

 また焼却、溶融によって得られる溶融メタルは銅分が30%ほど含有しており、銀も300mg/kgほど含有しているという。

 これらは入札を経て三菱マテリアルに有価売却されている。銅分が30%というのは現在の溶融メタルの一般的な組成からすれば驚くほど高いが、豊島に不法投棄されていた当時のシュレッダーダストは現在のように徹底的に有価物を回収した後にシュレッダーにかけずに、かなり荒っぽい処理だったため、結果的に高い銅分が残っているのだと推測される。と同時に飛灰で塩類が高いというのもおそらくはハーネスなどもそのままシュレッダーダストとして投棄していたからだと考えられる。

 

 豊島での水処理や掘削、海上輸送、中間処理施設の運営経費は年間で30~35億円かかっているというが、前回も述べたように廃棄物の適正処理はいかにコストがかかるかを改めて考えさせる。香川県が作成した豊島廃棄物等処理事業のパンフレットの1枚目にこう記されてある。

 「多島美と白砂青松の美しさを誇る瀬戸内海。この瀬戸内海に浮かぶ豊島で起こった産業廃棄物不法投棄事件は、経済優先社会のいわゆる「ごみ」の問題を世に問い、我が国により環境負荷の少ない循環型社会を目指していくきっかけとなりました。豊島問題は、廃棄物の発生を抑制するとともに、排出されたものはできるだけ資源として循環的に利用し、どうしても利用できないものは適正に処分するという循環型社会に向けた新たな取り組みにつながっていったのです」

 

 そして2015年現在、確かにこの豊島事件を契機に日本では数々の環境リサイクルに関する法規制が作られていき、循環型社会は形成されていったのだが、本当の意味で循環型社会になったのだろうか?

 

 2000年以降に爆発的に伸びていった中国向けの雑品輸出は、日本国内で厳しくなっていった環境リサイクル規制から逃れるように洪水のごとくゴミまがいのものが中国に輸出されていった。たとえ有害物が入っていたとしてもグロスで有価ならばOKという日本の廃掃法の抜け穴を見事にかいくぐった商流は現在にまで続いている。中国での不適切なリサイクルによる環境問題の責任の一端は日本にもある、というのは言い過ぎだろうか?

 

 真の意味で循環型社会を維持していくには、排出者~中間処理事業者~再資源化事業者が三位一体となって取り組まねば成立しない。経済合理性だけで選択すれば、国内処理はコストがかかるものが多いのは現実。ならばと海外に廃棄物の輸出を許すということは欺瞞的である。豊島で得た教訓は何ら活かされていないと思える。

 

写真 リサイクルにかかわるすべての方々は今一度豊島の現実を見て、自らのリサイクルに対する考え方を問うてみたらどうだろうか?そして私はどうにもこれまでの豊島と福島の今後がだぶって見える。島が、町が、ある方々にとっては故郷が衰退していった原因はいずれも経済優先の末に起きた。福島の今後を考える意味でも豊島の現状からなにかを探れるはずである。

 

(IRUNIVERSE YUJI TANAMACHI)

 

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