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磁石同志の会 第9回NS会開催

写真 磁石同志の会として2007年に発足して今年で9回目を迎えるNS会が8月22日、都内・神保町の明治大学紫紺館で行われた。会には磁石同志49名が参加。また会場内には昨年3月5日に惜しくも逝去された故浜野正昭氏の在りし日の写真と著作も立てられた。

 

 

 

 

 


写真 磁石業界に長く携わり、故浜野氏との交流も深かった元三徳、現在美交化学の小西功氏のスピーチが秀逸であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


写真 さて第9回NS会は例によってNS会発起人の一人である明治大学名誉教授の山元洋先生が開会の挨拶を行った。

 恒例のNS講話は大同特殊鋼の入山恭彦氏(研究開発本部、電磁材料研究所長)が「高性能熱間加工磁石とその応用」との演題にて講演を行われた。
 入山氏は1982年に旭化成に入社。レアアースの分離精製の研究、サマリウム鉄窒素磁石の研究、リチウムイン電池負極材の研究開発を経て、1995年に大同特殊鋼に入社。
以来、一貫してネオジム磁石の研究開発に取り組んでおられる。現在は大同特殊鋼の電磁材料研究所とインターメタリックスも兼務。

 現在大同特殊鋼の磁石事業はダイドー電子とインターメタリックスの2社を傘下に擁している。


 ネオジム磁石市場はいまも需要が伸びているが、なかでも高保磁力、耐熱性が求められるネオジム磁石の需要は強い。この2つの性能を出すにはDy(ジスプロシウム)、Tb(テルビウム)といった中重希土類元素が必要になるが、Br(残留磁束密度)が低下するという問題がいまでも課題となっている。


 入山氏によると、ジスプロシウムは中国でも年間1200トンの生産にとどまっており、今後も中重希土類の資源リスクはある。そのため技術開発で中重希土類を落としながら先の性能をあげていくことが肝要だということで開発したのが熱間加工磁石(MQ3)だという。ちなみにMQ3とはマグエンクエンチの磁石パウダーを3回にわたって加工することでMQ3との呼び名がつけられている、という。
 

現在、日本国内での磁石研究は
    1、ネオジム材料の特性向上
    2、ネオジム以外の材料研究→サマリウム鉄窒素磁石、サマリウムコバルト磁石など
    3、非希土類系の探索


と展開されているが、2と3はネオジム以上あるいはネオジム同等の磁石性能が出ないことで現実的ではないゆえ、1のなかで中重希土類の使用量を下げながら、磁石性能を上げていくことが本道ではないかと説く。

 それがインターメタリックス社の粒界拡散であり、入山氏が力を入れている熱間加工で微結晶型磁石を製造するという今回の技術開発である。


 MQ3は冷間プレス→ホットプレス→熱間押出でラジアル異方性磁石を成形していく。
 

熱間加工磁石は

     焼結磁石に比べて微細結晶であるため高保磁力

     粗破砕であるため、製造工程での酸化が少ない

     焼結磁石より高配向で磁力が均一

 

というメリットがある。

ACサーボモータやEPS、VCMなどにラジアル異方性磁石が使われているという。


 入山氏らの実験によると
     MQ3は低温ほど結晶密度は高い
     粒界相が厚いほど高保磁力
     Nd含有が高いほど性能はあがる


 Dy0%のMQ3でもDy4%含有Nd磁石の領域をカバーできる(Dy4%削減できる)との実験結果が出ているが、まだ若干の課題が残されているという。

 それは
    1、結晶の微細さから期待されているほどの磁気特性が出ていない
    2、部分的に大きな粒子が残っている→磁力が落ちる

とのことで

 課題克服のためにTb(テルビウム)を若干添加して粒界拡散すると特性は伸び

また、ネオジムーカッパーを磁石表面にコートして熱をかけると特性はあがったという。


 MQ3は大同特殊鋼のオリジナルの磁石であり、先にも述べたように先々も資源リスクは拭えない中重希土類を削減しながら磁石性能をあげるというテーマについては間違いなく画期的な磁石である。

 ただ、NS会に来られていた方々も話されていたが、基本的にユーザーが安い磁石を求める傾向が強い(いつの時代もだが。。)なかでは、いかに理想的な磁石であってもコスト追求の壁を打破するのは難しいのが現状。


写真 この話につながるかどうかはわからないが、懇親会の際にNd磁石業界の象徴的な存在である佐川眞人氏のスピーチが非常に参考になる。

要約すると
 「磁石の研究は今なお盛んです。金属学会でも朝から晩まで磁石をテーマにして三日間セッションしている。こんなことは今までなかった。大変喜ばしい限りです。磁石に限らず新しい市場はニュークリエーション(創造)とグロース(成長)によって発展していきます。研究でも同じ。磁石研究でもニュークリエーションとグロースが必要なのですが、最近は若手のニュークリエーションが萌芽しづらい環境になっている。これは由々しき事態だと思っております」とのこと。つまりは、企業が業績ばかりを追い求めるあ写真まりに自由な研究がしづらく、ニュークリエーションは起こりづらいのだという。

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 


写真


(IRUNIVERSE YUJI TANAMACHI)

 

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