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泰和電気工業 配電盤製造とリサイクルのシナジーで新たな企業モデルをつくる

2018.12.25 14:35

写真 

 泰和電気工業株式会社(本社:東京都港区浜松町 高橋敦夫社長)は昭和31年創業の各種配電盤メーカーである。基本的にオーダーメイドで自治体、電力会社、建設会社、産業機器メーカーの工場などに販売している。高橋敦夫社長(82歳=2018年12月現在)によると「配電盤需要はきわめて旺盛ですでに来年夏までの受注が埋まっている」状態で、現在、さいたまの浦和にて配電盤の生産能力増強のため新規で工場を建設している。19年春には竣工の見通しだという。

 

 この、同社にとって伝統的な配電盤事業に加えて昨年より新設したリサイクル事業部が今注目されている。配電盤メーカーでリサイクル事業を自社で行っていることが珍しいのだが、なかでも同社ではレアメタル系のスクラップも取り扱っているところは異色である。このリサイクル事業部を引っ張っているのが敦夫社長のご子息であり、取締役の高橋秀晴氏(41歳)である。秀晴氏は10年間、大手レアメタルリサイクルディーラーで勤務していたこともあり、レアメタルスクラップの知識、販売ノウハウに長けている。

 

 秀晴取締役がほぼ一人でリサイクル事業部を立ち上げ、人を集め、今年の春先には群馬にリサイクルヤードを立ち上げた(群馬工場=群馬県写真邑楽郡千代田町下中森350)。敷地1,000坪、建屋内は300坪だが、すでに300トン近いスクラップが在庫されている。この8割以上がレアメタル系。

 

 

 

写真

(群馬のリサイクル工場外観)

 

 

 リサイクル事業部は現在秀晴氏を含めて6名。群馬工場は3名が常勤としているが、秀晴氏以外はスクラップについては全員が初めてという未経験の方々。彼らにスクラップを教え、リフトの乗り方、フレコンバッグへの詰め方、などなど細かいところまですべてを秀晴氏が手取り足取り教えたのだという。営業は中国人女性が1名いるが、まだ本格的な営業は全く行っていない、と秀晴氏。

 

 群馬工場では現在、ハンディタイプの分析機が2台、リフトが3台、入っているが、年末の現在に電気工事を行っており、プラズマ切断機も導入する予定なのだという。ここでオーバーサイズも受け入れるようにするためだ。リサイクル事業部は1年で4億円の売り上げをあげたが、どこまでも拡張するような気はないという。

 

 「リサイクルの利回りというものを第一に考えており、固定費は極力抑えて、ユーザーニーズにこたえながら、利益率の良い仕事を行っていきたい」(秀晴取締役)という考え。

 

 人員的には11名がMaxと考えており、現在の6名から5名は増員したいのだという。

 

 粗利を設定しており、今の泰和電気工業の規模でいくと、まずは人員的には11名、という答えが出たのだという。輸出入がスムーズに行えるように貿易面も強化中。

 

写真 さて、このアクティブな秀晴氏の活動を実父であり社長の敦夫社長はどう見ているのか?ちなみに敦夫社長は実は2代目。創業者は敦夫社長の父、ということで高橋ファミリーが受け継いでいる。秀晴氏は3代目、となろう。そのために秀晴氏もリサイクルだけ見ている訳にはいかず本業である配電盤製造、人事、銀行との折衝もと八面六臂の活躍である。

 

 敦夫社長は元は中堅の証券会社に勤めており、65歳から家業の泰和電気を継いだのだという。先代が技術屋であったことから経理含めたマネジメントが不備だったところから敦夫社長が態勢を立て直していったという。そこに若手の秀晴氏が新しい風を吹き込み泰和電気はまた3度目の生まれ変わりをしている。HPを作り、会社カタログも作りなおしている。泰和電気は現在、総勢80名、本社以外に2支店、2営業所、1出張所、 3工場あり、売上高は25億円。

 

 

―新生・泰和電気工業の目標は?

 「やはり上場ですかね。東証上場。私は証券マン時代に孫正義さんにも直接話を聞いているけれども、彼も上場して会社を大きくしていった。上場することで会社の信頼性はあがり、リクルートもしやすい。会社の発展には上場が一番良いのではと考えている」(敦夫社長)

 

 また

 「会社の発展が社員の幸福にもつながるので、今は社員にうちの株をもってもらっている」とのこと。

 

 さらに

 「自分の直感だと今の配電盤バブルは2年でいったん終息するだろう。そのときにリサイクル事業が会社を支える存在になれば良い」(敦夫社長)と秀晴氏のリサイクル事業にも全面的に協力している。

 

 また、敦夫社長は常に明るい青色のスーツを好んで着用されている。会社のパンフレット写真でも、この日(18年12月21日)でも青色スーツに青色マフラー。何かゲンを担いでいるのかと聞くと「やはり若さの象徴だからね」という敦夫社長は繰り返すが82歳である。

 

  さてそんな敦夫社長に対して3代目の秀晴取締役は泰和電気工業をどういう会社にしたいのか?

 

 「さきほど社長が言いましたが、配電盤とリサイクルが相互補完できるような1:1の業績にできれば良い。例えば配電盤で25億、リサイクルで25億のトータル50億円というイメージ。 上場は自分はちょっと・・(苦笑)」

 

 再びリサイクル事業の話に戻る。利回りの良いリサイクルを重視することには訳があり「売上げがあがり、利益があがってこそ投資もできる」という原理原則ゆえだが、例えば利回りのよい商材でいうと、低濃度PCBの扱いは代表的なもので、これは秀晴氏も泰和電気に入ってはじめて扱ったものだという。泰和電気が納品した先で処理に困っている会社は多く、その窓口として泰和電気は運搬会社、処理先までコーディネイトしており、さながら商社的な機能を発揮している。

 

 しかも商流が有利な為、他社よりもかなり安く泰和電気がトータルパッケージでまとめているので低濃度PCBの出し先は彼らを重宝しているという。秀晴氏いわく「例えばですが、ステンレスのスクラップを代納でやるよりも、低濃度PCBを動かしたほうが益率は高い」という。他、使用済み配電盤、キュービクル、被覆線、コンデンサ、トランスの引き取りも行っているという。

 

 こうしてみていると確かに泰和電気工業のような会社は少ないかもしれない。他社との差別化を明確にしており、企業理念にも掲げている同社が、配電盤とリサイクルという発想はこれまでにあっても彼らほど本腰入れてリサイクルに向かっている企業は少ないだろう。

 

 かつては餅屋は餅屋、だったが今は餅屋だけにとどまらず原材料の開発?から餅の販売まですべてを1社が手掛けるソリューションビジネスが大ヒットしている。いわゆる中抜きというものだ。

 

→(関連記事)世界のサプライチェーン構造が変わるなかで日本は? 旭化成名誉フェロー吉野彰氏に聞く

 

 泰和電気は配電盤とリサイクルのシナジー効果によって配電盤業界で新しいビジネスモデルをつくっている。リサイクル企業が配電盤メーカーとして事業化するには、許認可の問題というにとどまらず技術の蓄積云々で相当に困難。無理に近い。

 

 また配電盤メーカーがリサイクルまでソリューションすることもまた困難。ブルースーツの敦夫社長の狙っている上場は意外にも数年後には実現しているのかもしれない。

 

 

(IRUNIVERSE YUJITANAMACHI)

 

 

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