メタル・カテゴリー閉じる

新着情報  - News -

2020/07/15   再び上昇中の鉄鉱石...
2020/07/15   電子部品輸出Rep...
2020/07/15   Lynas社の豪W...
2020/07/15   いまなお続くアルミ...
2020/07/15   鉛蓄電池輸出Rep...
2020/07/15   輸出前検査で偽装事...
2020/07/15   アルミ合金&スクラ...
2020/07/15   とやまアルミコンソ...
2020/07/15   アルミUBC自治体...
2020/07/15   MARKET TA...
2020/07/15   中国 2020年上...
2020/07/15   ドクターE江守哲の...
2020/07/15   CK SAN-ET...
2020/07/15   欧州からの風#94...
2020/07/15   サンドビックの果て...
2020/07/15   オーストリアからの...
2020/07/15   14日の中国鋼材ス...
2020/07/15   Volvo Car...
2020/07/15   チリCODELCO...
2020/07/14   Fe Scrap ...

廃車からの基板回収について 経済合理性と継続性を考察

2013.10.25 22:22

 自動車解体業の全国組織である日本ELVリサイクル機構が数年前から企図していた廃車からの電子基板回収事業に本格的に乗り出すこととなった。これは環境省の「自動車リサイクル連携高度化事業」を受託して行う補助金事業(1000万円~2000万円)。
 この「自動車リサイクル連携高度化事業」とは以下のような内容である。
対象となるテーマは次の3つ。
 [1]自動車リユース部品(リビルト部品を含む。)の利用促進
 [2]自動車に使用されている有用金属・レアメタルのリサイクルの促進
 [3]自動車破砕残さ(ASR)の発生抑制又は材料リサイクルの促進

事業の実施者
 [1]申請者が、日本国において登記された法人であること。
 [2]申請者及び申請者と連携する法人の中に、自動車リサイクル法第2条第16項に規定する自動車製造業者等
   又は同条第17項に規定する関連事業者が含まれていること。なお、これらの者が多数参加する事業者団体
   であってもよい。
 [3]自動車リサイクルに関連する複数の業種(自動車製造業者等、解体業者、破砕業者、ASRリサイクル業者、
   精錬業者、整備業者等)の事業者又は事業者団体が連携していること。

 この案件で日本ELVリサイクル機構が今般受託に至った。
ELV機構に加盟している約700社のうち約300社がこの11月から自動車の基板回収を始めるという。
 エンジン制御用の電子基板が対象。まずは来年3月までに1万台から基板を回収する。
これをELV機構が中心となってコンソーシアムを作り、300社が集めた基板を鉱山会社(精錬メーカー)に一括して売却することで収益の確保する、というのが狙い。

なぜこのタイミングで?
 すでに、廃車を手分解後にシュレッダーにかけて基板を回収している大手業者によると「簡単にいうと、廃車が少なくなってきているから1台当たりの利益率をあげるためだと思うが、うちの場合は従前からやっていることなので目新しくはない。そもそも、商売として成り立っているのならすでに皆が着手しているはず。自動車の基板は特にインパネのなかに入っている基板などは解体して取り出すまでに時間がかかる。手間をかけても採算が合うのなら、例えば触媒のように価値が高ければ時間とコストをかけても丁寧な解体処理もできるが、現実合わない」という。ちなみに同業者のところにも機構から連携の話はあったようだが断ったという。
また、
 独自のアイデアで自動車のコンピュータ基板の収益性を確かめている自動車リサイクル業者も、いまささ組織的に動いてやることに若干の疑問を投げかけている。
 ちなみにエンジン制御用の基板は普通車で基板重量は200グラムほど。基板価値としてはキロ400~500円だという。

 廃車の発生台数は年々減少している。すでに300万台を割り込み、今後はさらに国内での新車販売台数は低下、中古車の輸出増が予想されるため、先々は200万台まで落ちるともいわれている。自動車解体業界にとっては死活問題。窮余の策として、レアメタル、レアアースのリサイクルに取り組み、補助金事業を展開しつつ、1台当たりの処理利益率をあげていく方向は残された手段ではあろう。
 ただ、採算性はハッキリいってそれほど高くない。前述したように既に大手業者の間では機械処理により基板は効率的に回収している。自動車の基板はコスト見合いで機械処理が最も合理的だからである。手分解しても採算がとれる基板単価ではない。今後排出が増えるといわれているHV、EVの電池、駆動用モータでもニッケル水素電池のニッケル、モータのネオジム磁石とあるが、最大手の商社系リサイクラーでも解体に手間とコストがかかるため磁石のリサイクルはまともには出来ていない。
 価格の問題もあろう。2011年のレアアースバブルの時であれば磁石の価値も高かったが、当時から1/5あるいは1/9程度までレアアース価格が下がった今では非常に堅牢なHVのモータからさらに磁石を取り出していたら、現状では全くの赤字。

経済合理性と継続性が肝要
 リサイクルは経済合理性と継続性が重要とみるが、特にレアメタルのリサイクルではとかく相場の急騰時にはこぞって新規参入するが、相場が下がればモチベーションはすっかり後退することが多い。事業そのものから撤退する業者も数知れず。
 また、理想的なリサイクルを掲げていても、永遠にリサイクル補助金が出るならば採算度外視でも続けられるだろうが、経済原則でみると1年は出来ても2年目、3年目では事業そのものを行っていない
というケースは珍しくない。

国家的な意義は?
 経産省、環境省はここ3年で血税を気前よくこうしたリサイクル補助金にばらまいているが、その後の結果報告を国民に必ず知らしめるべきと考える。機械を入れるから、システムを構築するから、といって税金を使い、しかしその後は全くのノーチェック。こうしたレアメタル、レアアース関係の無駄使いの頂点に立つのは南鳥島プロジェクトだが、3年前には1000億円もばらまいている。そうした補助金事業が今も補助金申請時と同様のリサイクルを行っているかどうか、機械が使われているか、検証すべきである。
 要するに、税金を使うのならばそれなりの国家的意義が欲しいところ。本当に国が困っているレアメタル、レアアースは何なのか?レアアースは現状世界中で余剰。価格もいまだ低迷中。そもそもレアメタル、レアアースはきわめてリサイクルの自由度が低い。ppm単位での不純物混入を嫌う。厳しいようだが、その高価な使われ方に比して、レアメタル、レアアースのリサイクル価値は低いのが現実だ。
 既に設備過剰である普通鋼電炉でも同様だが、これまでは雇用調整金で延命策を図ってきた。根本的な産業構造改革は無しで。自動車解体業界も設備過剰が顕著。廃車は年々減少しているが、プレーヤー(リサイクラー)はほとんど減っていない。ゆえに廃車の取り合いに発展している。仕入れが高い、しかし処理台数は少ない、ゆえにリサイクルをUP GLADEして1台当たりの利益率をあげていく、という考え方は理解できるが、前述してきたように既に機械的にリサイクル処理しているところはある。
 ELV機構は一括して集めた基板を販売する、ということだが、全国各地で拡散している基板を集めることにまずコストがかかる。さらに精錬メーカーまでの運賃。300社の基板をとりまとめるの困難かと想像されるが、最大は、補助金なしでも続けられる経済合理性をこの連携リサイクルシステムが保証できるかどうか?
(IRUNIV YUJI TANAMACHI)

関連記事