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世界の3Dプリンターメーカー・ビッグレップ(ドイツ)

2020.09.23 12:52

・ビッグレップについて

 ビッグレップ(BigRep GmbH)は、ドイツ・ベルリンに拠点を置く3Dプリンターメーカーである。同社は2014年にマーセル・タスラー、ルネ・グルカ、ルーカス・オーミゲンの三人の起業家が共同で設立、当初より大型FDM3Dプリンター(積層造形方式による3Dプリンター)を製造販売している。設立時よりルネ・グルカがCEOとして同社を率いてきたが、残念なことに同氏は昨年病気により49歳の若さで急逝した。現在はステファン・バイエルがCEOを務めている。

 

 ビッグレップの3Dプリンターの特徴を一言で言うと、とにかく造形サイズが大きいに尽きる。一般的なデスクトップ型のFDM3Dプリンターの造形サイズは200立方センチメートルから300立方センチメートル程度だが、ビッグレップの3Dプリンター「ビッグレップ・ワン」の造形サイズは1立方メートル(1 X 1 X 1メートル)もある。ビッグレップ・ワンは、とにかく大きいものを作りたいというユーザーニーズに対応し、世界中でユーザーを増やし続けている。

 

 

・大型3Dプリンターを求めるニーズ

 ところで、いったいどのようなユーザーがビッグレップの3Dプリンターを使っているのだろうか。ビッグレップによると、同社のユーザーはあらゆる産業セクターに及び、様々な目的や用途に応じて同社の3Dプリンターを使っているという。

 

 実は3Dプリンターで大きなものを作りたいというニーズは、業界を越えて世界的に広くあまねく存在する。例えば、自動車メーカーであれば長さ1メートル程度の部品などは数えきれないくらいあるだろう。そうした部品の試作品などを3Dプリンターで製造したいというニーズは、自動車業界においては古くから存在している。また、家具メーカーなどにも大型家具の試作品の製造などに大型3Dプリンターを使いたいというニーズが存在する。各種の医療機器メーカー、特に大型の医療機器を製造している医療機器メーカーなども同様だ。

 

 筆者はかつて3Dプリンターを使った医療用コルセットの製造プロジェクトに接する機会があったが、その際に医療用コルセットを丸ごと3Dプリンターで製造したいという現場のニーズに遭遇した。患者ごとにカスタマイズしたコルセットを、シングルパーツとして3Dプリンターで製造したいというニーズは極めて切実なものであった。また、イベントなどを手掛ける業者であれば、展示品の部品製造や展示物のレプリカやなどを大型3Dプリンターで作れれば便利であろう。実際に、ビッグレップの3Dプリンターは、展示物の製造業者によってそうした用途で利用されている。

 

 

・大型化するFDM3Dプリンター

 ところで、造形サイズが大きいFDM3Dプリンターを開発する機運は世界的に高まっている。イスラエルの3DプリンターメーカーのMassivit 3Dも、造形サイズ1170 X 1500 X 1800センチメートルの大型3Dプリンター「Massivit 1800」シリーズを開発している。同社の3Dプリンターは、特に広告業界やエンターテインメント業界においてPOPディスプレイなどの広告作品の製造などに使われている。

 

 日本の3Dプリンターメーカーのニンジャボットも、造形サイズ700立センチメートルの大型FDM3Dプリンター「ニンジャボット777」を開発している。ニンジャボットの佐藤俊也社長によると、大型3Dプリンターが欲しいという声は最近特に増えていて、中にはテレビ番組で使われる小物を作りたいという声もあるという。小物製造を担当している会社の社長によると、ニュース番組などで使われる「小物」は通常、各種の素材を切り貼りしたり削って作られるが、製造に膨大なコストと時間がかかるという。さらには現場サイドからの要求が細かく、仕様変更なども頻繁に発生するという。挙句の果てには仕様変更などをしまくった後、依頼そのものをキャンセルしてしまうことすらあるという。そうした厳しい状況の中、小物を3Dプリンターで製造できれば製造コストと時間を大幅に削減でき、失注リスクに対応できるという。

 

 

・ベンチャーキャピタルも出資、経営も安定

 ビッグレップは現在、ドイツ・ベルリンの本社に加え、米マサチューセッツ州とシンガポールにそれぞれアメリカ本社とアジア太平洋本社を置き、営業を展開している。同社にはこれまでにドイツの大手化学メーカーBASF傘下のベンチャーキャピタルBASFベンチャーキャピタルや、Eyベンチャーズ、クロークナー・ベンチャーズなどの有力ベンチャーキャピタルが出資している。また、同社にはEUの投資ファンド「ユーロペイシュ・ユニオン」も出資している。さらに同社は最近、特にBASFグループとのつながりを強め、同グループから3Dプリンター用素材を調達するなどしている。

 

 ビッグレップのビッグレップ・ワンは、これまでにドイツ政府デザイン会議のデザインアワード金賞を受賞するなど高い評価を受けている。ユーザーからの評価も軒並み高く、同社は今後も大型3Dプリンターメーカーとしてのポジションをさらに強固なものにしてゆくだろう。なお、ビッグレップの3Dプリンターは、日本国内では株式会社3D Printing Corporationが販売している。

 

 

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前田健二 (Kenji Maeda)

 経営コンサルタント・ビジネスライター。大学卒業と同時に渡米し、ロサンゼルスでビジネスを立ち上げる。帰国後は複数のベンチャー企業のスタートアップ、経営に携わる。アメリカのニュービジネス事情に詳しく、3Dプリンター、ロボット、ドローン、ITにおけるニュービジネスを研究、現地のネットワークから情報収集している。

 趣味は料理。好きなお酒はビールとウィスキー。

*3Dプリンターに関するアドバイスのご用命は→info@iruniverse.co.jp(窓口:川合)

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