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東海カーボン:Vision2030の進捗。三菱ケミカルのコークス撤退について会社側のコメント

2026/02/14 16:43
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東海カーボン:Vision2030の進捗。三菱ケミカルのコークス撤退について会社側のコメント

 2月13日に開催した東海カーボンの25/12期の決算説明会の後半部分「Vision2030の進捗」について。説明資料はこちら。説明は長坂社長が行った。なお、先日宿題にしていた原料であるニードルコークスについて審問してみたので会社側の回答を後半につけている。

 

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 ⇒「東海カーボン:25/12期決算説明会開催。

 ⇒「東海カーボン:三菱ケミカルのコークス及び炭素材の事業撤退の影響について

 

<Vision2030>

〇足元の状況(資料4ページ)

 今年の見通しと、それからビジョン2030の数字ということがここにかいているが、まず、売上で見ると、まだまだ2030の5,000億円台というのは少し程遠いなというのが正直言って実感。

 約1.4倍の売上比率にしていかないと届かないということだが、いろんなところで今後も触れていくと思うが、この2026年を作った時の数字というか環境と、それから今足元の環境をちょっと見てみると、だいぶ変わりつつと。

 それを数字に落とし込むまでには今回の作業では至らなかったが、もう少し26年、期待ができるのかなと、思っている。それに沿ってこの4年間を見てみると、2030年の声を聞く頃には非常にいいレベルに行くと、捉えている。

 よって、5,000億円というのは私としては実現可能だと今見ている。

 ただ、これを発表した時には、足りない部分をM&A関係で補おうかと、も正直に説明したが、今どうしてもM&Aをして5,000億が必達だという考え方はあんまり強くない。

 なぜならば、有利子負債の件、金利も高くなっているし、それから、今いくつかのM&Aのディールが入ってきておいるが、正直言って非常に高い価格になっている。

 それを追いかけるつもりは無いので、もう少し時間を見ながらM&Aを加味して考えてみたい。売上についてはそんなふうに考えている。

 問題はEBITDA倍率についてはほぼ良いとこに来ておりますが、やっぱりROIC。昨年の実績が6%、今年はそれをさらに下回るということで、12%にはかなり程遠い水準になっているが、これはある意味では23年から5年にかけていろんな投資を進めてきた。そういう意味では、今年の5%というのはほぼ想定内かなと、考えている。

 しかしながら、投資の集中フェーズは一巡したものの、今後いかにキャッシュを生み出すのか、回収していくのかと、ここが問われる局面だと認識をしている。

 

〇株価とPBR(同5ページ)

 PBR 1倍は残念ながらまだ切っているが、比較的近い線に来つつあるのかなと捉えている。

 このPBR1倍率の早期回復については2つあると思う。現在仕掛かり中の構造改革を早急に仕上げること、これは当然のことながら必達だが、もう1つは、分子である利益、これをどういうふうに積み上げるのか。

 EPS(1株当たりの利益)を安定的に向上させることで期待に応えていけるだろう、行かざるを得ないだろう、と考えている。

 

〇事業ポートフォリオ管理・戦略(同6-7ページ)

 資料の右の方に成長事業ということでファインカーボンと工業炉というのを置いてあるが、今6つあるポートフォリオの中で最も成長するだろうと思っているのは、事業体そのものは1番大きくはないが、やっぱりファインカーボン事業だろうと。ファインカーボンと非常に連結をしている工業炉というのもその1つに数えていいだろう。売上は現在の足元と30年の見込みでは、ほぼ両方とも倍になるだろうと想定をしている。

 一方、左の既存領域、1つは、今後さらに構造改革が必要ではあるが、電極の構造改革については完全に完了したということだが、S&L(スメルテイング&ライニング)についてはまだ今道半ば。

 S&Lについては、できればこの機会にもう少し詳細について触れられることがいいだろうというふうに以前説明したが今順調に、始めており、もう少しお時間を頂戴して、具体的な中身については別の機会に発表なり公表なりをしたいと、思っている。

 それから、カーボンブラック、ここの位置に置くのがいいのかどうかは色々あるが、現時点では非常に生産販売比率の高いアメリカが中心だが、そのアメリカというのが非常に苦戦をしてきている。これは、私どもの会社だけではなくて同業他社を見ても同じような傾向があるのかなと思っているが、これも今の雰囲気、環境、こういったものを肌で感じるのは、おそらく続くのは長くても今年の前半で終わってくれるだろうと、後半からはアップトレンドに入っていくと、こういうふうに期待をしている。

 よって、もう少し数字的には改善ができると考えている。

 

※電極は30年以上見ているが、今までに数回生産能力過剰で、市況が低迷しその都度数社が市場から撤退もしくは各社生産能力削減を繰り返してきた。今回で3回目である。過去2回は先進国内だけで起こった現象ではあるが、今回の中国やインドの新興国メーカー市場に参入しており、これまでの環境とは異なるため、今回の構造改革で本当に完了したと言い切れるのか、疑問が残る。

 S&Lであるが、メイン市場はアルミの製錬用の電極であるが、国内では既にアルミ精錬メーカーが存在しない。製錬時に大量に電力を消費することが理由だが、その電力について昨今の環境問題を考えれば、今後もアルミ製錬が成り立つのか気がかりとなる。幸いにアルミは先進国では再生利用がメインとなっているのだから、そもそも同社がS&Lを買収したことすら、疑問視している。実際、同社がS&Lを買収以降、利益で業績を牽引したこととは無いのだから。

 

〇成長事業

●ファインカーボン(同8ページ)

 売上は、2030年には、現在500数十億円ある売上をほぼ倍の1,000億にしていこうかなと思っている。

 そのために、まず1つは、アメリカですでに発表したが、1月よりMWI、それからKBR、それからTCU、3社を統合して、社名を東海カーボングラファイトソリューションという会社して、新たにスタートを切った。

 これの狙いというのは、素材から加工またはコーティングまで一気通貫で提供できる体制を整えたということ。

 米国内でのプレゼンスを圧倒的なものにしていこうとの考え方。もう1つ、国内でも、熊本県にある田ノ浦工場と、それから加工統合している茅ケ崎での増産投資(既に完了済)。

 これで先行投資が、今年のすでに始まっていると言ってもいいと思うが、さらに2027年以降は大きなリターンとして決実すると確信している。

●工業炉及び関連製品(同9ページ)

 光業炉も売上が今150億円弱だと思うが、これを倍の300億円に2030年にはしていこうということで、AI・データセンター関連で変電設備の更新需要または抵抗機の活発化、こういったもので可能だろうとみている。それからMLCC、つまり積層セラミックコンデンサーだが、これの中期的な成長トレンドは間違いないと今見ておるので、この数字は可能と期待をしている。

 

※同社の工業炉はかつて上場していた同社子会社である東海高熱工業の主力製品、当時はSiC発熱体であるエレマが収益柱。かつてはテレビ画面の平準化(フラットパネルディスプレイ全盛期)する際に需要が盛り上がっていた。その後も現在にも繋がるMLCC向けに需要が盛り上がった経緯がある。同製品は競合が少なく、世界的にも高いシェアを有しており、消耗品であるため、工業炉は設備投資に関連するが、中に使われるエレマは消耗品であるので、使われれば取り換え需要が発生するので、売れれば儲かる商品であった。実際、他社が製造販売する工業炉の中にも同社のエレマが使われるほど高温焼成(高温焼成すると格子欠陥ができにくいため、精密部品を作る際に適している)で評価されていた。現在、自社が設計した工業炉がシェアを伸ばしており、事業の名前にあるように工業炉でも稼げるようになったが、依然エレマの利益率に勝てていないと筆者は思っている。一方、ファインカーボンで伸びているソリッドSiCであるが、筆者が気にしているのはハイテク商品、部材は仕様が変わると需要が無くなる点だ。LiBの正極材がそうであるように、いつ変更されるのか分からないため安心ができないとの思いが常にある。

 

〇Vison203達成に向けて(同10ページ)

 2026年、今年までは種まきから発芽という風な段階を踏んできている。それで、今後成長へとフェーズが変わっていく重要な年になると改めて認識をしている。

 今後については、さらに景気回復に伴って数値が変わっていく可能性が高いと見ており、この辺の動きについては随時は公表をして、期待に応えていきたいと、思っている。

 

 なお、キャピタルアロケーション、資料の12ページ以降は説明を割愛するので後ほど参照。

 

<Q&A>

 宿題にしていた三菱ケミカルのコークス撤退について質問してみた。今後需要拡大が見込める電炉用の電極需要ではあるが、環境問題などを背景に原料であるニードルコークスの供給が減ってくる懸念がないのか?その辺りを質問してみた。以下が会社側の回答。

 

回答:三菱ケミカルがそう発表しているので当然のことながら、原料が出てこなくなる。設備そのものを廃棄するので原料ソースは別のところに変えざるを得ない。(高炉の電炉化シフトもあっても)まだmだ、先のことなので、まだまだシビアにならないだろういと持っている。2030年を越したころからコースのタイト感が強くなるだろうと、それと同時に鉄スクラップが足りなくなってくるだろうと。これが一番インパクトして大きい。一番困るのは特殊鋼メーカーで、高級屑を使っているため、代替となるDRI(還元鉄)が入ってくるので、電極需要がますます高まってくるだろうと思っている。

 

 回答の内容がズレてしまったので、もう少し勉強、石炭系ニードルコークスを製造する高炉メーカーにもヒアリングし、新電炉、水素還元でコークス使用量をどれだけ削減できるようになるのか(現在は開発中のため非公開)、つまりニードルコークスの生産量がどれだけ減少になるのか、石油系についても同様に調べて再度質問したいと思う。

 

 

(IRuniverse 井上 康)

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