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東港金属創立120周年〜サイクラーズ福田隆社長スペシャルインタビュー(最終回)

 さて最終回となる今回は、120周年を迎えた東港金属とサイクラーズのこれから、および京浜島の同社工場の見聞記を記してみたい。同社が京浜島に事業所を設けたのは1979年4月、東京都環境政策での工場移転計画により、同地鋳物団地に新工場を設立したことがその始まりだ。

 

 

サイクラーズは、二次マーケットの面白さを追求する企業へ

 さて、京浜島の話の前に、福田隆社長が考えるサイクラーズグループのこれからを記していこう。

 

図 サイクラーズグループは、今年4月1日、各社のコーポレートロゴの刷新をはかった。ビジョンである“サーキュラーエコノミーを追求する”ことへの挑戦を、今一度掲げると共に、グループ各社が成長し社会へ新たな価値を提供していくことを表明するためのものだ。

 

 「静脈産業は、商品の二次マーケットをクリエイトするという意味で、まだまだ可能性に満ちていて面白いはず。例えば以前、使い物にならなくなったルイヴィトンの鞄を“脚”に使ったテーブル(天板はガラス)を見たことがあるのですが、これがなんともかっこいい。そういった、センスやクリエイティビティーを発揮して、新しい価値を作っていくそれがセカンドの面白さだと思っています」(福田社長)

 

 例えばスクラップを切断する機械に「ギロチン」があるが、富山県豊富産業グループの日本総合リサイクルはバスが一台まるまる入るギロチン剪断機を作ったという。これも、とてもユニークな試みだ。リサイクルには、そういった可能性がまだまだある。

 

 また、資源循環にはより高度な技術、知見が求められるようになる。動静脈の境目が徐々になくなっていくなか、動脈と同じように一層の品質や効率性を求められるようになり、またさまざまなオペレーションもより複雑になる。そのためには高度人材を確保し、教育していくことが必要となる。

 

 120年を機にブランディングを進めて、サイクラーズという会社は再循環の面白さはなにかを考え、アイデアを出しあい、新らしい発想でサーキュラーエコノミーを追求する集団にしていきたいと思う。

 

 

京浜島工場は、首都圏産廃の中間処理、物流拠点として機能

写真 同社京浜島工場(大田区)は、都心や京浜工業地帯からも近く、夜間および土日祝の搬入にも対応する。取材に対応頂いたのは工場長代理の宮越和光氏だ。電線リサイクルプラント、産廃中間処理プラント、プラスチックベーラー、解体専用ヤードなど、大型リサイクル設備を保有、またOA解体専門ヤードも開設している。

 

 また、フロン類使用製品の適正処理も行い、さらにベドマット剥離機を導入、難しいとされる同品のリサイクル処理も行う。京浜島工場には、第5ヤードまでが設置されているが、これは近接地に空きが出る都度に購入し、増やしていったものだという。

 

写真 搬入後は、早速破砕機にかけられるが、その後破砕物は建屋間搬送コンベアに載せられ、選別機(バリオセパレーター)に送られるところがやや特徴だろうか。ここで軽量物、重量物とに分けられ、鉄、銅線、アルミ、再生PET原料、燃料・セメント原料廃プラなどがそれぞれ、プレスおよびベール(圧縮・梱包)される。この工程に関しては同社HP(https://www.tokometal.co.jp/recycle/flow/head.html)に詳しく書かれている。

 

写真 また、同工場に搬入された単体およびミックスメタルや手解体などにより分解された一部部材などは、同社の千葉工場(千葉県富津市)に移送される。千葉工場内には、最新鋭の破砕機、選別機が導入されており、京浜島工場がどちらかというと物流拠点的な色彩があるとすれば、こちらは再資源化工場といった様相を呈している。

 

 なお、富津工場は公共埠頭が数百メートルの位置にあり、ここから船積みができるようになっている。

 

 宮越氏に聞くと、やはり一番様変わりした点といえば、中国が雑品やプラの輸入を禁止したことで、またここ数年ではコロナショックが原因と思われる事務所、店舗などの閉鎖による机、イス、什器などが多く搬入されていたという。鉄に関しては、現状有価としているが、それ以外の物品に関しては処理費をとっているという。

 

 京浜島での1日当たりの入荷量は、平常時で約250〜300t程度。年末、年度末の繁忙期になるとマックスで500tにもなるという。以前、中国へプラスチックが輸出できていた頃は、ミックスプラなども受け入れていたが、現在では単一素材のみのプラスチックを受け入れている。

 

 また最近では、燃料利用できるプラスチックの原料化にも力を入れているという。プラはカーボンフセットの材料になるため、これからは集荷を一層増やすという。

 

 やはり、いま一番の事案事項といえば、火災で、その原因はリチウムイオンバッテリーが主だという。これに関しては顧客に対して説明を徹底している。またマネージャーの立場としては、労災は一番防ぎたい事案だという。

 

 「まだまだ、目の行き届かない、資源化できていないものもあると思います。今後は、一層精緻に見ながら、少しでも多く再資源化していきたいと思います。しっかり分別出来れば会社の利益にもなるし、資源としても有効に使えるわけですから」(宮越氏)

 

 さて、3回に渡りサイクラーズの理念や魅力について書いてきた‥120年という長い歴史が培ったスピリッツが、現在ではまさに「サイクラーズ」という、社名に結実しているわけだが‥これからも必ず新基軸を打ち出し、私たちをワクワクさせてくれるはずの同社に、これからも期待大、です!

 

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東港金属創立120周年〜サイクラーズ福田隆社長スペシャルインタビュー(前)
東港金属創立120周年〜サイクラーズ福田隆社長スペシャルインタビュー(中)

 

 

(IRuniverse kaneshige)

 

 

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