5月の銅の概況及び6月の見通し 橋本アルミ(株) 橋本健一郎
予想レンジ
LMEセツル 9500-11000ドル →
建値 124万-153万円 ↑
為替 126~135円 (1か月間TTM) 円安
■国際概況
前半は金・原油高や、感染者数減少傾向からの中国ロックダウン緩和期待などのプラス材料もあったが英中銀のマイナス成長見通しや中国景気先行き不透明を嫌気しDOWN
5月14日時点で9064ドル(セツル)と月初価格より410ドルDOWNの締め。
後半は世界的な景気後退懸念やFOMC議事録公開控える中、米利上げ観測強まったことなどのマイナス材料もあったがLME在庫の減少に加え、米連邦準備制度理事会(FRB)の大幅利上げ観測が織り込まれるなか欧米株式市場が堅調に推移したこと、ドル安などを好感しUP
5月末日 現在、後半スタート価格から250ドルUPの9520ドル。
6月スタート建値は127万円。
■前月の経済指標
◆月間のドル/円レート (TTS)
129.86 → 129.21(円)
出典 MIRU
【国内指標】
◆自動車生産台数
生産動態統計によると4月の自動車生産台数は前年比-19.3%の54万8251台
輸出は前年同月比12.9%減の29万940台
◆自動車販売台数
日本自動車販売協会連合会によると5月の自動車販売台数(軽除く)は前年比-16.7%の16万1354台
自動車生産台数
出典 生産動態統計
自動車販売台数推移
出典 日本自動車販売協会連合会
【住宅着工戸数】
4月の新設住宅着工は,持家は減少したが,貸家及び分譲住宅が増加したため,全体で前年同月比2.2%の増加となった。また,季節調整済年率換算値では前月比4.7%の減少となった。
新設住宅着工戸数は 76,179 戸。
前年同月比 2.2%増, 14か月連続の増加。
出典 国土交通省統計
◆貿易関連指標
輸出
財務省貿易統計によると輸出は電気銅が+3%の3万9989t、スクラップが-39%の2万7970t。
輸出推移
輸入
電気銅が前年比-88.5%の423t、スクラップ +30.2%の1万2728t
輸入推移
出典 財務省 貿易統計
■前月の国内指標
【伸銅品生産】
4月伸銅品生産量は 6万6190トン、前年同月比2%減少し、4か月連続のマイナスとなった。1年前の実績を上回ったのは、14品目中6品目だった
出典 日本伸銅協会
日本電線工業会発の出荷速報(推定)
前年比-3.1%の5万2100t
うち 国内-2.4% 輸出が -33.7%
出典 日本電線工業会
■国内概況まとめ
【自動車】
【自動車生産】
生産動態統計によると4月の自動車生産台数は前年比-19.3%の54万8251台
輸出は前年同月比12.9%減の29万940台
【自動車販売】
日本自動車販売協会連合会によると5月の自動車販売台数(軽除く)は前年比-16.7%の16万1354台
内 乗用車 -17.8%
貨物 -10%
バス -33.9%
【住宅着工戸数】
4月の新設住宅着工は,持家は減少したが,貸家及び分譲住宅が増加したため,全体で前年同月比2.2%の増加となった。また,季節調整済年率換算値では前月比4.7%の減少となった。
○新設住宅着工戸数は 76,179 戸。
・前年同月比 2.2%増, 14か月連続の増加。
○新設住宅着工床面積は 6,125千㎡。
・前年同月比 1.0%増, 13か月連続の増加。
○季節調整済年率換算値では 883千戸。
・前月比 4.7%減, 3か月ぶりの減少。
【伸銅品生産】
4月伸銅品生産量は 6万6190トン、前年同月比2%減少し、4か月連続のマイナスとなった。1年前の実績を上回ったのは、14品目中6品目だった。
2022年4月
4カ月連続の対前年比マイナスだが、例年4月の統計はGW(ゴールデンウィーク)前なのでぶれる傾向にある。数量的に2%は半日に満たない量なので誤差と捉えてよい。昨年は1昨年と比較し2桁増加だったため、2%減でも十分好景気が続いているとみている
銅条
対前年同月比96.9%の2万3345トンだった。3か月ぶりのマイナスだったが、昨年のトン数が歴代一位だったこともあり、同値は実質上2位となり高値となった。高値水準の自動車端子・コネクタは部品在庫が充足してきている。
黄銅棒
対前年同月比101%の1914トンだった。13カ月連続でプラスとなった。配電機器類や半導体設備が好調を後押しした。
【電線】
前年比-3.1%の5万2100t
うち 国内-2.4% 輸出が -33.7%
【輸出】
電気銅 +3%の3万9989t
スクラップ -39%の2万7970t
【輸入】
電気銅 -88.5%の423t
スクラップ +30.2%の1万2728t
【見通し】
【自動車】
4月の自動車生産が-19.3%。5月国内販売台数が前年比-16.7%
5カ月連続生産、販売共に大幅減少! 上海のロックダウンによる半導体以外の中国からの部品供給の遅れとのこと 6月から解除されるため挽回生産に期待!
【伸銅品生産】
4カ月連続の対前年比マイナスだが、例年4月の統計はGW(ゴールデンウィーク)前なのでぶれる傾向。数量的に2%は誤差と捉えてよい。また昨年は1昨年と比較し2桁増加だったため、2%減でも十分好景気が続いているとみている
【電線】
前年比-3.1%の5万2100t
うち 国内-2.4% 輸出が -33.7%
国内外共に減少。
今後さらに減少するか注視
・銅輸出は 内需堅調に伴い減少
・銅輸入は 電気銅は円安による割高感から減少 スクラップにシフト。
【スクラップ景況予想】
流通【一次問屋】在庫は今月銅建値が128万から一時123万と急落(現在は126万)であったことや
前月に続きコロナによる生産減からのスクラップ発生減により出物が無く在庫薄。
需要面に関して上海ロックダウンによる中国の部品調達の遅れからの自動車生産、販売の大幅減少傾向があるが伸銅品に関しては挽回生産に向けた在庫積み上げからか需要は旺盛。
また上海のロックダウンが6月から解除されたことから更なる需給の回復が期待できることからメーカーが高値買いの傾向が今月も続く
【LME・為替予想】
今月は以下の項目に左右される
① 米国の金融政策
② 中国の動向【ロックダウン解除後の】
① に関しては
5月3─4日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で、「大半の参加者」が6月と7月の会合でそれぞれ0.50%ポイントの追加利上げを行うことが「適切となる可能性が高い」との見解を示したこと、現在のインフレ率がFRB目標の2%の3倍超で推移していること 5月の雇用統計が予想上回る39万人増だったことから6月の利上げは予定通り行われるとの予想から上昇が抑制されるのではないか
② に関しては
6月1日にロックダウンが解除され 多大な影響を受けていた中国経済 欧米日の自動車メーカーが挽回生産に向けて動き出すとの予想から需給は引き締るのではないか
これらを踏まえた6月の銅価格は 9500-11000ドル(セツル)との予想。
ドル円値は126円~135円(TTM)台を予測。
銅建値に関しては124万-153万円程度と予測している
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