6月の銅の概況及び7月の見通し 橋本アルミ(株) 橋本健一郎
予想レンジ
LMEセツル 7000-9000ドル ↓
建値 97万-129万円 ↓
為替 133~139円 (1か月間TTM) 円安
■国際概況
前半は上海のロックダウン解除で中国需要回復期待で。中国政府は経済回復のための33件の施策を発表などのプラス材料もあったが米消費者物価指数(CPI)が事前予想を上回る高い伸びとなり、米長期金利が上昇、ドル高・株安となったことで下げ幅を拡大などを嫌気しDOWN
6月15日時点で9263ドル(セツル)と月初価格より257.5ドルDOWNの締め。
後半は0.75%もの大幅利上げを米連邦準備制度理事会(FRB)を実施したが、これで材料織り込みとなりドル高に一巡感が強まったなどのプラス材料もあったが米国に続いて英国でも利上げが決定となり、利上げの幅が米国を上回る1.25%となったこと上院での議会証言においてパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が大幅利上げが経済に与える影響を認める発言を行ったこと等を嫌気しDOWN
6月末日 現在、後半スタート価格から744ドルDOWNの8464ドル。
7月スタート建値は117万円。
■前月の経済指標
◆月間のドル/円レート (TTS)
129.93 → 137.68(円)
出典 MIRU
【国内指標】
◆自動車生産台数
生産動態統計によると5月の自動車生産台数は前年比-16%の39万6433台
輸出は前年同月比-24.5%の18万7391台
◆自動車販売台数
日本自動車販売協会連合会によると6月の自動車販売台数(軽除く)は前年比-15.8%の19万7530台
自動車生産台数
出典 生産動態統計
自動車販売台数推移
出典 日本自動車販売協会連合会
【住宅着工戸数】
5月の新設住宅着工は,貸家は増加したが,持家及び分譲住宅が減少したため,全体で前年同月比4.3%の減少となった。また,季節調整済年率換算値では前月比6.5%の減少となった。
新設住宅着工戸数は 67,193 戸。
・前年同月比 4.3%減, 15か月ぶりの減少。
出典 国土交通省統計
◆貿易関連指標
輸出
財務省貿易統計によると輸出は電気銅が+17%の5万451t、スクラップが-29.8%の2万5396t。
輸出推移
輸入
電気銅が前年比+739%の709t、スクラップ+30.2%の1万4486t。
輸入推移
出典 財務省 貿易統計
■前月の国内指標
【伸銅品生産】
5月伸銅品生産量は5万9,717トン。前年同月比4.4%減少し、5か月連続のマイナスとなった。1年前の実績を上回ったのは、14品目中5品目のみだった。
出典 日本伸銅協会
【日本電線工業会発の出荷速報(推定)】
前年比-6.4%の5万4万3500t
うち 国内-6.5% 輸出が-4.8%
出典 日本電線工業会
■国内概況まとめ
【自動車】
【自動車生産】
生産動態統計によると5月の自動車生産台数は前年比-16%の39万6433台
輸出は前年同月比-24.5%の18万7391台
【自動車販売】
日本自動車販売協会連合会によると6月の自動車販売台数(軽除く)は前年比-15.8%の19万7530台
内 乗用車 -14.3%
貨物 -23.5%
バス -50%
【住宅着工戸数】
5月の新設住宅着工は,貸家は増加したが,持家及び分譲住宅が減少したため,全体で前年同月比4.3%の減少となった。また,季節調整済年率換算値では前月比6.5%の減少となった。
○新設住宅着工戸数は 67,193 戸。
・前年同月比 4.3%減, 15か月ぶりの減少。
○新設住宅着工床面積は 5,564千㎡。
・前年同月比 4.9%減, 14か月ぶりの減少。
○季節調整済年率換算値では 828千戸。
・前月比 6.5%減, 2か月連続の減少。
【伸銅品生産】
5月伸銅品生産量は5万9,717トン。前年同月比4.4%減少し、5か月連続のマイナスとなった。1年前の実績を上回ったのは、14品目中5品目のみだった。
昨年より生産が減っている理由として一つは、上海ロックダウンによる影響が一部見えている。また、一部の品目には、リモートワーク、スクールおよび巣ごもり需要の陰りの影響を受けている。一方、自動車関連の需要については引き続き需要があるとしている。長期に渡る自動車生産計画に対する減産の報道がメディアを賑わせているが、それに関連した需要減の様子が見えず、深刻な事態になっていないと言う。減少の大きな要因は、昨年が好調過ぎたことから、その反動でマイナスに見えている。コロナ前の2019年と比べても増加している。
銅条
同比2ヶ月連続マイナス。2か月連続は、コロナの影響を受けた2020年以来である。それでも5月で比較すると、第4位の生産量だった。サーバー向けを中心に半導体の需要が良い。また自動車向けのICやコネクタも好調である。ただ、ディスクリートに陰りが見えてきた。上海のロックダウンの影響は、一時的に需要の落ち込みがあったが短期間だった。
黄銅棒
同比5ヶ月連続マイナス。リフォームを中心に住宅関連が緩やかに回復続く。上海ロックダウンのため、同地の部品生産が遅れて影響している。
【電線】
前年比-6.4%の5万4万3500t
うち 国内-6.5% 輸出が -4.8%
【輸出】
電気銅 +17%の5万451t
スクラップ -29.8%の2万5396t
【輸入】
電気銅 +739%の709t
スクラップ +30.2%の1万4486t
【見通し】
【自動車】
5月の自動車生産が-16%。6月国内販売台数が前年比-16%
6カ月連続生産、販売共に大幅減少! 前月に続き上海のロックダウンによる半導体以外も中国からの部品供給の遅れとのこと 先日一部解除されたため挽回生産に期待!
【伸銅品生産】
5か月連続のマイナス
昨年より生産が減っている理由として一つは、上海ロックダウンによる影響が一部見えている。また、一部の品目には、リモートワーク、スクールおよび巣ごもり需要の陰りの影響を受けている。一方、自動車関連の需要については引き続き需要があるとしている。長期に渡る自動車生産計画に対する減産の報道がメディアを賑わせているが、それに関連した需要減の様子が見えず、深刻な事態になっていないと言う。減少の大きな要因は、昨年が好調過ぎたことから、その反動でマイナスに見えている。コロナ前の2019年と比べても増加している。
【電線】
前年比-6.4%の5万4万3500t
うち 国内-6.5% 輸出が -4.8%
国内外共に減少。
今後さらに減少するか注視
・銅輸出は 内需堅調に伴い減少
・銅輸入は 内需堅調からLM銅価格が暴落した事による割安感から増加。
【スクラップ景況予想】
流通【一次問屋】在庫は今月銅建値が136万から117万と急落(現在は114万)したこと前月に続きコロナによる生産減からのスクラップ発生減により出物が無く在庫薄。
需要面に関して上海ロックダウンによる中国の部品調達の遅れからの自動車生産、販売の大幅減少傾向があるが伸銅品に関しては一部品目でリモートワーク需要減による需要減はあるもの全体としては旺盛。
また上海のロックダウンが6月から解除されたが一部で再びロックダウンされたことからメーカーが高値買いの傾向が緩むのではないか
【LME・為替予想】
今月は以下の項目に左右される
①米欧の金融政策
②中国の動向【ロックダウン再開中】
①に関しては
米国に続いて英国でも利上げが決定となり、利上げの幅が米国を上回る1.25%だったことやFRB議長やECB総裁のタカ派発言からまだまだ利上げスタンスは続く。
②に関しては
6月1日上海のロックダウンが解除されたものの一部で再開するなど先行き不透明。また季節はずれのインフルが流行するなどロックダウンは続きそう。
これらを踏まえた6月の銅価格は 7000-9000ドル(セツル)との予想。
ドル円値は133円~139円(TTM)台を予測。
銅建値に関しては97万-129万円程度と予測している。
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