マツダ2030中計“無事故EV”エンビジョンAESCと地産地消
11月22日マツダは、2030年EV化をこれまでの25%から40%を目指す具体的な中期計画を丸本明社長兼CEOが公表した。マツダはこれまで2026年までの事業計画まで発表していたが、EV化に向けて世界中の自動車メーカが競争状態になる中で同社のEV化計画は不透明であった。
具体的な中期計画の骨格は、①カーボンニュートラルへの対応、②マルチ電動化とライフサイクル、③人を深く知る車作り、が3大方針で車作りを改革する。
計画遂行の上でマツダが腐心した点が、地産地消のアイデアである。
同社の車作りの核となる2つのコンセプトは、①スケーラブルアーキテクチュア―と②SKYACTIVEマルチソリューションが、小型車、大型車を製造する設計コンセプトとなってきた。EV化でもこの2つの設計コンセプトを発展させる。
今後のEV化やIT化や自動運転などの大きな課題の解決策が、地産地消である。
同社が製造基盤を置く中国地方5県の同社と協力関係のある企業群と同社は事実上のJV事業を促進する事で、地元企業の活力を活用し技術と生産開発を加速する考えが示された。これにより同社は海外生産から国内生産へ回帰する事になる。
地元で新たな改革へ挑戦する企業群は、①㈱オンド、②広島アルミニウム㈱、③㈱ヒロテック、④ローム㈱、⑤今仙電機製作所、⑥富田電機股份有限公司、⑦中央化成㈱などをJV事業者として位置付けてマツダの車作りに一体となって挑戦する体制である。
しかしこれだけの企業群がマツダを支援して運命共同体となっても未だ大きな課題がある。それが最大の課題であるバッテリー生産である。同社は日産自動車から出発し、今や中国と日本の遺伝子を受け継ぐエンビジョンAESCジャパンからバッテリーを供給して貰う事が合意されたと発表した。
図:エンビジョンAESC 米ケンタッキー州の将来工場
マツダはその昔であるがロータリーエンジンを武器としてその名を広めた時代があったが、その後は業績や生産が伸びずGMなどと合弁など厳しい経営を経験してきたが、日本ではファンの多い車メーカである。22日発表された同社の中期計画には沢山のアイデアや苦悩して出した結論が満載である。
この様な日本企業の自動車メーカをバッテリーで救ってくれた協力企業がエンビジョンAESCジャパンであった事は、日本の製造業の力は未だ潜在能力が残っている証拠ではないだろうか。
同社は、これまでの自動車作りが築いてきた企業群の数と階層を減らして製造工程のスピード化を2倍にするとしている。また製造に係る電力網も中国5県で再生して集中型電力網を水平型分散型のグリーン電力化に汗を流すと語っている。
日本の中でネットゼロを一企業がその地域で開発すると声を挙げた事例の少ない。地産地消の基盤作りまでマツダは検討してきた背景が中国地方の人達が世界に向けた発信能力ではないか。
人を深く知ろうとする事で、無事故でネットゼロの自動車メーカたらんとする熱く赤いマツダの意気込みを我々は同社の中期計画の2025-27年の第2フェースのバッテリー調達時期最中の2026年の成果に期待したい。
2026年には世界中のEV企業の新型車が数多く、かつ相当レベルで実現しているであろう。今のマツダは、1.5兆円に及ぶ大型投資を如何に多くの地場企業と一緒に着実に足元を固めて進めていけるのかが大きな課題であり、その上に地場産業と地場の電力インフラなどもグリーン化すると言う非常に大きな変革へ挑戦しようと自ら腹を据えた事業計画を発表した。
11月22日のマツダの中期計画はこれまで日本の自動車メーカには無かった包括的かつ日本の企業としてこれまで提案されなかった大きな日本地図を広げて自らも将来を広げた点で注目したい。
(IRUNIVERSE Katagiri)
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