ユミコア社と加ナノワン社正極材プロセス技術共同開発契約を締結
循環型材料技術グループのユミコアとクリーンテクノロジー企業のナノワンマテリアルズ株式会社(以下「ナノワン®」)は、リチウムイオン電池用正極材料の製造プロセス技術に関する非独占的な共同開発契約を締結したことを発表した。
契約に基づき、Umicoreは、高ニッケル(ニッケル、マンガン、コバルト)材料を製造するための独自のプロセス技術に統合することを目的として、ナノワンの特許取得済みのM2CAM®ワンポットプロセス技術を評価する。
この合意により、両当事者は、それぞれの技術と知識を最適に組み合わせて、正極材料生産のコストと環境フットプリントを削減しながら、生産スループット能力をさらに向上させることを目指す。
Nano Oneの最高技術責任者であるStephen Campbell博士は、「材料とプロセスの革新を通じてリチウムイオン電池の環境フットプリント、コスト、性能を改善するというUmicoreと同様の野心を共有している。私たちは、安全で回復力のある長期的なサプライチェーンを構築するという世界的なニーズの高まりに応えています。Umicoreとの永続的なパートナーシップを楽しみにしており、共通の強みとノウハウを組み合わせて構築しています。」
Umicoreの企業研究開発担当シニアバイスプレジデント、Yves Van Rompaey氏は「持続可能な未来のためのイノベーションは、有機的な開発と研究パートナーシップの締結、またはサードパーティとの技術開発の両方を通じて、私たちの活動の中心です。Nano Oneとの開発契約により、カソード材料製造の二酸化炭素排出量とコストをさらに削減する可能性と野心を持って、彼らの技術の実現可能性を模索しています。Nano Oneチームとのパートナーシップを構築することを楽しみにしています。」
共同開発契約は、いくつかのフェーズと「ステージゲート」プロセスの対象となります。ナノワンのプロセス技術の評価結果です。共同開発契約、および将来のライセンス供与の機会は非独占的です。
ユミコアプロフィール
ユミコアは循環型材料技術グループである。Umicoreは、材料科学、化学、冶金学の専門知識が違いを生むアプリケーション分野に焦点を当てている。その活動は、触媒、エネルギー&サーフェステクノロジー、リサイクルの3つのビジネスグループで構成されている。各ビジネスグループは、新しい技術開発の最前線にあり、日常生活に必要な材料とソリューションを備えた、さまざまな市場志向のビジネスユニットに分かれている。
Umicoreの収益のほとんどはこれらのビジネスの成果であり、研究開発の取り組みのほとんどはクリーンモビリティとリサイクルのための材料に焦点を当てている。ユミコアの最優先目標である持続可能な価値の創造は、「より良い生活のための材料」というポリシーステートメントに沿った方法で材料を開発、製造、リサイクルするという野心に基づいている。
Umicoreの産業および商業活動、ならびに研究開発活動は、国際的な顧客のニーズに最もよく対応するために世界中に広がっている。2022年上半期の売上高(金属を除く)は21億ユーロ(売上高138億ユーロ)、従業員数は11,350人である。以上は12月20日公表されたユミコア社の記者発表の内容である。
Nano One Materials Corporation社(Dan Blondal 、CEO)は、カナダのブリティッシュコロンビア州バーナビーに本拠地を構える技術会社で、リチウムイオン電池に必要な正極材料の新たな製造方法を開発し、電池業界への足場を固めた。
写真:Nano One社技術チームがBC州Burnabyのパイロットプラント前で、CEO、Dan Blondal氏と一緒に撮影された。(Nano One HPより)
Nano One社は2011年Perfect Lithiumu社として個人により創業された。その後2015年Nano One Materials Corporationとして公的な企業となった。その後同社は毎年2ないし4件の米国特許を4年にわたり取得した。最後の特許は2019年取得された。
写真:Nano One社の開発した次世代正極材LiNi0.5Mn1.5O4スピネル結晶の電子顕微鏡写真
今回発表されたユミコア社の内容にNano One社の技術提携の詳細は発表されなかったが、同社のHPを見ると同社の次世代正極材技術は、ユミコア社のNCM系ではなく、コバルトを使用しないだけでなく、ニッケルを削減してマンガンを多用したLiNi0.5Mn1.5O4正極材であり、LiBバッテリーの分野に新たな正極材を提供する能力を有する優秀なカナダ企業と思われる。
(Katagiri)
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