次期廃棄物処理施設整備計画について〜第44回中環審循環型社会部会
12月23日、中央環境審議会循環型社会部会(第44回)がWebにより行われた。議題は●次期廃棄物処理施設整備計画について、●「廃棄物の減量その他その適正な処理に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本的な方針」の変更について他。
1/次期計画(案)の特徴と構成
■脱炭素・資源循環の一体的推進
⚫ 気候変動への対応について、「2050年カーボンニュートラルにむけた 脱炭素化」の視点を新たに記載し、対策内容を強化。
⚫ 「3R・適正処理の推進」については、災害時含めその方向性を堅持 するとともに、「循環経済の実現に向けた資源循環の強化」の視点を追加。
⚫ 「地域循環共生圏の構築に向けた取組」の視点を、上記の脱炭素化や廃棄物処理施設 の創出する価値の多面性に着目しつつ深化。
次期計画(案)の構成
基本的理念
廃棄物処理施設整備及び運営の重点的、効果的 かつ効率的な実施
(1)基本原則に基づいた3Rの推進と 循環経済の実現に向けた資源循環の 強化
(2)災害時も含む、廃棄物の持続可能 な適正処理の確保
(3)脱炭素化の推進と地域循環共生圏の構築に向けた取組
廃棄物処理施設整備及び運営の重点的、効果的 かつ効率的な実施
(1)市町村の一般廃棄物処理システムを通じた3Rの推進と資 源循環の強化
(2)持続可能な適正処理の確保に向けた安定的・効率的な施設整備及び運営
(3)廃棄物処理・資源循環の脱炭素化の推進
(4)地域に多面的価値を創出する廃棄物処理施設の整備
(5)災害対策の強化
(6)地域住民等の理解と協力・参画の確保
(7)廃棄物処理施設整備に係る工事の入札及び契約の適正化
2/次期計画の「1.基本的理念」のポイント
(1) 基本原則に基づ いた3Rの推進と 循環経済の実現 に向けた資源循 環の強化
⚫ 廃棄物の排出抑制を最優先に進め、再使用、再生利用、熱回収の順に循環的利用を行い、適 正な循環的利用が行われないものについては適正な処分を確保する。また、循環経済の実現
やRenewableの推進に貢献するため、リサイクルの高度化や地域における循環システムの構 築を進め、資源循環の強化を図る。
(2)災害時も含む、 廃棄物の持続可 能な適正処理の 確保
⚫ 廃棄物処理施設の老朽化や、人口減少等今後の社会・経済動向の変化に伴う廃棄物処理量・ 質の変化、新たな課題へ対応しつつ、持続可能な適正処理を確保する、地域単位で一般廃棄 物処理システムの強靱性を確保する必要がある。また、廃棄物処理施設の災害廃棄物の受 入・処理に必要な機能の整備等により、地域単位で一般廃棄物処理システムの強靭性を確保する。
(3)脱炭素化の推進 と地域循環共生 圏の構築に向け た取組
⚫ 2050年カーボンニュートラルに向けた施設整備の早期の推進や今後の技術開発の進展に柔 軟に対応しうる施設整備が必要であることを踏まえ、既存技術の高度化や新たな技術開発の
支援等を行う。また、連携先を念頭に置きつつ、最適な規模での資源循環を重層的に実現して いくことで、地域に多面的価値を創出する廃棄物処理施設を整備していく。
3/次期計画の「2.廃棄物処理施設整備及び運営の重点的、効果的かつ効率的な実施」のポイント
(1) 市町村の一般廃 棄物処理システム を通じた3Rの推進 と資源循環の強化⚫ 3R+Renewableをはじめとする循環経済への移行に向けて、選別システムや再資源化技術の高度 化・効率化、分散型資源回収拠点の活用を図りつつ、引き続き、分別収集の推進及び適正な循環的利 用に努めた上で適正な中間処理及び最終処分を行う体制を確保する。また、プラスチックの素材循環 重視の再資源化や金属等のライフサイクル全体での最適化、住民の主体的な意識改革や行動変容の 促進等を進める。
(2)持続可能な適正処 理の確保に向けた安 定的・効率的な施設 整備及び運営
⚫ 広域化・集約化や施設長寿命化を含めた安定的・効率的な廃棄物処理システムと施設の整備を図る。 また、人口減少など今後の社会・経済動向の変化や感染症対策等の新たな課題についても対応を進 めていく。人材確保に向けた研修・情報交流・人材交流等の機会を創出する。
(3)廃棄物処理・資源 循環の脱炭素化の推進
⚫ 省エネルギー化や廃棄物エネルギー・バイオマスの利活用の取組を一層推進するとともに、既存技術 の高度化・効率化や新たな技術開発の支援等を行い、脱炭素化に向けた施設整備の早期の推進や今後の技術の進展に柔軟に対応しうる施設整備の推進を図る。
(4) 地域に多面的価値 を創出する廃棄物処 理施設の整備
⚫ 地域の課題解決や地域活性化に貢献するため、廃棄物処理施設で回収したエネルギーの活用による地 域産業の振興、災害時の防災拠点としての活用等を進めるとともに、地域特性を踏まえ、分散型の資源化 施設や広域処理のための中継施設等、必要な施設の種類や規模に応じた施設整備等を推進し、地域内 外の産業における資源循環や脱炭素化を支える基盤的施設としての強化を図る。その際、立地検討段階 から関連主体との連携を念頭におく。
(5) 災害対策の強化
⚫ 廃棄物処理施設を、災害廃棄物を適正かつ円滑・迅速に処理する拠点として、また、災害発生からの 早期復旧のための核として捉えた上で、代替性・多重性の確保や局所的被害の同時多発化や大規模停電等を想定した対策検討・準備等を行い、処理システムの強靱性を確保する。
(6) 地域住民等の理 解と協力・参画の 確保
⚫ 施設の安全性等の情報のほか、災害時の対応や施設の多面的価値等についても住民等に説明し、理解と協力を得るよう努める。また、資源回収の徹底に向け、幅広い国民の参画を得るための消費者・住民への周知や利便性の高い回収方法を提供する。
(7) 廃棄物処理施設 整備に係る工事の 入札及び契約の適 正化
⚫ 入札及び契約の透明性・競争性の向上、不正行為の排除の徹底及び公共工事の適正な施工の確保 を図るとともに、公共工事品質確保法に基づき、総合評価落札方式の導入を推進する。
「廃棄物・資源循環分野における温室効果ガス排出実質ゼロに 向けた中長期シナリオ(案)」における「実質排出ゼロシナリオ」の想定条件
この資料では、中央環境審議会循環型社会部会(第38回)(令和3年8月5日)にて審議した「廃棄物・資源循環分野における温室効果ガス排出実質ゼロに向けた中長期シナリオ」(案)(以下、「中長期シナリオ(案)」という。)において、実質排出がゼロとなるシナリオで想定されている条件を抜粋した。
●中長期シナリオ(案)における各シナリオ
【BAUシナリオ】
・中長期シナリオ(案)を作成した現況年度(2019年度)付 近の対策のままで2050年まで推移することを想定したシ ナリオ。
【計画シナリオ】
・地球温暖化対策計画、プラスチック資源循環戦略、バイオプラスチック導入ロードマップ、プラスチック資源循環促進法等のGHG削減・資源循環に資する既存の計画・法制 度や、業界団体等の目標値に基づき対策導入量を想定 するシナリオ。
【拡大計画シナリオ】
・計画シナリオに加え、廃棄物処理施設や収集運搬車両等におけるエネルギー起源CO2対策を計画シナリオの対策導入強度に準じて導入するシナリオ。 で見込むシナリオ。
【イノベーション実現シナリオ】
・拡大計画シナリオをベースに、現状の技術開発動向 等を踏まえ、各重点対策領域におけるGHG削減技術 のイノベーションによる削減量の深掘りを見込むシナリオ。
【イノベーション発展シナリオ】
・イノベーション実現シナリオをベースに、現状の技術水準や技術開発動向では必ずしも十分に担保されな い水準まで対策導入量の深掘りを見込むシナリオ。
【実質排出ゼロシナリオ】
・イノベーション発展シナリオをベースに、廃棄物・資源循環分野のGHG排出量を相殺する量のCCUS(本シナリオではCCSとして想定)導入を廃棄物処理施設で見込むシナリオ。
【最大対策シナリオ】
・実質排出ゼロシナリオをベースに、廃棄物処理施設 におけるCCUS量を最大限まで見込むシナリオ。
(出典:中央環境審議会循環型社会部会)
https://www.env.go.jp/council/03recycle/page_00019.html
(IR universe rr)
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